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帰国
怒涛の1日③
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「荷物なら、空港からのものと併せてそこに届いていますよ。確認して下さい。それと、自由にこの場所は使ってもらって構いませんよ。」
と返事をもらった。
「有難うございます。」
ペコリと頭を下げ、示されていた荷物の置いてある入り口近くにある棚へと向かい、手荷物として持ち込んでいた鞄を手にソファーへと戻った。
鞄の中から、先程機内で使用したデモ機と自分のノートパソコンを取り出した。
「それは?」
司波部長が不思議そうに尋ねる。
「先程機内で使用した、簡易心電図モニターです。実家のデモ機で、プレビューを頼まれていたんです。そのレビューを機内で作成する予定が、この騒動で出来てなかったんで…。明日、Labにも顔を出す予定なので、それまでに、レビューを仕上げておきたくて…。」
申し訳なさそうな声で答えた僕に、
「今までの製品よりかなりコンパクトになっていますね。開発意図はなにか聞いてもいいですか?」
関心を持ったのか、司波部長が尋ねる。
僕は、ノートパソコンを操作しながら、
「あ、はい構いません。従来の製品より約半分のサイズまでコンパクトになっています。臨床向けというより、在宅や施設向けを設定しています。コンパクトであれば、往診などに持ち運びができて、在宅でも安易に正確な心電図がモニタリング出来ます。向こうで、在宅への訪問を経験させていただいた時にあったら良いなぁ~、と思ったので兄達に何となく話したら実現した…と言ったとこです。」
と答えると、
「なるほど、それで合点がいったよ。君の救急救命の現場での的確な判断力と技術の水位が。在宅での経験が生かされているんだね。」
バリトンボイスで優しく囁かれ、僕の胸はキュンとし、胸の奥…いや、お腹の辺りがキュンと疼きキーボードを操作する手が止まった。
「甘い匂いがする…。ひょっとして、七草君、発情抑制剤が切れて来てるんじゃないのか?」
突然言われ、はたと思い出す。
「や、やばっ!丸1日分飲み忘れてました。僕、発情が始まるのがものすごく遅かったんです。だから、未だに不順なんです。でも、あいにく緊急抑制剤は手持ちがないので司波部長、僕から離れて下さい。アルファである部長が発情になってしまわれてわっっ…」
徐々に体の芯が熱を持ちだし、自分の呼吸でさえ感じてしまう…
「あぁっっ…はっっ…」
欲情する快感を逃そうとすればする程、呼吸が乱れ更に欲情してしまう。
司波部長は落ち着き払った様子で立ち上がり、自身のデスクの内線で何処かに連絡を始めた。
「すまないが緊急抑制剤を持って来てくれ…。ああ、そうだ。」
と手短に話すと受話器を元に戻した。
「もう暫くの辛抱だ。君が望むなら、その欲望の赴くままにしてあげる事も可能だが、君はそれを望んでいない…。そうだろ。…運命の番。」
最後の方の言葉は、快感を逃すことで精一杯だった僕には届いていなかった。
と返事をもらった。
「有難うございます。」
ペコリと頭を下げ、示されていた荷物の置いてある入り口近くにある棚へと向かい、手荷物として持ち込んでいた鞄を手にソファーへと戻った。
鞄の中から、先程機内で使用したデモ機と自分のノートパソコンを取り出した。
「それは?」
司波部長が不思議そうに尋ねる。
「先程機内で使用した、簡易心電図モニターです。実家のデモ機で、プレビューを頼まれていたんです。そのレビューを機内で作成する予定が、この騒動で出来てなかったんで…。明日、Labにも顔を出す予定なので、それまでに、レビューを仕上げておきたくて…。」
申し訳なさそうな声で答えた僕に、
「今までの製品よりかなりコンパクトになっていますね。開発意図はなにか聞いてもいいですか?」
関心を持ったのか、司波部長が尋ねる。
僕は、ノートパソコンを操作しながら、
「あ、はい構いません。従来の製品より約半分のサイズまでコンパクトになっています。臨床向けというより、在宅や施設向けを設定しています。コンパクトであれば、往診などに持ち運びができて、在宅でも安易に正確な心電図がモニタリング出来ます。向こうで、在宅への訪問を経験させていただいた時にあったら良いなぁ~、と思ったので兄達に何となく話したら実現した…と言ったとこです。」
と答えると、
「なるほど、それで合点がいったよ。君の救急救命の現場での的確な判断力と技術の水位が。在宅での経験が生かされているんだね。」
バリトンボイスで優しく囁かれ、僕の胸はキュンとし、胸の奥…いや、お腹の辺りがキュンと疼きキーボードを操作する手が止まった。
「甘い匂いがする…。ひょっとして、七草君、発情抑制剤が切れて来てるんじゃないのか?」
突然言われ、はたと思い出す。
「や、やばっ!丸1日分飲み忘れてました。僕、発情が始まるのがものすごく遅かったんです。だから、未だに不順なんです。でも、あいにく緊急抑制剤は手持ちがないので司波部長、僕から離れて下さい。アルファである部長が発情になってしまわれてわっっ…」
徐々に体の芯が熱を持ちだし、自分の呼吸でさえ感じてしまう…
「あぁっっ…はっっ…」
欲情する快感を逃そうとすればする程、呼吸が乱れ更に欲情してしまう。
司波部長は落ち着き払った様子で立ち上がり、自身のデスクの内線で何処かに連絡を始めた。
「すまないが緊急抑制剤を持って来てくれ…。ああ、そうだ。」
と手短に話すと受話器を元に戻した。
「もう暫くの辛抱だ。君が望むなら、その欲望の赴くままにしてあげる事も可能だが、君はそれを望んでいない…。そうだろ。…運命の番。」
最後の方の言葉は、快感を逃すことで精一杯だった僕には届いていなかった。
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