Words of love 〜αとΩ番の誓い〜

浅葱

文字の大きさ
上 下
44 / 102
新たな生活

昼休憩

しおりを挟む
挨拶回りをしていると、チャイムが聞こえて来た。

「あぁ、もうお昼なんですね。あっという間に時間が過ぎますね。」

と言われ、時計を見ると11時半を示していた。
午前の診療受付の終了を知らせるためと、入院患者さんの食事時間が近いのでリハビリの終了や準備に掛かるようにスタッフへ知らせる為にチャイムがなるんだと、理先生が教えてくれた。
ホント、至れり尽くせりってこの事かも…。

本館は診療棟と病棟にあたる建物が繋がっている感じになっている。外来は診療棟にあり7階建ての建物の5階までを占めている。
一般的に本館と呼ばれている病棟のある建物は18階建で北館、西館と言う去年できた新しい建物もあり、そちらも病棟になっている。
本館の8階には売店や書店、レストランにカフェ、一般の方も入れる職員食堂と職員しか入れない食堂、医師専用のラウンジなんかもあるらしい。

フロアにある案内板の前で

「何処でお昼にしましょうか?」

と理先生に聞かれた。僕は、

「理先生のオススメは何処ですか?」

と聞けば、

「一般の方も入れる職員食堂の親子丼やランチは美味しいですよ。レストランのハンバーグとエビフライのセットもなかなかですね。カフェテリアのスープセットも人気メニューですよ。ラウンジでは、ステーキがオススメですね。まぁ、まだ初日ですからこれから色々巡って行く事も出来ますから、おいおいにお勧めは紹介していきますよ。」

と決めきれない様で色々答えてくれた。

「そうですね。ここは沢山食べる場所があって驚きです。アメリカ向こうでは、あってもカフェと売店程度だったので殆どがデリバリーだったので…。」

と答えた僕。

「では、今日は一般の方も入れる職員食堂に行ってみますか?ランチもありますし、セルフで自分の好きな物を組み合わせる事も出来るんですよ。丼物も麺類もありますから、組み合わせは自由にできますし。」

と誘われ、

「セルフ方式なんですね。面白そうです!ソコにしましょう!」

とはしゃいで答えた僕だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

食堂に入ると結構な人で賑わっていた。
白衣を着ている人、色違いのスクラブを着ている人、スーツを着ている人、パジャマ姿の人…
きっとパジャマ姿の人は入院患者さんで、一緒にいるのは家族なんだろうなぁ~って思った。

トレーを持って理先生の後ろを進む。
理先生は、日替わりのランチを注文していたが、僕はランチにするか、丼物にするかですごく悩んだが、理先生が最初にオススメしてくれた親子丼を注文した。
親子丼には、赤だしの汁とお漬物までついていた。

セルフコーナーに進むと、お浸しなどの小鉢物が10種類くらい置いてあった。
ほうれん草のお浸しと、白和え、揚げ出し豆腐が目についてしまい、3つも小鉢を取ったお陰でトレーの上は所狭しとなっていた。
理先生は、ほうれん草のお浸しと小松菜の煮浸しを選んでいた。日替わりランチは、鳥の唐揚げ葱ソースかけでご飯とお味噌汁がついていた。

窓際の2人用の席がちょうど空いていたので、そこに座って食事を頂く事にした。
座ってから気づいたけど、窓際の席は結構な確率で、カップルか女性同士の割合が高かった…。

「あっ、理先生僕と2人の席ですみません。配慮が足りなかったですね…。」

と申し訳なく頭を垂れて言うと、理先生は目線で少し先の席を示して

「殆どいつも1人で食べているので、真琴先生が一緒にいてくれて私的には楽しいですし、あっちでも医師同士で2人席を使ってるんだから気にしないで。ほら、折角の料理が美味しく頂けませんよ。」

と窘められた。

「それに、休憩時間が始まってまだ間が無いですから、医師がここにいる割合はかなり低いです。看護師さん達は交代で休憩を取りますが、外来の医師は午前の患者さんが終わるまで食事に来れませんからね。病棟にいると、丁度この時間帯はナースステーションの電子カルテが比較的空いてるので、指示の入力とかをこの時間帯を狙ってする医師も少なく無いんです。だから、医師の多い時間帯は13時前後になるんです。その時間帯には、かなりの比率で2人席は医師が占めていますよ。」

と言われた。
その一言で僕の気分は急上昇し、にっこりと笑って頷き、美味しいランチを頬張ったのだった。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

お兄ちゃんはお医者さん!?

すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。 如月 陽菜(きさらぎ ひな) 病院が苦手。 如月 陽菜の主治医。25歳。 高橋 翔平(たかはし しょうへい) 内科医の医師。 ※このお話に出てくるものは 現実とは何の関係もございません。 ※治療法、病名など ほぼ知識なしで書かせて頂きました。 お楽しみください♪♪

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

モルモットの生活

麒麟
BL
ある施設でモルモットとして飼われている僕。 日々あらゆる実験が行われている僕の生活の話です。 痛い実験から気持ち良くなる実験、いろんな実験をしています。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

処理中です...