【R18】きみを抱く理由

さくら蒼

文字の大きさ
上 下
81 / 81
番外編:疑われてもきみを抱く理由

しおりを挟む
「……ん、ふ……っ……」

 キスの合間に敏感な場所を触られ、声がくぐもる。
 胸も、足の付け根も、豊さんの指が私を焦らし、高ぶらせていった。
 全身が熱い。
 下着の下で、胸の先端が痛いほど張り詰めているのがわかった。

「ぃ、あっ……」

 かり、と爪で引っかかれて声が漏れる。

「君は浮気するなよ」
「ふ、ぇ……?」
「俺以外に感じるなと言っているんだ」
「んっ……」

 指の腹でこすられ、つままれ、お腹の奥がじくじくと疼く。
 もっと刺激が欲しい場所へ手を導くと、豊さんは私の足を軽く開かせて奥に触れた。
 ちゅくり、と音がして、長い指がそこをかき乱し始める。

「っは……ぁっ……ん……んっ……」

 中へ一本潜り込んだ指が、引き抜かれては挿入される。
 いつも身体を満たしてくれるのとは質量が違いすぎて、もどかしさばかりが募った。
 甘い疼きと快感に支配されながら、豊さんの言葉を反芻する。
 ようやく意味を飲み込んだとき、私は自分の気持ちをそのまま口に出していた。

「……ばか」
「……は?」
「豊さん以外の人にこんなことされて、気持ちよくなれるはずないじゃないですか……」

 ぎゅうう、と抱き締めてお腹に力を入れる。

「……私に全部教えたのはあなたですよ。忘れたんですか」
「忘れるわけないだろ。初めてのくせにあんなに乱れて、今でも夢に見る」
「……嘘つき」
「嘘じゃない」

 微かに衣擦れが聞こえた。
 豊さんが身じろぎして、ベルトを外す音が続く。

「君に嘘を言っても、どうせすぐバレる」
「――っ、んん」

 ゆっくりと、刻み込むように中へ侵入される。
 指とは違う大きさが私を押し広げていっぱいにしていった。

「は――っ、ん……おっき……」
「……そういうことを言うのはやめてくれ」
「ん、やっ」

 ぐり、と中をえぐられて背中がのけぞる。

「それから、締め付けるのもやめろ」
「やっ……あっ……」
「その声もだめだな」

 私の反応ひとつひとつを否定しながら、豊さんは荒く腰を動かす。
 肌を打ち付けられるたび、全身がふるりと震えた。
 痺れて手足の先まで力が抜ける。

「デートしたいんだろ。だったら俺を興奮させるな」
「そん……なの……どうしたら……いいか……っ……」
「無理だから諦めた方が早いな」
「ふあ、あっ……」

 根本まで豊さんを飲み込んで、一気に引き抜かれる。
 それを繰り返されるだけで私はあっという間に追い詰められた。

「あ……んっ……んっ……も……だめ、無理です……んぅっ……」
「最初から無理だろ。ずっとイキ続けてる」
「ちがっ……」
「違わない」

 突かれるたび、ずくんと身体に電流が走って目の前がちらついていた。
 こんなにも簡単に達しているなんて知られたくなかったのに、やはり繋がっているせいで気付いてしまうらしい。

「いつも君ばかりずるいな」
「……っ、豊さんが悪いんです……」

 こんなに感じさせられているのに、まだ全身がこの人を求めている。

「たくさん……気持ちよくするから……」
「それもなしだな」
「あっ……」

 腰を掴まれて、より深い場所をえぐるように突かれる。
 軽く達しているにもかかわらず、豊さんは何度も何度も私の感じる場所を責めた。

「は……あっ……あんっ……」
「俺も、いいか」

 豊さんの息が荒い。
 私の中で、限界を感じ始めているそれがびくびくと脈打っていた。

「いい、です……来て……」
「…………っ」

 一気に抽挿が激しくなる。
 私の理性も思考も全部奪い去って、快楽に塗り潰していった。
 抗うことなく溺れれば、もう、豊さんのすべてで満たされる。

「あ……あっ……あっ……!」

 細く甲高い声が自分の口からあふれ、はじけるように意識が飛んだ。
 かと思えば一瞬で現実に引き戻される。
 すっかり荒くなった息を整えている頃には、豊さんも落ち着いていた。

「……だめだな、俺も」
「なにがですか……?」
「もっと君に無理をさせたい」

 引き抜かれるかと思っていたそれが、私の中で硬さを取り戻していく。
 無理をさせたいという言葉通り、私を欲して。

「浮気を疑った分くらいは付き合ってくれ」
「それってどのぐらいですか?」
「朝までかな」
「だからそれは絶対無理です」

 言うだけ言った私を見て、豊さんは曖昧に笑った。
 この余裕のない表情も、私しか映っていない瞳も、たとえ有沢さんに聞かれようと、誰にも教えられそうにない――。
しおりを挟む
感想 11

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(11件)

きゃなこ
2024.12.01 きゃなこ

まだ読み終わってないのに感想を書きに来てしまいました。

大好きです。なんでハートは10個しか押せないんや...乾き切った生活に潤いをありがとうございます。じっくり読ませていただきます。

解除
泉
2019.08.06

(*´∀`)♪

さくら蒼
2019.08.08 さくら蒼

2つもコメントありがとうございます。
たのしんでいただけているようで何よりです。

解除
泉
2019.08.06

バカかよ、可愛い

解除

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

雪井しい
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。 【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】 ☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆ ※ベリーズカフェでも掲載中 ※推敲、校正前のものです。ご注意下さい

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。 だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。 車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。 あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

あまやかしても、いいですか?

藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。 「俺ね、ダメなんだ」 「あーもう、キスしたい」 「それこそだめです」  甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の 契約結婚生活とはこれいかに。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。