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番外編:今、きみを抱く理由
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「ん、ぅっ」
再び持ち上げられた腰から、一息に下着を下ろされる。
大事な場所は豊さんの目にさらされていた。
恥ずかしいけれど、やっぱり身体が期待する。
「処女のくせに、すぐ感じて」
噛み締めるような声のあと、熱いものをこすりつけられる。
ぬるりと入口の浅い場所へ入ってきたそれが、私の興奮に合わせて反応したように思えた。
「もっと奥を弄ってほしいともねだったな」
「あ……ん、やっ……」
「キスも、俺に触られるのも、全部気持ちいいんだったか?」
「なん、で……覚えて……っ……」
腰を掴まれる。
刹那、ずん、と一番深い場所を貫かれた。
「――――っ」
声にならない声とともに、軽く達してしまう。
びくびく痙攣した身体を、豊さんは容赦なく責めた。
「君のことで、俺が、忘れると?」
「あっ……あっ……やっ……」
「それこそ、ありえない」
「んんっ……!」
深い場所と浅い場所と、交互に刺激されて背中がのけぞる。
後ろから抱かれたことは何度もあった。
だけど、今夜はどのときよりも激しい。
ず、ず、と硬いものが私の中をこすり上げて熱を高めていく。
リズミカルな動きに水音が重なった。
耳を塞ぎたくても淫靡な音が私の鼓膜を犯して、さらにあふれさせる。
豊さんの手で引き出された私自身の興奮が、より滑らかな抽挿と、それにともなう快感を促した。
「っは……あっ……あぅ……」
「好き、は?」
「ぅ……ふ、ぇ……?」
「いつもみたいに好きって言ってくれないなら、やめる」
「っ……」
ここで『やめない』ではなく、『やめる』と言うあたりが私をよくわかっている。
もっと豊さんに愛されたい、求められたい、抱かれたい。
そんな気持ちを全部見透かされていた。
あるいは、繋がっている場所から伝わっているのかもしれない。
「好き……好き、です……だから……ぁっ……」
やめないで、と言う前に肌を打ち付けられた。
「やめてほしくないか」
「っ……ん」
不自由な体勢ながら頷くと、微かに笑った気配がした。
「このまま最後までするのと、いつもみたいに抱き締められてするのと、どっちがいい?」
また、選択だ。
さっきは言えなかったことを、今度はちゃんと口にする。
「豊さんにされるの……全部、好き……」
「だったら、全部するか」
「ん、あっ」
腰を押さえ付けられて、打ち付けるように中を抉られる。
自分がどんな声を出しているかもわからないくらい、嬌声がこぼれた。
唇の端から唾液が伝ってシーツを汚していく。
でも、そんなことを気にしている余裕なんてまったくなかった。
「あ、はっ……あっ……んん、んっ、んーっ……!」
シーツに痛覚があったら悲鳴を上げているだろうと思うくらい、きつく掴む。
どっと自分の中が収縮して、豊さんのすべてを受け止めようとした。
「っ、こら」
たしなめるような声が落ちる。
もっと楽しむつもりだったのだろうけれど、もう私の方が限界だった。
「ぅ、あ……あ……あっ……」
ずくん、とひときわ奥を突かれた瞬間、意識が飛ぶ。
一拍ののちに全身が痺れた。
足の先まで快感が広がったかと思うと、どこからともなく溶けて霧散する。
「ふ……ぁ……」
脱力して、いつものようにシーツへ身体を預けようとした。
でも、それより早く豊さんが私を仰向けにさせる。
「全部、がいいんだろう?」
「あ、や……嘘……」
「嘘じゃない」
「――んん、っ」
まだ余韻の残る身体に再び豊さんが入ってくる。
「よかったな、明日が休みで」
「や……優しくしてください……」
「大丈夫だ。次は優しくする。さっきは激しかったからな」
その言葉通り、抽挿は穏やかだった。
繋がっていることを意識させるように、ゆっくり奥を突き、そして同じくらいゆっくり時間をかけて引く。
それを繰り返されると、一度達した身体がまたじんじん火照り始めた。
「ひどい、です」
簡単に火を付けられる身体ではなく、そうしてしまう豊さんに文句を言う。
さっきはできなかったけれど、今度はその背中に腕を回した。
豊さんは逆らうことなく私に抱かれ、また奥をぐっと突く。
「少しは遠慮してください……」
「マリッジブルーになるのを忘れるぐらい、俺に夢中にさせてしまえばいいかと思って」
「…………もう、なってます」
ぴたりと動きを止めた豊さんが、驚くほど嬉しそうに笑った。
「だったらもっと早く言ってくれ」
優しく、そして激しく。豊さんは私の心を縛り付けようと限界まで愛そうとする。
