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蜜月の終わり
落ち着いた時間の過ごし方
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食事前に約束した通り、シュミレートの為に1Fの奥にある部屋に真琴を連れて行った。
俺も、新人の頃は真琴の様にシュミレートしていた為にこの部屋には専門的な機械や道具までは揃っていないが、一般的な外科手術には対応できる医療器具が揃っている。
「人工弁や人工血管とかまでは揃ってないんだけど…」
と伝えた。
「あー、実は今度の手術、MICS(ミックス;小切開低侵襲手術)でやろうかと思ってるんです…。永瀬くんの年齢も考えて、出来るだけ傷跡を最小限にしてあげたくて…。完全3D内視鏡アプローチ(3D-MICS)ってのが開発されているので、ソレなら傷口は3㎝程ですみますし、術後の体に対する負担も少ないのでベストかと。Saegusaでも一昨年にシステムを開発しているので、発情が終わった時の永瀬くんの状態で、お話ししようかと思っていたんです。3D-MICSなら、外科の内視鏡手術とそう手技が大きく変わる事はないと思います。」
遠慮がちに真琴が話して来た。
「なので、シュミレートは現状では動画がベースになります。ただ、自分の感覚を戻すのに縫合と結紮は練習したいので、一度自分の部屋に帰って来てもいいですか?隣ですけど…。」
自分の部屋に一度戻りたいという真琴に理由を聞くと、
「自分の使い慣れた練習機器を取りに行きたくて…。」
と遠慮がちに言うので、発情が来る前に出勤するときにきていた服を入れて届けてもらった荷物から服を持って来てやるといそいそと着替え始めた。
荷物の中から、カードキーの入ったカードケースを手にしてリビングを出ようとする。
「俺も付いて行っていいか?」
部屋着のまま聞けば、
「いいですよ?」
と返事が返って来る。
俺の家のカードキーも真琴は持っているのでそのまま2人で部屋を出た。
真琴の部屋に入ると、空調が動いていないせいで少しムッとした暖かい空気が充満していた。
真琴が気に入って使っているimp.(インプ) 5 シトラスレモンの残り香が薄っすらと香る。
俺の部屋と対称に作られている構造の造りの部屋割りになっている。2階へ上がる階段を軽やかに上がっていく真琴。
寝室の向かいにある部屋に入るので、後を追ってドアを潜った。
室内には、片側の壁一面にラックが組まれていてそのラックの引き出し一つ一つにラベルが貼られていた。
正面にあるデスクに置いてあった銀色の金属製のバットに手際よくラックの中から器具をいくつか選択して入れていく。
ラック一つづつに丁寧に個別収納されていた器具がバットに並んでいく。
縫合に使う糸まで、種類別にラックを分けて収納してあった。
バットには、持針器が数種類と、鑷子が様々なサイズの物が数本、縫合に使うナイロン糸に絹糸、更には吸収糸までが収まっていた。そして、縫合の練習にと小さな人工血管の切れ端に近い物まで準備していた。
「よくこんなに揃えたな…」
と感心すれば、
「Saegusa medicalの試作の中で、ほぼ完成形の物をレビューの代価に貰ってるんです。現場に出回っている物とほぼ同じですが、微細な物については一部は僕の仕様になっている物もあるのでオペの時は持ち込みになっちゃいますけどね…。今回のオペでは特殊機器を使うので、ソレは改めて練習しにLabへ出向く事になると思います。流石に、あれだけの機器は、自宅に完備できませんから…。」
苦笑いしながら真琴はラックの反対においてあるテレビの側にあるDVDラックに手をかける。
「えっと…、MICS、MICS…」
指でラックに納まっているDVDのタイトルを追いつつ呟く。
「あった!って、どれだっけ…?3D-MICSも入ってたやつ…。10本しかないから全部持って行っても大丈夫か」
ラックからDVDをごっそり取り出し、バットと一緒に持っている。
「お待たせしました。必要なものは揃ったので、部屋戻りましょうか?」
とあっさりと言う。
