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帰国
コーヒーブレイク①
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ーside 真琴ー
「少し早いけど、コーヒーでも飲む?」
理先生が、誘ってくれた。
ずり落ちそうになる理先生のスエットを両手で引き上げたまま頷くと、
「真琴先生、ウエストの紐締めたら少しはマシになると思うから…」
と肩を揺らして笑われた。
「豆から挽くから、少し時間かかるから先にキッチンに行くから、そこのノートパソコンを持って降りて来てくれる?」
と、寝室の出口から言われた。
「分かりました。」
と言いながら、ノートパソコンを持って部屋を出た。
階段を降りたところで、理先生のお宅は、マンションにも関わらず二階建て仕様になっていたことの気付いた。
「理先生って、確かタワマンに住んでるって言ってませんでしたっけ?何で2階があるんですか⁇」
アイランドキッチンで、コーヒー豆を選んでいる理先生に尋ねたら、
「あぁ、ココは最上階だから上に階がないんだよ。だから2階がある。実家が懇意にしてるとこが建てたタワマンだからってのもあるけど、仕事場から近いってのもあって決めたんだ。論文とか仕上げるのに、病院だと息が詰まるから此処なら何人か来ても問題ないしな…。実用的ってワケで決めたんだ。セキュリティーもしっかりしてるしな。」
「そうだったんですか…。僕、結構な量の資料やら専門書を向こうから送ってて一時的に実家に預かってもらってるんですよ。このくらい広かったら、充分収納できそうで良いなぁって思っちゃっいました。」
素直に、思った事を伝えた。
「5LDK、賃貸でも分譲でも可能。もし、引っ越し本気で考えるんなら相談に乗るからいつでも言え。」
優しいバリトンボイスが響く。
「お、深煎りのフレンチローストのマンデリン発見!真琴先生、カフェオレでも良い?」
アイランドキッチンの向こうから聞いて来る。
「あ、カフェオレ飲みたいです。」
と、ノートパソコンを片手に階段を降りる。
アイランドキッチンのカウンター側に、6人がけのダイニングテーブルがある。
その向こうには、大きなテレビが壁際に置いてあり、テレビが見れるようにハイバックソファーがコの字型に配置されていた。
「あ、ソファーに座って待ってて。」
ミルを挽きながら理先生が言う。
すると、突然来客を知らせるチャイムが鳴った。
インターホンに出た理先生は、
「っつ、朝から何しに来たんだ!あ?今開けるからチョット待て。」
と言い、インターホンを切る。インターホンで開錠をすると、ドタドタと足音が聞こえて来た。
「兄貴、家帰るのめんどい。チョット寝させてくれ…」
とアルコール臭漂う奏先生が姿を現した。
「奏先生、大丈夫ですか?」
と問いかければ、上機嫌な奏先生は、
「あれっ?真琴先生、おはよう。」
酔ってはいるものの、呂律もしっかりしているが如何せん酒臭い…。
「奏、酒臭い。シャワーでも浴びて来い。その間に、コーヒー淹れといてやる。」
理先生も、奏先生から香るアルコール臭には驚いたのだろう。
一体どれだけ呑めば、あれだけのアルコール臭が漂って来るんだろうか?と不思議になるばかりだ…。
「へいへい、シャワー借りるよ。」
仕方なさそうに浴室がると思われる方へ足を向けた奏先生。
「一体、どれだけ呑んだんでしょうね?奏先生…。」
心配そうに呟けば、
「多分、朝までオール。『翡翠』で日本酒を6杯ほど呑んでたけど、ありゃあその後BARかクラブでも行ってしこたま呑んだ…って感じだな。少なく見積もっても、ボトル1本は1人で開けてるはず…。」
理先生が、奏先生のお酒事情を教えてくれた。
「そんな呑むんですか?奏先生…」
と言うと、
「仕事が休みの前の日は、結構深酒するかもな…。こうやって、人ん家で仮眠取らせてくれって言って来るのも何度目か…。下手すりゃ、人が出張中でもコンシェルジュに頼んで部屋の鍵開けてもらって好き勝手してたこともあったくらいだからな。半分くらい、自分ちと勘違いしてるかも知れないよ。我が弟ながら情けない…。」
そう呟く理先生の手元のミルで挽かれたコーヒー豆の良い香りが漂って来た。
本格的なコーヒーメーカーも置いてあるが、サイフォンにセットされていく。
「本格的ですね?デロンギもあるし、サイフォンまで…。」
と言うと、
「珈琲と酒は趣味みたいなものかな?酒は、ワインから日本酒、ブランデーにスコッチ、バーボンとか色々気がついたら集めてた。窓際にあるワインセラーには気に入ったものが入れてあるんだ。ここに置けないほど今じゃ集まってるから、実家にワインセラー用の倉庫を立てたくらいにね…。珈琲に至っては、気分転換的な感じで始めたんだけど、それがどっぷりハマった…って具合。」
確かに、窓際にある結構大きなワインセラーには所狭しとワインの瓶が入れられている。その隣にある棚には洋酒や日本酒の瓶が綺麗に陳列されていた。
「あっちは一昔前の酒屋さんみたいで、こっちはカフェみたいですね。」
笑って話していると、
「あ~、さっぱりした!」