他の誰にも見せないその笑顔にこそ縛り付けられているというのに、この上身体まで縛り付けようとするなんて、本当にひどい人だと思った――。
再び持ち上げられた腰から、一息に下着を下ろされる。
大事な場所は豊さんの目にさらされていた。
恥ずかしいけれど、やっぱり身体が期待する。
「処女のくせに、すぐ感じて」
噛み締めるような声のあと、熱いものをこすりつけられる。
ぬるりと入口の浅い場所へ入ってきたそれが、私の興奮に合わせて反応したように思えた。
「もっと奥を弄ってほしいともねだったな」
「あ……ん、やっ……」
「キスも、俺に触られるのも、全部気持ちいいんだったか?」
「なん、で……覚えて……っ……」
腰を掴まれる。
刹那、ずん、と一番深い場所を貫かれた。
「――――っ」
声にならない声とともに、軽く達してしまう。
びくびく痙攣した身体を、豊さんは容赦なく責めた。
「君のことで、俺が、忘れると?」
「あっ……あっ……やっ……」
「それこそ、ありえない」
「んんっ……!」
深い場所と浅い場所と、交互に刺激されて背中がのけぞる。
後ろから抱かれたことは何度もあった。
だけど、今夜はどのときよりも激しい。
ず、ず、と硬いものが私の中をこすり上げて熱を高めていく。
リズミカルな動きに水音が重なった。
耳を塞ぎたくても淫靡な音が私の鼓膜を犯して、さらにあふれさせる。
豊さんの手で引き出された私自身の興奮が、より滑らかな抽挿と、それにともなう快感を促した。
「っは……あっ……あぅ……」
「好き、は?」
「ぅ……ふ、ぇ……?」
「いつもみたいに好きって言ってくれないなら、やめる」
「っ……」
ここで『やめない』ではなく、『やめる』と言うあたりが私をよくわかっている。
もっと豊さんに愛されたい、求められたい、抱かれたい。
そんな気持ちを全部見透かされていた。
あるいは、繋がっている場所から伝わっているのかもしれない。
「好き……好き、です……だから……ぁっ……」
やめないで、と言う前に肌を打ち付けられた。
「やめてほしくないか」
「っ……ん」
不自由な体勢ながら頷くと、微かに笑った気配がした。
「このまま最後までするのと、いつもみたいに抱き締められてするのと、どっちがいい?」
また、選択だ。
さっきは言えなかったことを、今度はちゃんと口にする。
「豊さんにされるの……全部、好き……」
「だったら、全部するか」
「ん、あっ」
腰を押さえ付けられて、打ち付けるように中を抉られる。
自分がどんな声を出しているかもわからないくらい、嬌声がこぼれた。
唇の端から唾液が伝ってシーツを汚していく。
でも、そんなことを気にしている余裕なんてまったくなかった。
「あ、はっ……あっ……んん、んっ、んーっ……!」
シーツに痛覚があったら悲鳴を上げているだろうと思うくらい、きつく掴む。
どっと自分の中が収縮して、豊さんのすべてを受け止めようとした。
「っ、こら」
たしなめるような声が落ちる。
もっと楽しむつもりだったのだろうけれど、もう私の方が限界だった。
「ぅ、あ……あ……あっ……」
ずくん、とひときわ奥を突かれた瞬間、意識が飛ぶ。
一拍ののちに全身が痺れた。
足の先まで快感が広がったかと思うと、どこからともなく溶けて霧散する。
「ふ……ぁ……」
脱力して、いつものようにシーツへ身体を預けようとした。
でも、それより早く豊さんが私を仰向けにさせる。
「全部、がいいんだろう?」
「あ、や……嘘……」
「嘘じゃない」
「――んん、っ」
まだ余韻の残る身体に再び豊さんが入ってくる。
「よかったな、明日が休みで」
「や……優しくしてください……」
「大丈夫だ。次は優しくする。さっきは激しかったからな」
その言葉通り、抽挿は穏やかだった。
繋がっていることを意識させるように、ゆっくり奥を突き、そして同じくらいゆっくり時間をかけて引く。
それを繰り返されると、一度達した身体がまたじんじん火照り始めた。
「ひどい、です」
簡単に火を付けられる身体ではなく、そうしてしまう豊さんに文句を言う。
さっきはできなかったけれど、今度はその背中に腕を回した。
豊さんは逆らうことなく私に抱かれ、また奥をぐっと突く。
「少しは遠慮してください……」
「マリッジブルーになるのを忘れるぐらい、俺に夢中にさせてしまえばいいかと思って」
「…………もう、なってます」
ぴたりと動きを止めた豊さんが、驚くほど嬉しそうに笑った。
「だったらもっと早く言ってくれ」
優しく、そして激しく。豊さんは私の心を縛り付けようと限界まで愛そうとする。
他の誰にも見せないその笑顔にこそ縛り付けられているというのに、この上身体まで縛り付けようとするなんて、本当にひどい人だと思った――。
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