Words of love 〜αとΩ番の誓い〜

浅葱

文字の大きさ
上 下
18 / 102
帰国

車中で…

しおりを挟む
理先生の車は、北欧デザインの革新的なデザインな上に、テクノロジー満載なパールホワイトの外車だった。
レザーシートに、木目調のパネル、センターコンソールには大きなタッチパネルがあった。

「僕、この車好きかも…。シンプルなのにデザインは良いし、テクノロジーもしっかり搭載されてて…。」

レザーシートの触り心地が良くて、無意識に撫で付けて呟いていた。

「これ以外にも、何台か持っているんだが、最近はこれに乗る事が多いかな。車も乗ってやらないと不調をきたすから、なんなら当面この車を貸し出せるが…。直ぐに、勤務も始まるしあちこち出かけることもあるだろう。有るにこしたことはないと思うが?」

あっさり、この高級そうな車を貸し出すと言う理先生。

「いや、明日からは姉が比較的近くに嫁いでいるのでそちらにしばらく厄介になることにしているんです。だから、姉の所に車を置けるかわかりませんし、それに、こんな高級車、何かあった時に困ります…。」

とやんわりと辞退の返事をする。

「嫁いだお姉さん夫婦の所に居候するのか?病院から、単身者用のアパートやマンションの案内があるはずなんだが?」

と、不思議そうに尋ねられる。

「そういった案内はなかったです。でも、もう何年もまともな帰国はしていなかったので、姉夫婦が大学病院が通勤圏内という事もあるので、暫く住めばいいと言ってくれたので甘えることにしたんです。義理兄にいさんも、医者なのでいろいろ話がしたいみたいで…」

と答えると、

「そうだったのか。病院側の説明不足については私から謝罪する。申し訳ない。もし、一人暮らしをする気になったら相談に乗るから、遠慮なく言って下さい。病院が案内する物件よりもセキュリティーも万全な物件とか紹介できるから。」

そう言われ、

「そうですね。姉の所にも、そう長居はするつもりは無いのでその時は是非お願いします。」

そう答えた。

後日談になるが、この時の話の直ぐ後に、理先生がセキュリティー万全なマンションとして、自身の住んでいるマンションの空室だった隣室を早々にキープして後々紹介してくるとは、この時の僕は想像だにもしていなかった。

20分ほど車を走らせただろうか…、首都高を降り賑やかな街並みの一区画にある駐車場に車は滑り込んだ。
スマートに車をバックで駐車する理先生の姿に、キュンときてしまった僕…。

「荷物はそのままで構いませんから、行きましょう。」

促されるままに車から降りる。
さり気なく側に立つ理先生と僕の身長差は10㎝程だろうか?
目を横に向ければ、理先生の色気のある口元から鼻筋にかけてが目に入る。
顔を赤くして俯いて照れていれば、

「七草先生、大丈夫ですか?」

と心配がられた。咄嗟に、

「あ、こうやって人と並んで歩くなんて滅多になかったので緊張してしまって…」

言い訳をしてしまった。

「そうだったんですか。気分でも悪くなったのかと、心配しましたが安心しました。あ、あそこに奏がいますね。行きましょう。」

背中をさりげなく触れるエスコートをされ、奏先生の待つ店先に向かった。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

お兄ちゃんはお医者さん!?

すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。 如月 陽菜(きさらぎ ひな) 病院が苦手。 如月 陽菜の主治医。25歳。 高橋 翔平(たかはし しょうへい) 内科医の医師。 ※このお話に出てくるものは 現実とは何の関係もございません。 ※治療法、病名など ほぼ知識なしで書かせて頂きました。 お楽しみください♪♪

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

モルモットの生活

麒麟
BL
ある施設でモルモットとして飼われている僕。 日々あらゆる実験が行われている僕の生活の話です。 痛い実験から気持ち良くなる実験、いろんな実験をしています。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

処理中です...