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トラブル発生
1週間振りの半分我が家
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暫くの間、理さんの腕にギュッと抱きしめられ身動きのできない僕は、その間、理さんから香ってくるシトラスの香りを堪能させてもらった。
「あ、あの、理さん?そろそろ離してもらえませんか?お土産渡したくて…」
紙袋の取っ手とスーツケースのハンドル部分を握りしめていたままの僕は、流石に抱きしめられたままの体勢が苦しくなって言い出した。
「あ…悪い…。1週間振りだったからな。真琴を堪能したくてつい抱きしめすぎてた…」
顔を赤くして照れた表情の理さんが言う。
2人で食べたくて、大阪名物の某ショップの豚まんが入っている箱を取り出し、
「帰って、一緒に食べましょうね!」
と言えば、照れているのを隠すかの様に首がもげるんじゃないかという位ブンブンと振って頷いてくれた。外された眼鏡を受け取り、
「ちょっと、救命にもお土産渡して来ます。外科の医局にはさっき寄って来たので…」
と言い、紙袋の中から幾つかのお土産を取り出し抱えて部屋を飛び出した。
救命のフロアに行けば、すれ違うスタッフから口々に「お帰りなさい!」「今日お帰りだったんですか?」と歓待の言葉をもらった。
2階部分の、部長室のドアをノックすれば、
「は~い!どうぞぉ~」
と軽い口調の奏先生の声が聞こえて来た。
「失礼します」
理先生の部屋に入る時の様に返事をしてドアを開け室内に入りドアを閉めた。
「1週間、不在にしましたがさっき帰って来ました。」
と頭を下げて言い、お土産の箱を差し出した。
「救命の皆さんでどうぞ。こちらは、奏先生にです…。」
小さめな箱を追加で差し出した。お酒が好きな奏先生にとっては、アテになるだろう某お店の一口餃子をチョイスした。
そして、更にかなり小さめな箱をその上に乗せ、
「これは、舞先生に渡してください!」
と差し出した。
「真琴先生、出張的な事に行くたんびに、お土産なんぞ買ってたらその内、破産するよ。気を使わなくてもいいのに…。」
と言いながら、受け取ってくれた。
「1週間の間、こっちはどうでした?特に問題とかは?」
と言えば、
「まぁ~ソコソコ忙しかったかなぁ~。あ、真琴先生、明日フライト当番に欠員出ちゃってるから何かあったら飛んでね!」
と言われた。
「了解です。では、明日!」
と救命の部長室を後にした。
外科の病棟に寄り、詰所にいた看護師長にお土産を手渡し、不在中の患者さんの様子を尋ねれば、全て理先生がフォローしてくれていたお陰で大きなトラブルもなく、何人かは退院していた。
あっという間に、勤務の交代の時間になってバタバタとする詰所を後にし、外科部長室に戻れば帰り支度をしている理さんが居た。
「帰って、お疲れ様会だな!」
スーツケースを理さんが持ってくれアテンドしてくれた。
マンションに戻り、一度荷物を置きに自分の部屋に戻り部屋の窓を開けて室内の換気をした。
慣れないスーツを脱ぎ、さっとシャワーを浴びた。シャワーから出ると、室内の換気が出来ていたので窓を閉め、普段着に着替えて奏先生にも渡したお土産と同じ物を紙袋から取り出して理さんの待つ部屋に向かった。
貰っていたカードキーを使いお邪魔すると、浴室からシャワーの音が聞こえた。
静かにリビングに向かい、アイランドキッチンで持ってきた一口餃子の調理を始めた。
水餃子にしようと思い、お湯を沸かしていると理さんがシャワーから上がって、Tシャツにスエット姿で、乾ききっていない髪をタオルでゴシゴシしながらリビングに戻ってきた。
「お邪魔してます」
声をかけると、キッチンに僕がいると思わなかったのか、理さんはちょっと驚いてビックリしていた。
「何作ってる?」
と聞かれ、
「水餃子!2種類くらい味が違うのもあるんですけど、今日はプレーンタイプを買ってきたので…。あ、焼いたり揚げたりした方が良かったですか?」
と聞き返せば、
「先週は真琴が居なかったし、病院に缶詰に近い日もあってマトモなもの食べてない日があったから、今日はお手伝いさんに来て貰って少し料理とか作り置きをして貰ってるから、それと合わせるなら水餃子がいいかと思う…。お疲れ様会だから、日本酒でも開けようか?」
と窓際の日本酒が並べられている棚に向かい、その銘柄を呑もうかと物色を始めた。
お湯を沸かしながら、冷酒カラフェとお揃いのグラスを準備し、カラフェの下に氷を折れて冷酒の準備をしながら、作り置きして貰っていた料理を温め直した。
お湯が沸き、一口餃子を茹でて茹で上がったものを網で掬い、しっかり湯を切ってお皿に盛り付けタレをかけた。
