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帰国
緊急事態
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患者の側に着き状態を確認した僕は、胸痛を引き起こす原因は、心筋梗塞、狭心症等の冠動脈疾患、冠動脈疾患以外の循環器疾患、呼吸器疾患、消化器疾患、整形外科疾患、神経疾患、ストレス性など、非常に多岐に渡る為、冠動脈疾患の除外が必要と判断した。
絞扼感と圧迫感が強い訴えの為、冠動脈疾患が濃厚で、自分のカバンからポータブルのEKGを取り出した。
実家の医療機器メーカーのデモ機で、帰国前に使用感や性能のチェックを頼まれていて、最終のレビューを機内でまとめようと思って機内持ち込みしていた事が幸いした。
心電図上、ST波の上昇を確認し、急性心筋梗塞が最も濃厚と判断した。
CAに、
「Since there is a strong suspicion of acute myocardial infarction, we will request a state of emergency.
(急性心筋梗塞の疑いが強いので、非常事態宣言をお願いします。)
Please report to the captain and call if there are any other medical staff on board.
(機長に報告してください、それと他に医療スタッフが居ないか確認して教えてください。)」
と伝えた。
CAが準備してくれてたドクターズキット内に点滴とリドカインがあったので、留置針で点滴を開始し、点滴内にリドカインをシリンジに準備してゆっくりと注入し、ゆっくりと滴下を始めた。
生憎、機内には僕以外の医療従事者は搭乗していなかった為、すべて自分1人で行うことになったが、CAの助けもあり円滑に行う事ができた。処置中に、機長からあと1時間ほどで成田に着陸する事が伝えられた。緊急時で無線使用の許可も出てインターカムも準備された。
患者の容態は、一時的に落ち着いたが、予断は許されない。
自身の携帯電話のWi-Fi機能を使い、ある場所へ連絡を取った。
僕にはこの後の事態に備えてお願いする先へはまだ直接連絡を取る事が出来ない為、恩師であるキャロライン先生にお願いした。
ーside 理ー
朝の外科カンファレンス中に、珍しくけたたましい内線が鳴った。
内線の側にいた若手のスタッフが、電話に出る。
2、3言話し直ぐに「変わります」と言い「司波部長、セントジョージホスピタルのキャロライン教授から大至急のお電話が入っているとの事です」と子機を渡してきた。
「繋ぎます」と言いキャロライン教授と繋がった。
教授の話によると、
『七草真琴が帰国の為に搭乗した機内で急性心筋梗塞と思われる患者が出たとの事。現在は、機内のドクターズキット内の薬剤使用で状態は落ち着いているが、緊急要請を掛けた事で、後1時間以内には成田に到着する見込みなので、到着後はドクターヘリで患者を受け入れてほしい』
と言う内容だった。
『必要に応じては、緊急の冠動脈造影と冠動脈形成術(PCI)が必要になることも予想されるので、出来れば予後の管理まで自身で行いたいと判断している。そちらの施設には、ドクターヘリも完備されているし循環器は君の専門分野。愛弟子もこれから到着する。安心して、患者を任せることが出来るので、是非ともよろしくお願いしたい。』
と言われた。
そして、『詳細は直接機内にいる、七草真琴と連絡して確認して欲しい。』と伝えられ、七草真琴のプライベート番号を伝えられた。
キャロライン教授に直接依頼されるなど、滅多にある事では無い。二つ返事で了承し、通話を終えた。
「緊急の患者の受け入れ要請だ。約1時間後に成田に到着する機内で急性心筋梗塞と思われる患者が発生している。機内には、偶然来週から赴任予定の循環器外科医が搭乗しており処置にあたっている。救命救急部と連絡を取って受け入れ体制を取るように。私は、直接機内の患者の様子を確認する連絡を取る。救命救急の医長に至急連絡を取って、部長室まで来て貰ってくれ。指揮は私が取る。」
そう言えば、蜘蛛の子を散らすようにスタッフがカンファレンスルームから飛び出した。医長クラスは、手分けして各部門への連絡体制に入っている。
その中を、プライベート番号を控えた資料を持ち部長室へ颯爽と走り出した。
絞扼感と圧迫感が強い訴えの為、冠動脈疾患が濃厚で、自分のカバンからポータブルのEKGを取り出した。
実家の医療機器メーカーのデモ機で、帰国前に使用感や性能のチェックを頼まれていて、最終のレビューを機内でまとめようと思って機内持ち込みしていた事が幸いした。
心電図上、ST波の上昇を確認し、急性心筋梗塞が最も濃厚と判断した。
CAに、
「Since there is a strong suspicion of acute myocardial infarction, we will request a state of emergency.
