Words of love 〜αとΩ番の誓い〜

浅葱

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変化

在宅看病③

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点滴の1本目が終わり、2本目に繋ぎかえ真琴のデスクで持ってきたノートパソコンを開き、論文に必要な図表の調整や作成を行なっていると、衣擦れの音が耳に入った。
ベッドに目を向けると、真琴がモゾモゾと動いているのが目に入った。

「どうした?」

声を掛けると、さっきよりもしっかりした目付きになっていて、

「口が渇いて…。ケホッ…後、冷たいものが欲しくって。」

まだ掠れ声で、時折、咳も認めだした。

「お茶、ミネラルウォーター、スポーツドリンク、経口補水液くらいかな。今用意できるのは。冷たいもの…何が欲しい?」

聞いてみると、

「ごほっ。スポーツドリンク…。バニラアイスが食べたい。」

と返してきた。

「冷蔵庫見てくるから、絶対動くなよ!」

と念押しし、急いでダイニングの冷蔵庫へ急いだ。
スポーツドリンクと、冷凍庫にあったバニラのアイスとスプーンとストローを手に足早に寝室へ戻った。
今回は、大人しくしてベッドに寝ていた真琴。
身体を起こすのを手伝ってやり、ストローを刺したスポーツドリンクを差し出した。
ストローで吸い上げる度に、咳き込みうまく飲めない様子だったので、口移しでペットボトル半分程を時間をかけて飲ませた。途中で、噎せたり咳き込む様子はあったが、それでもストローを使って飲むよりは随分と楽な様子だった。
バニラのアイスは、スポーツドリンクを飲ませている間に、少し溶けて食べ頃になっていた。
スプーンがすんなりとアイスに入り、真琴の口に一口入れればニタっと笑って喜んだのが伝わって来た。

「食べれそうか?」
「うん。」

アイスを手渡すと、心もとない手つきでスプーンを口元に持って行く。
数口、口にすると疲れたのか、布団に手を付きアイスをじっと見つめている。
まるで雛鳥の様な感じとでも言うのだろうか…。

「疲れたか?」
「うん。まだ食べたいけど、ケホッ…腕が上がらないや…。」

と情けない表情をしてうなだれた真琴。
スプーンを奪い取り、餌付けをする親鳥の様に繰り返しアイスを真琴の口に運んでやった。
熱もあったせいで、冷たい口当たりがよかったのか、アイスを1個食べ切れた。

「少し、物が口に出来て安心した。落ち着いたら一度、病院に受診に行こうな。」

とさりげなく受診に誘ってみた。
コクリと頷き、再び眠りについた真琴。
熱のせいで、体力がかなり奪われているのだろう。
俺は、点滴の滴下調整をして再びリクライニングデスクチェアに腰をかけた。
昼を過ぎてしばらくした時間になり目覚めた真琴が、

「あったかいおうどん食べたい…」

布団の中から可愛らしくリクエストをして来た。
コンシェルジュに連絡をすれば、渡瀬さんが出てくれたので、事情を説明しうどんを宅配してくれるお店の手配を頼んだ。渡瀬さんは、かなりグルメで、任せておけば味は折り紙つきだ。
真琴には鍋焼きかきつねうどんか迷ったので、両方注文して余った方を俺が食べる事にした。
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