11 / 102
帰国
怒涛の1日②
しおりを挟む
「ぶ、部、部長自らが僕の指導医ですか?」
嬉しくて舞い上がりそうで、でもびっくりした拍子に、僕のお腹がグーっと鳴ったせいで、僕は真っ赤な顔になった。
「そうです。色々と事情がありますからね。その事は後ほど話すとして、先ずはオペレコ記載の前に空腹を満たしましょう。お腹の虫が暴れないように…。」
真っ赤な顔で俯く僕は、
「すみません。昨日の夕食もろくにとってない状態で急患が機内で発生してしまったので、朝食を摂るどころではなくなったんです…。」
頭を掻き何度も頭を下げながら伝えると、
「ほぼ1日何も食べずですか?体を壊しますよ。そうですね、七草君今夜何か用事でもありますか?」
「いえ、機内で今夜のホテルを予約して1日ゆっくりした後、明日実家に寄ったりしようと思っていたのですが、この騒動で予約すら取れていない状態です。今から、ホテルを抑えたりしなくてはいけない着の身着のまま状態です。」
「そうでしたか…。ホテルのほうは、病院の方で手配しておきますので、夜は歓迎の意味も込めて食事にお誘いしたいのですが?何か召し上がりたいものはありますか?」
憧れていた人からの食事の誘いに僕は、しっぽを振って飛びつく仔犬のように、
「食事のお誘い有難うございます。ぜひ御一緒させて下さい。時折自炊する以外は、病院の食堂やファーストフード、それにデリバリーで済ませていたので日本に帰ってきたら、美味しい天ぷらを食べたいな…って思ってたんです。あちらでは、日本ならではの四季折々の新鮮な野菜はなかなか入手できませんし、そもそもゆっくりと食事に出かける時間も取りませんでしたから…。」
照れながら答えると、
「へぇ~、自炊していらしたんですか?お忙しいのに…。料理を作ってくれる恋人とかいらしゃったのでは?」
と返された。
「いえ、全くそういった関係の人はいませんでしたよ。強いていえば、キャロライン先生の自宅に伺った際に、奥様の手料理を頂くくらいで…。なので、日本食が恋しかったです。」
素直に答えると、
「意外ですね。その容姿であればモテたでしょうに…。」
と返される始末。
「恋人を作るよりも、憧れている方がいたのでその方に一歩でも近ずけるように無我夢中で知識や技術を身につけるのに精一杯でしたから…。」
と返した。
「では、今夜は天ぷらが美味しいお店に行きましょう。その前に、小腹を満たしましょう。」
と、院内にあるカフェで軽食をご馳走になった後、先程のオペレコを記載する為に司波部長の部屋に案内された。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
部長室の応接セットには電子カルテ用のノートパソコンが用意されていて、司波部長のIDで入力を進め経過を記載していった。司波部長は、自身のデスクで何やらパソコンに向かい作業を始められた。
途中で、医療秘書の方が何度かやって来て、その内にコーヒーを入れてくれた。
入力がひと段落したので、
「司波部長、これで宜しいでしょうか?確認をお願いします。」
と司波部長に声をかける。
颯爽と重厚な椅子から立ち上がって、2人掛けのソファーへやって来て僕のそばに腰をかけると、画面を覗き込みマウスでスクロールさせてオペレコのチェックをした。
「とても詳細に書かれていますね。それでいて、簡潔明瞭。大変わかりやすいです。お疲れ様でした。」
そう褒めてくれた。
「有難うございます。向こうでは、日本語を用いて記載する事が皆無でしたので、少し戸惑いましたが、大丈夫でしたか?」
確認の為に尋ねると、
「そうですね、特別問題はないと思いますよ。英語で書く医局員もいますし御自身のやりやすい方法で構わないと、私は思いますよ。」
とアドバイスをくれた。
「分かりました。そう言えば救急救命センターに僕の荷物を置きっ放しにしているので取りに行ってもよろしいでしょうか?少し、やっておきたい事があるので宜しければこの場所をもうしばらくお貸しいただけるとありがたいのですが…。」
荷物のことを思い出し、司波部長に許可を求めた。
嬉しくて舞い上がりそうで、でもびっくりした拍子に、僕のお腹がグーっと鳴ったせいで、僕は真っ赤な顔になった。
「そうです。色々と事情がありますからね。その事は後ほど話すとして、先ずはオペレコ記載の前に空腹を満たしましょう。お腹の虫が暴れないように…。」
真っ赤な顔で俯く僕は、