と、若干酒臭さは残っているもののスッキリした表情の奏先生がシャワーを浴びて帰って来た。
「少し早いけど、コーヒーでも飲む?」
理先生が、誘ってくれた。
ずり落ちそうになる理先生のスエットを両手で引き上げたまま頷くと、
「真琴先生、ウエストの紐締めたら少しはマシになると思うから…」
と肩を揺らして笑われた。
「豆から挽くから、少し時間かかるから先にキッチンに行くから、そこのノートパソコンを持って降りて来てくれる?」
と、寝室の出口から言われた。
「分かりました。」
と言いながら、ノートパソコンを持って部屋を出た。
階段を降りたところで、理先生のお宅は、マンションにも関わらず二階建て仕様になっていたことの気付いた。
「理先生って、確かタワマンに住んでるって言ってませんでしたっけ?何で2階があるんですか⁇」
アイランドキッチンで、コーヒー豆を選んでいる理先生に尋ねたら、
「あぁ、ココは最上階だから上に階がないんだよ。だから2階がある。実家が懇意にしてるとこが建てたタワマンだからってのもあるけど、仕事場から近いってのもあって決めたんだ。論文とか仕上げるのに、病院だと息が詰まるから此処なら何人か来ても問題ないしな…。実用的ってワケで決めたんだ。セキュリティーもしっかりしてるしな。」
「そうだったんですか…。僕、結構な量の資料やら専門書を向こうから送ってて一時的に実家に預かってもらってるんですよ。このくらい広かったら、充分収納できそうで良いなぁって思っちゃっいました。」
素直に、思った事を伝えた。
「5LDK、賃貸でも分譲でも可能。もし、引っ越し本気で考えるんなら相談に乗るからいつでも言え。」
優しいバリトンボイスが響く。
「お、深煎りのフレンチローストのマンデリン発見!真琴先生、カフェオレでも良い?」
アイランドキッチンの向こうから聞いて来る。
「あ、カフェオレ飲みたいです。」
と、ノートパソコンを片手に階段を降りる。
アイランドキッチンのカウンター側に、6人がけのダイニングテーブルがある。
その向こうには、大きなテレビが壁際に置いてあり、テレビが見れるようにハイバックソファーがコの字型に配置されていた。
「あ、ソファーに座って待ってて。」
ミルを挽きながら理先生が言う。
すると、突然来客を知らせるチャイムが鳴った。
インターホンに出た理先生は、
「っつ、朝から何しに来たんだ!あ?今開けるからチョット待て。」
と言い、インターホンを切る。インターホンで開錠をすると、ドタドタと足音が聞こえて来た。
「兄貴、家帰るのめんどい。チョット寝させてくれ…」
とアルコール臭漂う奏先生が姿を現した。
「奏先生、大丈夫ですか?」
と問いかければ、上機嫌な奏先生は、
「あれっ?真琴先生、おはよう。」
酔ってはいるものの、呂律もしっかりしているが如何せん酒臭い…。
「奏、酒臭い。シャワーでも浴びて来い。その間に、コーヒー淹れといてやる。」
理先生も、奏先生から香るアルコール臭には驚いたのだろう。
一体どれだけ呑めば、あれだけのアルコール臭が漂って来るんだろうか?と不思議になるばかりだ…。
「へいへい、シャワー借りるよ。」
仕方なさそうに浴室がると思われる方へ足を向けた奏先生。
「一体、どれだけ呑んだんでしょうね?奏先生…。」
心配そうに呟けば、
「多分、朝までオール。『翡翠』で日本酒を6杯ほど呑んでたけど、ありゃあその後BARかクラブでも行ってしこたま呑んだ…って感じだな。少なく見積もっても、ボトル1本は1人で開けてるはず…。」
理先生が、奏先生のお酒事情を教えてくれた。
「そんな呑むんですか?奏先生…」
と言うと、
「仕事が休みの前の日は、結構深酒するかもな…。こうやって、人ん家で仮眠取らせてくれって言って来るのも何度目か…。下手すりゃ、人が出張中でもコンシェルジュに頼んで部屋の鍵開けてもらって好き勝手してたこともあったくらいだからな。半分くらい、自分ちと勘違いしてるかも知れないよ。我が弟ながら情けない…。」
そう呟く理先生の手元のミルで挽かれたコーヒー豆の良い香りが漂って来た。
本格的なコーヒーメーカーも置いてあるが、サイフォンにセットされていく。
「本格的ですね?デロンギもあるし、サイフォンまで…。」
と言うと、
「珈琲と酒は趣味みたいなものかな?酒は、ワインから日本酒、ブランデーにスコッチ、バーボンとか色々気がついたら集めてた。窓際にあるワインセラーには気に入ったものが入れてあるんだ。ここに置けないほど今じゃ集まってるから、実家にワインセラー用の倉庫を立てたくらいにね…。珈琲に至っては、気分転換的な感じで始めたんだけど、それがどっぷりハマった…って具合。」
確かに、窓際にある結構大きなワインセラーには所狭しとワインの瓶が入れられている。その隣にある棚には洋酒や日本酒の瓶が綺麗に陳列されていた。
「あっちは一昔前の酒屋さんみたいで、こっちはカフェみたいですね。」
笑って話していると、
「あ~、さっぱりした!」
と、若干酒臭さは残っているもののスッキリした表情の奏先生がシャワーを浴びて帰って来た。
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