Words of love 〜αとΩ番の誓い〜

浅葱

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新たな生活

新しい1日の始まり②

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「ついて来いよ!」

と奏先生に言われて雛鳥の如くついていく僕…。
そこは救命救急センターのフロアーの上で、壁の片面は全面ガラス張り…。
センターに併設されているの様子が少し覗けばHCUが一望できる仕組みになっている場所だった。

「ココって…」

僕が尋ねると奏先生は、

「救命救急センター医長の僕の部屋。救命だけは部長がいなくて、医長が管理してるんだ。ま、組織図的には外科と並列って感じの扱いにはなってるけどね~。で、来て貰ったのは、ついでにコレを渡そうと思ったから…。」

と、応接セットのソファーに置いてあった紙袋を渡して来た。

「な、何……⁇⁇」

恐る恐る袋の中を覗けば、紺色のスクラブのセットが5セットも入っていた。

「スクラブは、救命の連中しか基本着てないから、救命仕様のだけどね。それに、昨日兄貴と院長に掛け合って、真琴先生には救命にも籍を置いてもらえる事になっているんだ。」

と奏先生が爆弾を投下した…。

外科(心臓血管)と救命の二足の草鞋を僕に履けと‼︎‼︎‼︎
僕の知らないところで、話がどんどん進んで行ってるけど、大丈夫なのか?僕……

「しかし、真琴先生、自分でYシャツにネクタイが似合わないとか兄貴に言ったらしいけど、ホント七五三みてぇ~。スーツに着られてる…って感じだな。そりゃ、スクラブ着てる方が似合ってるわ…。」

と笑われた。
部屋の隅にあるロッカーで、スクラブに着替える奏先生。この間見たときは、素肌にスクラブっぽかったのに今日はハイネックのシャツを着てスクラブを被っている…
変だな?と思ってたら、

「いきなりハイネックにスクラブ着た医者が現れたらぜって~Ωってバレるからな…。俺もお揃いにしてやんよ…。」

とツンデレ発言をする奏先生。
頭を下げたまま、

「ありがとう…」

と何度も繰り返した。
着替え終わった奏先生は、デスクで何やら充電器から外すとこちらに投げて寄越してきた。

「本来なら、その日のフライト担当のドクターが持つ専用の無線だ。循環器の関してはいつ患者が発生するかわからないから1回線専用の物を準備した。勤務中はPHSと共に常に携帯しといて。兄貴に充電ケーブルとかは渡してるから、勤務後は必ず充電して置いて。」

そう言うと、

「じゃ、真琴先生も救命のカンファ行きますか。」

手を引かれて、階下に続く階段を降りた先の救命救急フロアーへ降り立った。
引っ張られるままに、カンファレンスが行われる部屋まで辿り着き、室内に押し込まれる。最奥の中央まで誘われ中央の隣の席に座らされた。
何人かは、金曜日の処置で見かけた顔ぶれがあったが、圧倒的にみしらない顔の方が多い。
アウェー感がたっぷりな雰囲気の中、突如として賑やかな声が聞こえてきた。
その声のする方を見ると、土曜にお世話になった舞先生が居た。

「全員揃ってっかぁ~?」

って入り口で騒いでる。こっちを見て、僕の姿を見つけると、

「なんだ、真琴先生コッチにもう来てたんだ。だったら、朝一で外科医局まで行く必要なかったじゃん…。」

とため息をつきながら悪態をつく。

「じゃ、カンファレンス始めんぞ!」

奏先生の声がカンファレンスルームに響いた。

週末の患者の変動数、 HCUに入室している患者の様子の報告があった。
金曜に僕が機内で見た患者さんは、状態も安定して居たので昨日、循環器の一般病棟へ移動となっていた。
今日の、人員の配置を奏先生が割り振った後、

「金曜に勤務していた者は既に知っているだろうが、アメリカSt. George Hospitalのキャロライン教授の下で、循環器特に心臓血管外科を専門として働かれていた、七草 真琴先生だ。先生は、心臓血管外科分野の技術だけでなく救命領域の技術も引けを取らないくらい高い物を習得されているのを、俺は目の前で見た。そこで、院長と外科部長に掛け合い、救命との兼任をしてもらう事になった。先生には、いつ循環器系の患者が発生するかわからないので専用の無線機を持ってもらってフライトの対応するから、みんなよろしく頼むな。」

と紹介された。
僕は、紹介が始まった辺りでその場に立ちスタッフの顔を見回した。
奏先生の紹介が終わったので、

「七草 真琴です。金曜日は急な患者の受け入れに対して協力してくださり、ありがとうございました。本日よりよろしくお願いします。」

と頭を下げた。
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