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帰国
目覚め
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ーside 真琴ー
んっ?なに…
この心地良い感じ…
もう少し味わってたいよ…
そう思っていたが、
『七草、おい、七草…』
と甘いバリトンボイスで囁かれ体を揺さぶられる感覚に、ぼんやりと目を開けていくと、目の前に尊敬する愛しい司波部長のアップが目に入ってきた。
「わぁっ‼︎ぶ、ぶ、部長…」
びっくりしたなぁ~、って、あれ?僕、何してたっけ?
「目が覚めたか?」
と聞かれ、
「はぁ…、と言うか、スミマセン。正直、今何が起こっているのか頭がついていってません…」
しなだれて答えると、
「何処まで覚えてる?」
そう聞かれ、
「オペレコを仕上げた後、Labに持っていくレビューを書いてる途中に発情状態になった辺りまでしか覚えてません…。」
しょぼくれて答えると、
「まあ、そんなもんだろうな。あれだけ、必死に快感を逃そうとしていたらな…」
司波部長は爆弾発言を投げかけた。
「ま、ま、まさか…、僕…」
顔を真っ赤にして頭を振る。
「安心しろ、ここは大学病院だ。緊急抑制剤を投与したから、君は純潔のままだ。」
ホッとして、拗ねた僕は悪態をつく。
「司波部長は、意地悪ですね…。僕がドキドキするのを楽しんでるみたいです。」
ぽそりと呟くと、
「緊急抑制剤を投与するまで七草君に触れなかったから、快感を逃してやれなかった。だから、俺は意地悪かも知れんな…。」
拗ねた僕の悪態にもちゃんと答えを返してくれる…。
座り直し、きちんと司波部長の方に向き直し、
「ご迷惑をお掛けしました。」
と、お礼を言う。
「いや、俺もあてられて発情状態の一歩手前までいってしまったからお相子だ。礼なら、奏に言ってやった方が良いかもな。緊急抑制剤を持って来て投与したのは、ヤツだからな…。」
奏先生も発情状態だった様子を見ている事をそれとなく敢えて伝えてくる司波部長。
「奏先生にもご迷惑をお掛けしたんですね。今度改めてお礼させてもらいます。」
と返す。
「今夜の食事に、奏も誘っているからその時にでも言ってやれば良いよ。それより、レビューの方は書けたのか?」
卓上には、ひと騒動起こす前に初期画面に戻していたパソコンがそのままの状態で置いてある。
「後少しだけ…。今回の機内で使用した際のデータの添付をすれば終わりです。」
そう告げれば、
「なら、かたずけてしまうといいよ。私も、残っている業務をかたずけてしまうから。」
と告げられ、頭をポンポン撫でて自分のデスクへと戻って行った。
「司波部長…」
重い口を開くと、
「理。大学病院には、奏もいるからスタッフ全員名前で呼んでる。それに呼称は部長ではなく先生で構わない。」
心地よい優しい声で言われる。
「では、理先生、僕できれば現場ではスクラブで勤務したいんですが、それだとやっぱりネックガード着けた方が良いですよね…。Yシャツにネクタイって慣れなくて…」
消え入りそうな声で問いかけると、
「そうだな…。スクラブで勤務するなら、君自身の身を守る為にネックガードを着けた方が安全だろうな。意図しない番と番になるのは避けたいだろう?それか、早急に番を見つけてしまうか…の二択だな。」
尤もな答えを返され、
「ですよね…。」
重苦しい空気を漂わせた室内。
「スクラブの下に、ハイネックの服を着ればネックガードは少しは目立たないだろう。ネックガードは私が準備しよう。それでいいか?」
決定の様に返される言葉にも優しさが込もっていた。
ホントは、貴方に番の証を付けて欲しい…、でも、それは叶わない願いなのだから優しさが今は少しつらいのを隠し、
「はい。お願いします。」
と返事をするのが精一杯だった。
んっ?なに…
この心地良い感じ…
もう少し味わってたいよ…
そう思っていたが、
『七草、おい、七草…』
と甘いバリトンボイスで囁かれ体を揺さぶられる感覚に、ぼんやりと目を開けていくと、目の前に尊敬する愛しい司波部長のアップが目に入ってきた。
「わぁっ‼︎ぶ、ぶ、部長…」
びっくりしたなぁ~、って、あれ?僕、何してたっけ?
「目が覚めたか?」
と聞かれ、
「はぁ…、と言うか、スミマセン。正直、今何が起こっているのか頭がついていってません…」
しなだれて答えると、
「何処まで覚えてる?」
そう聞かれ、
「オペレコを仕上げた後、Labに持っていくレビューを書いてる途中に発情状態になった辺りまでしか覚えてません…。」
しょぼくれて答えると、
「まあ、そんなもんだろうな。あれだけ、必死に快感を逃そうとしていたらな…」
司波部長は爆弾発言を投げかけた。
「ま、ま、まさか…、僕…」
顔を真っ赤にして頭を振る。
「安心しろ、ここは大学病院だ。緊急抑制剤を投与したから、君は純潔のままだ。」
ホッとして、拗ねた僕は悪態をつく。
「司波部長は、意地悪ですね…。僕がドキドキするのを楽しんでるみたいです。」
ぽそりと呟くと、
「緊急抑制剤を投与するまで七草君に触れなかったから、快感を逃してやれなかった。だから、俺は意地悪かも知れんな…。」
拗ねた僕の悪態にもちゃんと答えを返してくれる…。
座り直し、きちんと司波部長の方に向き直し、
「ご迷惑をお掛けしました。」
と、お礼を言う。
「いや、俺もあてられて発情状態の一歩手前までいってしまったからお相子だ。礼なら、奏に言ってやった方が良いかもな。緊急抑制剤を持って来て投与したのは、ヤツだからな…。」
奏先生も発情状態だった様子を見ている事をそれとなく敢えて伝えてくる司波部長。
「奏先生にもご迷惑をお掛けしたんですね。今度改めてお礼させてもらいます。」
と返す。
「今夜の食事に、奏も誘っているからその時にでも言ってやれば良いよ。それより、レビューの方は書けたのか?」
卓上には、ひと騒動起こす前に初期画面に戻していたパソコンがそのままの状態で置いてある。
「後少しだけ…。今回の機内で使用した際のデータの添付をすれば終わりです。」
そう告げれば、
「なら、かたずけてしまうといいよ。私も、残っている業務をかたずけてしまうから。」
と告げられ、頭をポンポン撫でて自分のデスクへと戻って行った。
「司波部長…」
重い口を開くと、
「理。大学病院には、奏もいるからスタッフ全員名前で呼んでる。それに呼称は部長ではなく先生で構わない。」
心地よい優しい声で言われる。
「では、理先生、僕できれば現場ではスクラブで勤務したいんですが、それだとやっぱりネックガード着けた方が良いですよね…。Yシャツにネクタイって慣れなくて…」
消え入りそうな声で問いかけると、
「そうだな…。スクラブで勤務するなら、君自身の身を守る為にネックガードを着けた方が安全だろうな。意図しない番と番になるのは避けたいだろう?それか、早急に番を見つけてしまうか…の二択だな。」
尤もな答えを返され、
「ですよね…。」
重苦しい空気を漂わせた室内。
「スクラブの下に、ハイネックの服を着ればネックガードは少しは目立たないだろう。ネックガードは私が準備しよう。それでいいか?」
決定の様に返される言葉にも優しさが込もっていた。
ホントは、貴方に番の証を付けて欲しい…、でも、それは叶わない願いなのだから優しさが今は少しつらいのを隠し、
「はい。お願いします。」
と返事をするのが精一杯だった。
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