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帰国
怒涛の1日①
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10分程で聖心大学付属病院のヘリポートに到着した。
直ぐに、奏先生の後を追いかけ処置の準備に入る為、処置室に足を踏み入れた。
サッと室内の備品などを目視しチェックを行う。
必要そうな物品は全て準備してあることを確認した。
「七草真琴先生だ。本来なら週明けから心臓血管外科に着任予定だったが、現場で患者の処置を行って下さっていたのでそのまま本日の処置をお任せすることになった。全ての指示は七草先生に従え。外科部長からの許可も出ている。」
奏先生が処置室内のスタッフに伝えると、
「はいっ!」
と返事がスタッフから返ってきた。
「七草真琴です。よろしくお願いします。CVの留置と血算血ガス等血液検査一般、心エコー、EKG、準備お願いします。」
そう伝えながら、処置室の隅のデスクに手荷物と上着を脱ぎ置かせてもらった。
半袖Tシャツにジーンズとこの部屋にはとてつもない違和感がある格好だが、処置台にある手袋を掴み処置のフォローに入る。
CV留置に手間取っている。きっと研修医なのだろう。
側に寄り、穿刺している血管の走行を探る。
「もう少し深くゆっくりシリンジを引きながら穿刺してみて下さい。」
研修医と思われる人物は、僕の指示に従ってゆっくりとシリンジを引きながら穿刺針を進めていく。
「そう、そこ!」
シリンジに逆血を確認した。
「後は大丈夫ですね。お願いします。」
側を離れると、司波部長が処置室に入ってくる姿が見えた。
「私も何か手伝おう。」
と、カッターシャツを腕まくりしながら申し出てくれた。
「兄貴が手伝ってくれるなら、俺の出る幕は無くなるな。後進の指導と麻酔管理やらに専念させて貰うよ。」
と奏先生が麻酔などの全身管理をかって出てくれた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2人のサポートのお陰で、大きな問題もなく検査も処置も終わらせる事が出来た。
奏先生に至っては、麻酔管理をしながらスタッフに今行われている処置について指導していた。さらに、自分では詳しくわからない内容については、その都度僕に尋ねてきて後進への指導もやってのけていた。
手洗い場で手袋を外した手を流水で洗い流し、さっぱりしている僕に向かい、
「流れるような見事な処置でした。奏の質問にも答えながら尚且つ、それを上回る後進の育成の手伝いまでこなして。恐れ入ったよ。」
ガウンを解きながら、司波部長が言う。
「いえ、後進の育成なんて大げさなものではないんです。自分が通ってきた道ですし、その苦労は分かっていますから、自分が持っている知識や技術は些細なものですが人の役に立てれば…と思って話しているだけなんです。」
「CVの挿入に手間取ってた研修医への補助もチラっとだが見させて貰った。あそこまでの技術を身につけるのは、並大抵の努力ではなかっただろう。それをひけらかす事なく、人の役に立てればと言う想いで接す事ができるのは、七草先生の人柄ですね。」
そう言いながら、流水で手洗いをする司波部長。
カテーテル室の奥にあるスタッフルームへと足を向けながら、
「患者さんの状態も安定しているようだから、患者さんの全身管理はHCUのスタッフに任せて、今日のオペレコを作成しましょう。七草先生のIDはまだ発行できていないので、私のIDになるけど。」
と申し訳なさそうに言う。
「司波部長は、ここにいらして大丈夫なんですか?」
素朴な疑問をぶつけると、
「あぁ、それなら心配には及ばない。君の指導医だから、ここに居るのが私の仕事だ。」
想定外の返事が返ってきた。
直ぐに、奏先生の後を追いかけ処置の準備に入る為、処置室に足を踏み入れた。
サッと室内の備品などを目視しチェックを行う。
必要そうな物品は全て準備してあることを確認した。
「七草真琴先生だ。本来なら週明けから心臓血管外科に着任予定だったが、現場で患者の処置を行って下さっていたのでそのまま本日の処置をお任せすることになった。全ての指示は七草先生に従え。外科部長からの許可も出ている。」
奏先生が処置室内のスタッフに伝えると、
「はいっ!」
と返事がスタッフから返ってきた。
「七草真琴です。よろしくお願いします。CVの留置と血算血ガス等血液検査一般、心エコー、EKG、準備お願いします。」
そう伝えながら、処置室の隅のデスクに手荷物と上着を脱ぎ置かせてもらった。
半袖Tシャツにジーンズとこの部屋にはとてつもない違和感がある格好だが、処置台にある手袋を掴み処置のフォローに入る。
CV留置に手間取っている。きっと研修医なのだろう。
側に寄り、穿刺している血管の走行を探る。
「もう少し深くゆっくりシリンジを引きながら穿刺してみて下さい。」
研修医と思われる人物は、僕の指示に従ってゆっくりとシリンジを引きながら穿刺針を進めていく。
「そう、そこ!」
シリンジに逆血を確認した。
「後は大丈夫ですね。お願いします。」
側を離れると、司波部長が処置室に入ってくる姿が見えた。
「私も何か手伝おう。」
と、カッターシャツを腕まくりしながら申し出てくれた。
「兄貴が手伝ってくれるなら、俺の出る幕は無くなるな。後進の指導と麻酔管理やらに専念させて貰うよ。」
と奏先生が麻酔などの全身管理をかって出てくれた。
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2人のサポートのお陰で、大きな問題もなく検査も処置も終わらせる事が出来た。
奏先生に至っては、麻酔管理をしながらスタッフに今行われている処置について指導していた。さらに、自分では詳しくわからない内容については、その都度僕に尋ねてきて後進への指導もやってのけていた。
手洗い場で手袋を外した手を流水で洗い流し、さっぱりしている僕に向かい、
「流れるような見事な処置でした。奏の質問にも答えながら尚且つ、それを上回る後進の育成の手伝いまでこなして。恐れ入ったよ。」
ガウンを解きながら、司波部長が言う。
「いえ、後進の育成なんて大げさなものではないんです。自分が通ってきた道ですし、その苦労は分かっていますから、自分が持っている知識や技術は些細なものですが人の役に立てれば…と思って話しているだけなんです。」
「CVの挿入に手間取ってた研修医への補助もチラっとだが見させて貰った。あそこまでの技術を身につけるのは、並大抵の努力ではなかっただろう。それをひけらかす事なく、人の役に立てればと言う想いで接す事ができるのは、七草先生の人柄ですね。」
そう言いながら、流水で手洗いをする司波部長。
カテーテル室の奥にあるスタッフルームへと足を向けながら、
「患者さんの状態も安定しているようだから、患者さんの全身管理はHCUのスタッフに任せて、今日のオペレコを作成しましょう。七草先生のIDはまだ発行できていないので、私のIDになるけど。」
と申し訳なさそうに言う。
「司波部長は、ここにいらして大丈夫なんですか?」
素朴な疑問をぶつけると、
「あぁ、それなら心配には及ばない。君の指導医だから、ここに居るのが私の仕事だ。」
想定外の返事が返ってきた。
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