Words of love 〜αとΩ番の誓い〜

浅葱

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別れの時

外出

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理さんが来ていたことに気づいたのは、朝、目が覚めた時に、消灯台の上に走り書きのメモが残っていたからだ。

『よく寝ていたから、顔だけ見て帰ります。

寝れるようになってて、少し安心しました。

ゆっくり休んで、早く良くなれよ!

また、覗く。

Shiba』

と、書かれたメモ…

最後に書かれた、Shibaのサインはオペレコなどで理さんが綴る筆記体のとてもカッコいいサインだった。

メモを大事に、財布に忍ばせ、病院支給のスマホを手にして理さんにメッセージを送った。

『お見舞いに来てくれていたのに、寝ていてすみませんでした。
ごめんなさい。
今日は、少し体調も良いようです。
皆さんによろしくお伝え下さい。
真琴』

と、打ち込み送信した。
直ぐに既読のマークが付き、スマホが震えた。
スマホの画面には、『理さん』と表示されている。
スマホをタップし通話状態にする。

「真琴?目が覚めたか?」
「うん…。理さんが、来てくれたの全然気づかなかったよ…。ごめんなさい。」
「謝るな。寝れるようになって、安心した。俺がいた間、咳き込むこともなかったから、暫く顔見て帰ったんだけど、夜充分寝れたんだな…」

心持ち、憔悴したような声がスマホから紡がれる。

「朝までぐっすり寝れて、ちょっとビックリです。久々に、寝れた感じ。」
「そうか。落ち着いて来たのかもな…。でも、無理はするなよ。」
「解ってます。無理しようにも、できる環境じゃないですし…。」

話していても、殆ど咳が出そうな雰囲気はない。
ただ、長文を話すのはゼーゼー良いそうで、キツイから出来なかったけど、1週間以上ぶりに理さんとまともな会話ができたことが嬉しかった。

「もうそろそろ、出勤時間ですよね?気を付けて下さいね…」

名残惜しいけど、通話を終了するためスマホをタップしようとしたらスピーカーの向こうから

「まこ…」

と聞こえたが、僕は聞こえないふりをして通話を終了させた。
そして、そのままスマホの電源を落とした。

朝食に出た、お粥が少し食べれたが、温かい湯気の刺激で咳が誘発され、咳止めのお世話になって落ち着きが出だした頃に義兄にいさんが部屋にやって来て、

「熱もかなり下がって来たようだから、短時間なら自宅へ必要なものを取りに帰って、転院の準備始めても良いけど、どうする?もう少ししたら当直明けで帰るから、ついでに送っていくだけは出来そうだけど?」

と言ってくれた。
入院に際して、僕はほとんどの荷物を持って来ていない。
大事なノートパソコンも10日近く触っていない。

「冷蔵庫の中身とかも処分したりしたいから、送ってもらった時にカードキーの予備を預けるから姉さんの手が空いた時に、処分を頼めるかな?帰りは、タクシーで帰るから。」
「解った。仕事が片付いたら、覗くから外出届、看護師さんに貰って記入しとけよ!」

と言って、義兄にいさんは、残務を片付けるために病室から出て行った。
今日から点滴の量が、朝夕の抗生剤だけになったおかげで、少し身軽になった感じがした。
10日近くほとんど動いていない僕の体の筋肉は、少し衰えていて、歩く時にも多少ふらつく事があったけど、ナースステーションに行き無事外出届を貰い、その場で記入して看護師さんに手渡した。

30分程で義兄にいさんが、病室に戻って来た。僕は、両親達が面会に着た時に姉さんがお見舞いで持って着てくれた、服に着替えてパーカーを羽織った。

義兄にいさんに送って貰い、8日ぶりに自分のマンションへと一時帰宅した。
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