Words of love 〜αとΩ番の誓い〜

浅葱

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トラブル発生

助かった

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ヘリポートに着陸し、ストレッチャーで患者を初療室に運び入れ、救命の処置台に移動させた。
待機していた、脳外科と整形外科の先生に状態は機内から無線で報告していた。
バイタルチェックと並行して直ぐに、挿管をした。

CTとレントゲン、採血などの指示を飛ばした。
胸部外傷なので、念のために腹部のエコーもしたがその他の部位に奇跡的に出血が無くホッとした。
画像チェックをすると、頭部に脳内出血と下肢に骨折を認めたので待機してもらっていた専門分野の先生方に状況を伝え、緊急オペになった。
ピストンで、患者が搬送されてくるので患者さんのことは専門医に任せて、オペ室を後にした。

重症患者がトータル4人ヘリで搬送され、うちにはその内でもっとも重症だった3人が搬送された。最後の1人は、近隣の病院が引き受けてくれたそうだ。
僕が最初に搬送してきた患者さんは、脳外のオペと整形のオペを同時進行して、かなり処置に長い時間がかかったそうだが一命を取り留めた。
奏先生が2便で戻ってきて、3便は舞先生が着いて戻って来た。
ピストンで応援に来てくれていた研修医の内の2人が、事後精算の地道での帰院になったらしく、更に人手が減った救命は2人の患者さんを助けるのが精一杯なくらいの状況だった。
2便の患者さんは、腹部を強打していて、FASTファストつまり外傷に対する焦点を絞った超音波による評価が陽性だった。脾臓周囲に出血を認めたので、緊急で脾臓摘出を行うことになり、僕は奏先生の第一助手を務めた。

奏先生のメスさばきには、迷いがなくて判断も的確だ。
救命という、一刻を争う現場で培われたメスさばきと、診断力は流石としか言えなかった。
僕は、第一助手として血管縫合の結紮を担当しながら、奏先生の先手を見据えて介助した。僅かな出血も見逃さないためだ。
なのに、この日に限って、一度だけ結紮が外れてしまって出血量が増える状況を起こしてしまった。
目が一時的に霞んでしまい、結紮部位がずれていたのが原因だった。
明らかに、僕の脳腫瘍ばくだんが原因なのが自分には分かった。

幸い大事には至らなかったが、結紮を外すなんて珍しかったのか、奏先生が驚いていた。
術後に、

「真琴先生にしたら、珍しいね。結紮を外しちゃうなんて。まぁ~、出血が酷くて見えにくかったし、大事に至らなかったけど、体調でも悪い?」

って、奏先生に言われてしまった。
昨日、深酒したのも多少影響しているのかも知れない…自分に言い聞かせて、

「いやぁ~、昨日ちょっと理先生と意見の食い違いで1人やけ酒飲んじゃって、すこ~し頭が痛かったりしたんですよ。二日酔いってやつですかね?ご迷惑おかけしてすみませんでした。」

って、言えば、

「フライト前日に自棄酒やけざけはダメだよ、真琴先生。次からは、気をつけてね。兄貴にも、真琴先生とイチャイチャするのはいいけど、喧嘩や意見の食い違いで自棄酒するような事態に陥らせないように、よく言っとかなきゃな。兄貴の所為でもあるからな!」

って、笑いながら言ってくれた。
そう言えば、奏先生が深酒するのは、決まって休日前日だって前に理先生が言ってたっけ…。
その辺も、意外とちゃんとしてるんだ…、改めて思った僕だった。
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