【R18】きみを抱く理由

さくら蒼

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わからないからもどかしい

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「――っ、ふ、あ」

 あれから何度限界を迎えさせられたのだろう?
 また全身に力が入って、中に穿たれたものを締め付けてしまう。

「んん、んーっ……!」

 ぎゅう、と豊さんにしがみついてから、大きく息を吐きだす。
 汗をにじませた豊さんもまた、びくりと身体を震わせた後に息を吐いた。

「まだ、平気か」

 相変わらずの端的な言葉。
 けれど、そこに秘められた熱は狂おしいほど。

「あ……あんまり平気じゃ……ない、です……」
「……ここでおあずけを食らうと、俺の方が平気じゃない」
「だったら聞かないでください……。……っん」

 微かな水音を立てて豊さんが私から出て行く。
 その僅かな刺激にも反応してしまい、ふるりと身体が甘く震えた。
 ごそ、と音がする。
 行為の合間にときどき聞こえていた音は、豊さんが避妊具を用意する音。
 それだけで期待する身体が恨めしい。

「…………ないな」
「……そんなにしたんですか」
「君が悪い」

 むっとした声で反論すると、豊さんは疲れた様子で私に覆いかぶさってきた。
 モノがない以上、ここで打ち止めにするしかないらしい。
 私はというと、限界を迎えていた身体はほっと安心している。
 代わりに心は豊さんと同じく残念がっていた。

「あの、シャワー……」
「切り替えが早すぎる」

 まさか怒られるとは思わなかった。
 余韻に浸るのは恋人だけ。私たちは身体だけの関係に近いというのに。

「……ん」

 熱を残したままの頬へ唇が触れた。
 髪を撫でられ、首筋にも。更に鎖骨へ流れていく。

「あ……っ……待って……」
「いい加減、俺が待たないことを学んだらどうなんだ」
「だ、って……んっ……」

 これ以上しないなら、もう私を煽るのはやめてほしい。
 くすぶっていた火がまた中で燃え上がる。
 反応した身体は豊さんの目にすべて晒されていた。

「つ……付けないでするのは……だめですから……」
「わかってる」

 たった一回だけ、アキくんとの記事が載ったあの日は直接繋がった。
 その辺りに一応気を遣っていたらしいこの人にしてはとんでもない失態だと、後から思っていたけれど。

「っ、ん、あ」

 胸のふくらみを包み込んだ手の熱さに声が漏れる。
 もう片方の先端を口に含まれると、今は埋められていない中がきゅんと疼いた。

「あ……や、豊さん……っ……」
「君の感じているところを見たい」
「や……だ、め……」
「声だけでもいいが」

 それはそれで恥ずかしい。
 手を伸ばし、豊さんの耳を塞ごうとする。
 触れる直前で手首を捉えられ、手のひらにキスされた。

「わがままだな。見るのも聞くのもだめか」
「恥ずかしいからだめです……」
「そう言っている君がかわいい」
「あっ……」

 腕を払いのけられてしまう。
 豊さんは私の静止など聞かず、下腹部へと唇を滑らせていった。
 この後、どんな刺激を与えられるのか。この身体はよく覚えている。

「……んんっ……!」

 太ももに添えられた手が、豊さんにしか許さなかった場所をこじ開けた。
 先ほどまでの名残で溶けたそこにふっと息を吹きかけられる。

「あっ……んん、ぅ……っ……」

 舌先が身体の中でも一番敏感な突起に触れた。
 飴を舐めるようにねっとりと転がし、吸い上げる。

「……っひ、あ……あっ……あ、やっ……あぁっ……」

 詰まった嬌声しかあげられなくて、はしたない刺激に溺れた。
 豊さんの髪をきゅっと掴み、くちゅくちゅという音を聞く。
 ときどき入口の方まで下りた舌は、そこからあふれた液体をすすって突起の位置まで引き延ばす。
 唾液と、私のあふれさせたものとで、ますます淫靡な音が大きくなった。
 腰ががくがく震える。
 気持ちいい、しか考えられない。
 あの豊さんにこんなことをされているという背徳感と興奮も、私の快感を後押しした。

「ゆた、か……さん……私……もう……っ……」

 ふ、と笑った気配がした。
 その吐息がかすめただけで達しそうになる。

「もっと用意しておけばよかったな」

 なにを、とは聞かないでもわかる。
 彼は私と身体を繋げたがっていた。
 その想いを感じ取れて、息を荒げながら言う。

「わ……私も……気持ちよくしたい、です……。自分ばっかりなんて……嫌だから……」
「……いいんだ」
「――っう」

 つぷりと前触れなく指を挿入される。

「君がこんなに感じてくれているだけで充分だしな」
「う、あっ……ああっ……あ、んっ……!」

 指でかき回されながら、また卑猥な音を立てて吸われる。
 中からと外からとどちらからも責められ、すっかりできあがっていた身体はあっという間に追い詰められた。
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