(急性心筋梗塞の疑いが強いので、非常事態宣言をお願いします。)
Please report to the captain and call if there are any other medical staff on board.
(機長に報告してください、それと他に医療スタッフが居ないか確認して教えてください。)」
と伝えた。
CAが準備してくれてたドクターズキット内に点滴とリドカインがあったので、留置針で点滴を開始し、点滴内にリドカインをシリンジに準備してゆっくりと注入し、ゆっくりと滴下を始めた。
生憎、機内には僕以外の医療従事者は搭乗していなかった為、すべて自分1人で行うことになったが、CAの助けもあり円滑に行う事ができた。処置中に、機長からあと1時間ほどで成田に着陸する事が伝えられた。緊急時で無線使用の許可も出てインターカムも準備された。
患者の容態は、一時的に落ち着いたが、予断は許されない。
自身の携帯電話のWi-Fi機能を使い、ある場所へ連絡を取った。
僕にはこの後の事態に備えてお願いする先へはまだ直接連絡を取る事が出来ない為、恩師であるキャロライン先生にお願いした。
ーside 理ー
朝の外科カンファレンス中に、珍しくけたたましい内線が鳴った。
内線の側にいた若手のスタッフが、電話に出る。
2、3言話し直ぐに「変わります」と言い「司波部長、セントジョージホスピタルのキャロライン教授から大至急のお電話が入っているとの事です」と子機を渡してきた。
「繋ぎます」と言いキャロライン教授と繋がった。
教授の話によると、
『七草真琴が帰国の為に搭乗した機内で急性心筋梗塞と思われる患者が出たとの事。現在は、機内のドクターズキット内の薬剤使用で状態は落ち着いているが、緊急要請を掛けた事で、後1時間以内には成田に到着する見込みなので、到着後はドクターヘリで患者を受け入れてほしい』
と言う内容だった。
『必要に応じては、緊急の冠動脈造影と冠動脈形成術(PCI)が必要になることも予想されるので、出来れば予後の管理まで自身で行いたいと判断している。そちらの施設には、ドクターヘリも完備されているし循環器は君の専門分野。愛弟子もこれから到着する。安心して、患者を任せることが出来るので、是非ともよろしくお願いしたい。』
と言われた。
そして、『詳細は直接機内にいる、七草真琴と連絡して確認して欲しい。』と伝えられ、七草真琴のプライベート番号を伝えられた。
キャロライン教授に直接依頼されるなど、滅多にある事では無い。二つ返事で了承し、通話を終えた。
「緊急の患者の受け入れ要請だ。約1時間後に成田に到着する機内で急性心筋梗塞と思われる患者が発生している。機内には、偶然来週から赴任予定の循環器外科医が搭乗しており処置にあたっている。救命救急部と連絡を取って受け入れ体制を取るように。私は、直接機内の患者の様子を確認する連絡を取る。救命救急の医長に至急連絡を取って、部長室まで来て貰ってくれ。指揮は私が取る。」
そう言えば、蜘蛛の子を散らすようにスタッフがカンファレンスルームから飛び出した。医長クラスは、手分けして各部門への連絡体制に入っている。
その中を、プライベート番号を控えた資料を持ち部長室へ颯爽と走り出した。
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