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帰国
膝まくら
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ーside 理ー
夜の食事に奏を誘い、天ぷらの美味しい店のセレクトを任せると、仕事に戻って行った。
場所は、後で連絡すると言い残して。
卓上には、発情状態になった時、七草が入力していたパソコンが立ち上がったままの状態で作動していた。あの状態だったにもかかわらず、初期画面になっている事に驚いた。
咄嗟だったのだろうが、色々な意味で情報管理も徹底的に身体に刻み込まれているのだろう…。
そんな彼を愛おしく思い俺は、膝の上でスースーと寝息を立てて気を失ったまま休んでいる七草の顔を覗き込んだ。淡い桜貝のようなピンク色の小さな唇から
「…んっっ。」
甘い吐息が漏れてきた。
「何夢見てるんだか…。幸せそうな顔してやがるな。」
今日初めてまともに会ったばかりだというのに愛おしくてたまらない。
これが運命の番…という事なのだろうか?
優しく七草の栗色の少し癖っ毛で猫っ毛な髪を梳くい、何度もゆっくりと撫で付ける。
整った精悍な顔つきな俺に対して、整ってはいるが温厚な顔つきの七草。
笑えば人懐っこそうな表情を見せるし、仔猫か仔犬かと思うような愛くるしさもある。
目が離せれない…と言うのが正しいかも知れない。
人がほっとけなくなる感じもある。手を掛けてやりたい…、自分の目の届くところに置いておきたい…そんな衝動に駆られる。
もう、俺は末期症状かも知れない…。
「悪ぃな、我慢できねぇ…。キスくらいは許せよ…」
そう囁き、そっと唇にやわらかく触れた。
何度かチュッチュと唇の表面を啄ばんでから離れると、
「んっ……」
甘い吐息が室内に響いた。
膝まくらなんてもんは一生縁がないものだと思った。ましてや、する方は脳裏をかすめたことすらなかった。
それが、いくらでもしてやりたくなる衝動に駆られている。
これが運命の番への、無償の愛…とでも言うのだろうか?
膝の上で、寝息を立てていた愛しい運命の番がもぞっと寝返りを打ち、俺の方に顔を向ける。
腹から足の付け根の辺りに、吐息がかかる。
「くっ…。」
発情抑制剤を打ったにも関わらず反応してしまいそうになる俺の下半身…
「や…、やべえっ……」
このままだと本当に反応してしまい再び発情状態になりかねない。
七草の体をそっと向きを変えながら抱き起こし、肩のもたれかかるような姿勢に座らせる。
それでも目を覚まさない七草…。
軽く肩を揺さぶり、頬をペチペチと叩きながら、
「七草、おい、七草…」
と何度か囁けば、薄っすらと目を開け始めた。
夜の食事に奏を誘い、天ぷらの美味しい店のセレクトを任せると、仕事に戻って行った。
場所は、後で連絡すると言い残して。
卓上には、発情状態になった時、七草が入力していたパソコンが立ち上がったままの状態で作動していた。あの状態だったにもかかわらず、初期画面になっている事に驚いた。
咄嗟だったのだろうが、色々な意味で情報管理も徹底的に身体に刻み込まれているのだろう…。
そんな彼を愛おしく思い俺は、膝の上でスースーと寝息を立てて気を失ったまま休んでいる七草の顔を覗き込んだ。淡い桜貝のようなピンク色の小さな唇から
「…んっっ。」
甘い吐息が漏れてきた。
「何夢見てるんだか…。幸せそうな顔してやがるな。」
今日初めてまともに会ったばかりだというのに愛おしくてたまらない。
これが運命の番…という事なのだろうか?
優しく七草の栗色の少し癖っ毛で猫っ毛な髪を梳くい、何度もゆっくりと撫で付ける。
整った精悍な顔つきな俺に対して、整ってはいるが温厚な顔つきの七草。
笑えば人懐っこそうな表情を見せるし、仔猫か仔犬かと思うような愛くるしさもある。
目が離せれない…と言うのが正しいかも知れない。
人がほっとけなくなる感じもある。手を掛けてやりたい…、自分の目の届くところに置いておきたい…そんな衝動に駆られる。
もう、俺は末期症状かも知れない…。
「悪ぃな、我慢できねぇ…。キスくらいは許せよ…」
そう囁き、そっと唇にやわらかく触れた。
何度かチュッチュと唇の表面を啄ばんでから離れると、
「んっ……」
甘い吐息が室内に響いた。
膝まくらなんてもんは一生縁がないものだと思った。ましてや、する方は脳裏をかすめたことすらなかった。
それが、いくらでもしてやりたくなる衝動に駆られている。
これが運命の番への、無償の愛…とでも言うのだろうか?
膝の上で、寝息を立てていた愛しい運命の番がもぞっと寝返りを打ち、俺の方に顔を向ける。
腹から足の付け根の辺りに、吐息がかかる。
「くっ…。」
発情抑制剤を打ったにも関わらず反応してしまいそうになる俺の下半身…
「や…、やべえっ……」
このままだと本当に反応してしまい再び発情状態になりかねない。
七草の体をそっと向きを変えながら抱き起こし、肩のもたれかかるような姿勢に座らせる。
それでも目を覚まさない七草…。
軽く肩を揺さぶり、頬をペチペチと叩きながら、
「七草、おい、七草…」
と何度か囁けば、薄っすらと目を開け始めた。
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