「すみません。昨日の夕食もろくにとってない状態で急患が機内で発生してしまったので、朝食を摂るどころではなくなったんです…。」
頭を掻き何度も頭を下げながら伝えると、
「ほぼ1日何も食べずですか?体を壊しますよ。そうですね、七草君今夜何か用事でもありますか?」
「いえ、機内で今夜のホテルを予約して1日ゆっくりした後、明日実家に寄ったりしようと思っていたのですが、この騒動で予約すら取れていない状態です。今から、ホテルを抑えたりしなくてはいけない着の身着のまま状態です。」
「そうでしたか…。ホテルのほうは、病院の方で手配しておきますので、夜は歓迎の意味も込めて食事にお誘いしたいのですが?何か召し上がりたいものはありますか?」
憧れていた人からの食事の誘いに僕は、しっぽを振って飛びつく仔犬のように、
「食事のお誘い有難うございます。ぜひ御一緒させて下さい。時折自炊する以外は、病院の食堂やファーストフード、それにデリバリーで済ませていたので日本に帰ってきたら、美味しい天ぷらを食べたいな…って思ってたんです。あちらでは、日本ならではの四季折々の新鮮な野菜はなかなか入手できませんし、そもそもゆっくりと食事に出かける時間も取りませんでしたから…。」
照れながら答えると、
「へぇ~、自炊していらしたんですか?お忙しいのに…。料理を作ってくれる恋人とかいらしゃったのでは?」
と返された。
「いえ、全くそういった関係の人はいませんでしたよ。強いていえば、キャロライン先生の自宅に伺った際に、奥様の手料理を頂くくらいで…。なので、日本食が恋しかったです。」
素直に答えると、
「意外ですね。その容姿であればモテたでしょうに…。」
と返される始末。
「恋人を作るよりも、憧れている方がいたのでその方に一歩でも近ずけるように無我夢中で知識や技術を身につけるのに精一杯でしたから…。」
と返した。
「では、今夜は天ぷらが美味しいお店に行きましょう。その前に、小腹を満たしましょう。」
と、院内にあるカフェで軽食をご馳走になった後、先程のオペレコを記載する為に司波部長の部屋に案内された。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
部長室の応接セットには電子カルテ用のノートパソコンが用意されていて、司波部長のIDで入力を進め経過を記載していった。司波部長は、自身のデスクで何やらパソコンに向かい作業を始められた。
途中で、医療秘書の方が何度かやって来て、その内にコーヒーを入れてくれた。
入力がひと段落したので、
「司波部長、これで宜しいでしょうか?確認をお願いします。」
と司波部長に声をかける。
颯爽と重厚な椅子から立ち上がって、2人掛けのソファーへやって来て僕のそばに腰をかけると、画面を覗き込みマウスでスクロールさせてオペレコのチェックをした。
「とても詳細に書かれていますね。それでいて、簡潔明瞭。大変わかりやすいです。お疲れ様でした。」
そう褒めてくれた。
「有難うございます。向こうでは、日本語を用いて記載する事が皆無でしたので、少し戸惑いましたが、大丈夫でしたか?」
確認の為に尋ねると、
「そうですね、特別問題はないと思いますよ。英語で書く医局員もいますし御自身のやりやすい方法で構わないと、私は思いますよ。」
とアドバイスをくれた。
「分かりました。そう言えば救急救命センターに僕の荷物を置きっ放しにしているので取りに行ってもよろしいでしょうか?少し、やっておきたい事があるので宜しければこの場所をもうしばらくお貸しいただけるとありがたいのですが…。」
荷物のことを思い出し、司波部長に許可を求めた。
12
お気に入りに追加
719
あなたにおすすめの小説


お兄ちゃんはお医者さん!?
すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。
如月 陽菜(きさらぎ ひな)
病院が苦手。
如月 陽菜の主治医。25歳。
高橋 翔平(たかはし しょうへい)
内科医の医師。
※このお話に出てくるものは
現実とは何の関係もございません。
※治療法、病名など
ほぼ知識なしで書かせて頂きました。
お楽しみください♪♪

こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)


甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる