【R18】きみを抱く理由

さくら蒼

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きみを抱く理由

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「じゃあ、また私の写真を撮ってください」
「撮りたくなるまで契約させてくれ。今度は三ヶ月じゃなくて、それ以上がいい」

 もうこの人には片思いの相手を縛り付ける必要がない。
 それなのにまだ契約と言ってくるあたりが面白い。

「個人的には一生を希望したいんだが、君の意見は?」
「やだ、って言ったらどうするんですか?」
「婚姻届に名前を書くまで閉じ込めておく。……ここに」

 想いをたくさん込めて抱き締められる。
 ずっと自分だけを思い続けてきた人の腕に閉じ込められて、逃げられるはずがない。

「君はいつも思っていない方の答えを質問してくるな。いい加減、俺を試すのはやめろ」
「聞いてくるくせに、最初から答えを決めてるから質問したくなるんです」

 文句を言うと、うるさいとでも言いたげにキスされた。
 びっくりして口をつぐむ。
 それをいいことに繰り返され、ベッドへ押し倒される。

「……好きになってもいいんですよね?」

 最後にもう一押し、夢ではないと確認したくて尋ねた。
 はは、と笑われる。

「なにを言っているんだ。……もう、好きだろ」
「ん……」

 降り注ぐキスを受けながら、その通りだと考える。
 好きになってもいいか、ではない。
 これからもずっと好きでいいか、と聞く方が正しい。

「大好きです」
「俺の方がもっと好きだ」

(……ああ)

 吐息混じりの囁きに胸が締め付けられた。
 あの夜、私が好きだと言ってしまったときもこの人は言った。
 ――俺の方が、もっと。

(ここまで来るのに三ヶ月は長すぎる……)

 たった一言伝え合えばこんなに回り道をせずに済んだ。
 けれど、これが逆に私たちらしいのかもしれない。

「……っ、ん」

 豊さんの手が胸に触れて小さく声を上げる。

「す……するんですか……?」
「しない選択肢があったのか?」
「……ううん」

 身体の力を抜いて、自分から軽く服をまくる。

「好きに……してください」

 私をまじまじと見つめた豊さんが、くっと口角を引き上げた。

「君は俺の扱い方を理解しすぎている」

 以前にも聞いたようなことを言うと、さっきとは違う深いキスを落とされた。
 舌が触れて絡む。
 ぬるい体温と、自分のものではない異物の感触にぞくぞくした。

「っは……ぁ……」

 シーツを掴んでそのキスに応える。
 ちゅくちゅくと舌を絡める度に音が響いて、私の身体も震えるほど疼いた。
 触れなくても、見られなくても自分でわかっている。
 どれだけこの身体が豊さんを求めて熱くなっているか。

「んっ……あ、ぅ」

 下着を強引にはぎ取られ、胸の先を指で弾かれる。
 既に硬くなったそこがこりこり弄ばれた。
 きゅっとつままれれば、また息が荒くなる。
 優しく転がされては爪で掻かれ、翻弄されて目の前が滲んだ。

「ぅ、あ……んっ……」
「舐められる方が好きか?」
「ぜん、ぶ……好きです……」

 ふっと笑われる。
 その吐息が胸元へと下りて、指にいじめられてじんじんするそこをくすぐった。

「俺にされるならなんでもいいのか」
「っ……は、い……」
「あんまりかわいいことを言うなよ。寝かせてやれなくなる」
「ん、く」

 れろ、と舌が胸の突起を包み込む。
 やわやわ包み込んではぬるりと滑り、周囲をなぞったかと思えば突然中心をつつく。
 自分に余裕があれば子供のようだと笑えたかもしれないけれど、もちろんそんな余裕はかけらもない。
 なにをされるのにも反応していると、私の深い欲を悟ったように手が足の間へ伸びた。
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