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トラブル発生
1週間ぶりの帰還
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ーside 理ー
東部医科大に真琴が行ってから早いもので1週間…
やっと、今日こっちに戻ってくると短いメッセージでの連絡があってから、そわそわして待ちきれない俺。
頭痛がすると言って、奏に薬を処方してもらっていた事も気になるが、キャロライン教授の知り合いが脳神経外科の世界的権威の菱沼教授でその教授に会う為に学会に参加した事も幾分か腑に落ちない…。
その上、降って湧いたような東部医科大からの早急な真琴に対する講師の招致誘致…。タイミング的にも、何か裏がありそうで気が気じゃない…。
真琴が帰って来たら、何かあったかそれとなく聞いてみよう…
そう心に誓った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーside 真琴ー
最後の講義を午前中に終え、学長と菱沼教授に御礼を伝えて僕は東部医科大から一路理先生達が待つ聖心大学付属病院へと帰路についた。
院長や循環器外科、心臓血管外科の教授達はお忙しくされていて直接お礼が伝えられなかったが、学長と菱沼教授が伝えておくよ、と快く言って下さったし、今後も何かと顔をあわせる機会も増える事になるので、その時にでもご挨拶すれば良いと考え、聖心大学付属病院で僕の帰りを待ってくれているであろう人達への逸る気持ちを抑えながら足早に、歩みを進めた。
帰りのフライトは定刻通りに空港を出発して、そのお陰か定刻よりも少し早めに到着した。
空港を出た僕は、久し振りに吸う関東の空気を胸いっぱいに吸い込み、少しでも早くホームへ帰りたい思いでタクシー乗り場へ向かった。
公共交通機関を使うよりも早く着ける分かなり割高になってしまうが、はやる気持ちは抑えきれない。
タクシーの運転手さんに、目的地を告げ車窓から見える1週間ぶりの景色を堪能した。
聖心大学付属病院に付き、コロコロとスーツケースを引き摺りながら片手にお土産の入った大きな紙袋を下げて歩く僕…。
外科の医局のフロアに着けば、同僚の先生達の視線が降り注ぎ、あちらこちらから「おかえり」のコールの嵐を受けた。医局に、紙袋からお土産の箱を取り出して、身近にいた先生に手渡せば「気にしなくていいのに…、仕事だったんだから」と言われた。それでも、「ご馳走様です。」との一言も添えられた。
「部長なら、部長室にいるはずだよ。」
誰かが、僕が会いたかった人の所在を教えてくれた。
「挨拶して来ます!」
医局に向かって一言残し、部長室に向かった。
少し先にある部長室の前で、スーツの身なりを整えなおし、ドアをコンコンとノックする。
「どうぞ。」
の声に
「失礼します。」
と返事をしてドアを開けた。
1週間振りに見る理先生は、出発前より髪が少し短くなっていてほんの少しだが窶れている感じに見えた。
ドアを閉め、
「只今帰りました。1週間の長い間不在にしご迷惑をお掛けしました。」
頭を下げれば、
「おかえり。」
心地よいバリトンボイスが室内に響いた。
「あっちはどうだった?菱沼教授から早々に追加で定期的に学生達に講義に来て欲しいって依頼があったって聞いてるけど?」
「学生向けに3回と同業者向けに2回の講義をさせて頂きましたが、向こうで学生向けの講義に関しては一部変更を加えたりしてホテルに帰ってからも結構バタバタしてました。楽しかったか辛かったかと言えば、楽しかったです。向こうとは違った学内の雰囲気とかも新鮮でした…。でも、時間が経てば経つほど聖心大学付属病院が恋しくなって来ましたよ。何度か連絡も頂いたからかも知れませんけど…」
と少し照れて答えれば、側まで来た理先生は僕の眼鏡をスッと外し、メガネと言うフィルター越しにではない顔を見せてくれ、チュッと僕の唇を奪った。
東部医科大に真琴が行ってから早いもので1週間…
やっと、今日こっちに戻ってくると短いメッセージでの連絡があってから、そわそわして待ちきれない俺。
頭痛がすると言って、奏に薬を処方してもらっていた事も気になるが、キャロライン教授の知り合いが脳神経外科の世界的権威の菱沼教授でその教授に会う為に学会に参加した事も幾分か腑に落ちない…。
その上、降って湧いたような東部医科大からの早急な真琴に対する講師の招致誘致…。タイミング的にも、何か裏がありそうで気が気じゃない…。
真琴が帰って来たら、何かあったかそれとなく聞いてみよう…
そう心に誓った。
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ーside 真琴ー
最後の講義を午前中に終え、学長と菱沼教授に御礼を伝えて僕は東部医科大から一路理先生達が待つ聖心大学付属病院へと帰路についた。
院長や循環器外科、心臓血管外科の教授達はお忙しくされていて直接お礼が伝えられなかったが、学長と菱沼教授が伝えておくよ、と快く言って下さったし、今後も何かと顔をあわせる機会も増える事になるので、その時にでもご挨拶すれば良いと考え、聖心大学付属病院で僕の帰りを待ってくれているであろう人達への逸る気持ちを抑えながら足早に、歩みを進めた。
帰りのフライトは定刻通りに空港を出発して、そのお陰か定刻よりも少し早めに到着した。
空港を出た僕は、久し振りに吸う関東の空気を胸いっぱいに吸い込み、少しでも早くホームへ帰りたい思いでタクシー乗り場へ向かった。
公共交通機関を使うよりも早く着ける分かなり割高になってしまうが、はやる気持ちは抑えきれない。
タクシーの運転手さんに、目的地を告げ車窓から見える1週間ぶりの景色を堪能した。
聖心大学付属病院に付き、コロコロとスーツケースを引き摺りながら片手にお土産の入った大きな紙袋を下げて歩く僕…。
外科の医局のフロアに着けば、同僚の先生達の視線が降り注ぎ、あちらこちらから「おかえり」のコールの嵐を受けた。医局に、紙袋からお土産の箱を取り出して、身近にいた先生に手渡せば「気にしなくていいのに…、仕事だったんだから」と言われた。それでも、「ご馳走様です。」との一言も添えられた。
「部長なら、部長室にいるはずだよ。」
誰かが、僕が会いたかった人の所在を教えてくれた。
「挨拶して来ます!」
医局に向かって一言残し、部長室に向かった。
少し先にある部長室の前で、スーツの身なりを整えなおし、ドアをコンコンとノックする。
「どうぞ。」
の声に
「失礼します。」
と返事をしてドアを開けた。
1週間振りに見る理先生は、出発前より髪が少し短くなっていてほんの少しだが窶れている感じに見えた。
ドアを閉め、
「只今帰りました。1週間の長い間不在にしご迷惑をお掛けしました。」
頭を下げれば、
「おかえり。」
心地よいバリトンボイスが室内に響いた。
「あっちはどうだった?菱沼教授から早々に追加で定期的に学生達に講義に来て欲しいって依頼があったって聞いてるけど?」
「学生向けに3回と同業者向けに2回の講義をさせて頂きましたが、向こうで学生向けの講義に関しては一部変更を加えたりしてホテルに帰ってからも結構バタバタしてました。楽しかったか辛かったかと言えば、楽しかったです。向こうとは違った学内の雰囲気とかも新鮮でした…。でも、時間が経てば経つほど聖心大学付属病院が恋しくなって来ましたよ。何度か連絡も頂いたからかも知れませんけど…」
と少し照れて答えれば、側まで来た理先生は僕の眼鏡をスッと外し、メガネと言うフィルター越しにではない顔を見せてくれ、チュッと僕の唇を奪った。
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