ダイニングテーブルには、温め直した料理とカラフェで既に冷やされた冷酒がスタンバイしていた。
「お待たせしました。」
水餃子を手に、ダイニングテーブルに行けば、
「美味そうだな!あ、お土産にもらった豚まんは食後のデザートだな…」
と理さんが嬉しそうに言う。
お互いに、冷酒を注ぎあって乾杯をし食事を始めた時に、理さんが怪訝そうな眼で僕の腕を見ていたのに気づいた。
「あ、あの、理さん?そろそろ離してもらえませんか?お土産渡したくて…」
紙袋の取っ手とスーツケースのハンドル部分を握りしめていたままの僕は、流石に抱きしめられたままの体勢が苦しくなって言い出した。
「あ…悪い…。1週間振りだったからな。真琴を堪能したくてつい抱きしめすぎてた…」
顔を赤くして照れた表情の理さんが言う。
2人で食べたくて、大阪名物の某ショップの豚まんが入っている箱を取り出し、
「帰って、一緒に食べましょうね!」
と言えば、照れているのを隠すかの様に首がもげるんじゃないかという位ブンブンと振って頷いてくれた。外された眼鏡を受け取り、
「ちょっと、救命にもお土産渡して来ます。外科の医局にはさっき寄って来たので…」
と言い、紙袋の中から幾つかのお土産を取り出し抱えて部屋を飛び出した。
救命のフロアに行けば、すれ違うスタッフから口々に「お帰りなさい!」「今日お帰りだったんですか?」と歓待の言葉をもらった。
2階部分の、部長室のドアをノックすれば、
「は~い!どうぞぉ~」
と軽い口調の奏先生の声が聞こえて来た。
「失礼します」
理先生の部屋に入る時の様に返事をしてドアを開け室内に入りドアを閉めた。
「1週間、不在にしましたがさっき帰って来ました。」
と頭を下げて言い、お土産の箱を差し出した。
「救命の皆さんでどうぞ。こちらは、奏先生にです…。」
小さめな箱を追加で差し出した。お酒が好きな奏先生にとっては、アテになるだろう某お店の一口餃子をチョイスした。
そして、更にかなり小さめな箱をその上に乗せ、
「これは、舞先生に渡してください!」
と差し出した。
「真琴先生、出張的な事に行くたんびに、お土産なんぞ買ってたらその内、破産するよ。気を使わなくてもいいのに…。」
と言いながら、受け取ってくれた。
「1週間の間、こっちはどうでした?特に問題とかは?」
と言えば、
「まぁ~ソコソコ忙しかったかなぁ~。あ、真琴先生、明日フライト当番に欠員出ちゃってるから何かあったら飛んでね!」
と言われた。
「了解です。では、明日!」
と救命の部長室を後にした。
外科の病棟に寄り、詰所にいた看護師長にお土産を手渡し、不在中の患者さんの様子を尋ねれば、全て理先生がフォローしてくれていたお陰で大きなトラブルもなく、何人かは退院していた。
あっという間に、勤務の交代の時間になってバタバタとする詰所を後にし、外科部長室に戻れば帰り支度をしている理さんが居た。
「帰って、お疲れ様会だな!」
スーツケースを理さんが持ってくれアテンドしてくれた。
マンションに戻り、一度荷物を置きに自分の部屋に戻り部屋の窓を開けて室内の換気をした。
慣れないスーツを脱ぎ、さっとシャワーを浴びた。シャワーから出ると、室内の換気が出来ていたので窓を閉め、普段着に着替えて奏先生にも渡したお土産と同じ物を紙袋から取り出して理さんの待つ部屋に向かった。
貰っていたカードキーを使いお邪魔すると、浴室からシャワーの音が聞こえた。
静かにリビングに向かい、アイランドキッチンで持ってきた一口餃子の調理を始めた。
水餃子にしようと思い、お湯を沸かしていると理さんがシャワーから上がって、Tシャツにスエット姿で、乾ききっていない髪をタオルでゴシゴシしながらリビングに戻ってきた。
「お邪魔してます」
声をかけると、キッチンに僕がいると思わなかったのか、理さんはちょっと驚いてビックリしていた。
「何作ってる?」
と聞かれ、
「水餃子!2種類くらい味が違うのもあるんですけど、今日はプレーンタイプを買ってきたので…。あ、焼いたり揚げたりした方が良かったですか?」
と聞き返せば、
「先週は真琴が居なかったし、病院に缶詰に近い日もあってマトモなもの食べてない日があったから、今日はお手伝いさんに来て貰って少し料理とか作り置きをして貰ってるから、それと合わせるなら水餃子がいいかと思う…。お疲れ様会だから、日本酒でも開けようか?」
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「お待たせしました。」
水餃子を手に、ダイニングテーブルに行けば、
「美味そうだな!あ、お土産にもらった豚まんは食後のデザートだな…」
と理さんが嬉しそうに言う。
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