「落ち着いてる間に、帰って、練習とイメトレしましょ!」
発情が落ち着いている時間帯は、縫合と結紮の練習とDVDを見て過ごす事になった。
俺も、新人の頃は真琴の様にシュミレートしていた為にこの部屋には専門的な機械や道具までは揃っていないが、一般的な外科手術には対応できる医療器具が揃っている。
「人工弁や人工血管とかまでは揃ってないんだけど…」
と伝えた。
「あー、実は今度の手術、MICS(ミックス;小切開低侵襲手術)でやろうかと思ってるんです…。永瀬くんの年齢も考えて、出来るだけ傷跡を最小限にしてあげたくて…。完全3D内視鏡アプローチ(3D-MICS)ってのが開発されているので、ソレなら傷口は3㎝程ですみますし、術後の体に対する負担も少ないのでベストかと。Saegusaでも一昨年にシステムを開発しているので、発情が終わった時の永瀬くんの状態で、お話ししようかと思っていたんです。3D-MICSなら、外科の内視鏡手術とそう手技が大きく変わる事はないと思います。」
遠慮がちに真琴が話して来た。
「なので、シュミレートは現状では動画がベースになります。ただ、自分の感覚を戻すのに縫合と結紮は練習したいので、一度自分の部屋に帰って来てもいいですか?隣ですけど…。」
自分の部屋に一度戻りたいという真琴に理由を聞くと、
「自分の使い慣れた練習機器を取りに行きたくて…。」
と遠慮がちに言うので、発情が来る前に出勤するときにきていた服を入れて届けてもらった荷物から服を持って来てやるといそいそと着替え始めた。
荷物の中から、カードキーの入ったカードケースを手にしてリビングを出ようとする。
「俺も付いて行っていいか?」
部屋着のまま聞けば、
「いいですよ?」
と返事が返って来る。
俺の家のカードキーも真琴は持っているのでそのまま2人で部屋を出た。
真琴の部屋に入ると、空調が動いていないせいで少しムッとした暖かい空気が充満していた。
真琴が気に入って使っているimp.(インプ) 5 シトラスレモンの残り香が薄っすらと香る。
俺の部屋と対称に作られている構造の造りの部屋割りになっている。2階へ上がる階段を軽やかに上がっていく真琴。
寝室の向かいにある部屋に入るので、後を追ってドアを潜った。
室内には、片側の壁一面にラックが組まれていてそのラックの引き出し一つ一つにラベルが貼られていた。
正面にあるデスクに置いてあった銀色の金属製のバットに手際よくラックの中から器具をいくつか選択して入れていく。
ラック一つづつに丁寧に個別収納されていた器具がバットに並んでいく。
縫合に使う糸まで、種類別にラックを分けて収納してあった。
バットには、持針器が数種類と、鑷子が様々なサイズの物が数本、縫合に使うナイロン糸に絹糸、更には吸収糸までが収まっていた。そして、縫合の練習にと小さな人工血管の切れ端に近い物まで準備していた。
「よくこんなに揃えたな…」
と感心すれば、
「Saegusa medicalの試作の中で、ほぼ完成形の物をレビューの代価に貰ってるんです。現場に出回っている物とほぼ同じですが、微細な物については一部は僕の仕様になっている物もあるのでオペの時は持ち込みになっちゃいますけどね…。今回のオペでは特殊機器を使うので、ソレは改めて練習しにLabへ出向く事になると思います。流石に、あれだけの機器は、自宅に完備できませんから…。」
苦笑いしながら真琴はラックの反対においてあるテレビの側にあるDVDラックに手をかける。
「えっと…、MICS、MICS…」
指でラックに納まっているDVDのタイトルを追いつつ呟く。
「あった!って、どれだっけ…?3D-MICSも入ってたやつ…。10本しかないから全部持って行っても大丈夫か」
ラックからDVDをごっそり取り出し、バットと一緒に持っている。
「お待たせしました。必要なものは揃ったので、部屋戻りましょうか?」
とあっさりと言う。
「落ち着いてる間に、帰って、練習とイメトレしましょ!」
発情が落ち着いている時間帯は、縫合と結紮の練習とDVDを見て過ごす事になった。
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