9 / 81
『どこまで』するの?
3
しおりを挟む
「くっ……すぐった……い……です……」
「今は、だろ」
「……っひ、う」
この人の手はこんなに熱かっただろうか?
潜り込んだ手は私の背中へ回ると、ぱちりと聞き慣れた音を発した。
ややあってから、下着のホックをはずされたのだと気付く。
道理で胸元の締め付けが緩くなったわけだ。
だからといって、別に息がしやすくなったわけではないのだけれど。
それどころか、より一層苦しくなったような気がする。
(どうしてそんな目で見つめるの?)
これは三ヶ月だけの契約。恋人の振りをして、お互いに目的を果たすための。
「……ぃ、あっ……」
かり、と爪の先が胸の先端をかすめた瞬間、喉の奥から細い声が漏れる。
私はいつからこんな甘えた声を出すようになったのだろう?
わからないけれど、腹部が熱く疼く。
「硬くなってる」
笑いを含んだ低い声が耳朶に触れる。
すがるように抱き着いているせいで、顔が見えなくなった。
安心するような、逆に怖いような、そんな気持ちで混乱する。
「や……だ、だめ……」
「だめじゃない。……認めろ」
「……っあ、ん」
認めろ――と言った通り、思い知らせるようにそこばかり指で弄られる。
硬くなった芯を更に育てようとでもいうのか、指の腹でぐりぐり押し潰された。
その刺激に反応して腰が揺れる。
もう自分がどんな声を出しているのかなんて考えていられない。
「あっ……あっ……ぅ、あっ……あ」
繰り返し、触れられる度に声が濡れる。
「あん、まり……そこばっかり……」
「初めてなら、身体に覚えさせる方がいいだろう?」
「なに……を……?」
「感じ方を」
ずくん、とお腹の奥に少し意地悪な声が響く。
――今、私はこの人の手で快感を教え込まされている。
それを強く意識して。
「や……んっ……あぅ……」
「いい顔。……残しておきたくなる」
神宮寺さんが私の服をまくりあげる。
ふるり、と外気にすべてが晒された。
その恥ずかしさに、ますます激しい熱が私を襲った。
「……撮っても?」
「え……?」
「恋人。テーマだから」
端的な言葉の意味を理解するのに数秒。
この人はどうやら人に説明するという能力に欠けているらしい。
……それとも、今だけそうなのか。
「写真のこと……言ってるんじゃないですよね……?」
「俺が撮ると言ったら他にないだろ」
「ぜ、絶対だめです。こんなところ……!」
「……だったら、いいって言わせてやる」
「ん、ぁっ!」
膝裏に手を添えられ、持ち上げられた。
両足を広げられた状態で見下ろされるという、想像するだけでも恥ずかしい格好に眩暈さえ感じる。
「や、やめ――」
啼いても無駄だった。
そんな恥ずかしい格好をさせられたまま、神宮寺さんは私の胸へと顔を寄せる。
(そっ……ち……)
硬くなった場所を舐められてびくりと震える。
それに反応しながらも、私の身体は戸惑いを覚えていた。
(てっきり……私……)
お腹の奥がじんじんする。
きっとその熱を冷ましてくれるのだと思ったのに、触れてほしかった場所への刺激が来ない。
そんな風に思ってしまう自分が恐ろしかった。
この歳になっても仕事ばかりで経験がなかった自分。
なのに、身体はなにをされたいのか理解している。
「じんぐう、じ……さん……そこ、じゃなく、て……」
「……ん?」
「こっち……」
なにを言っているんだろう――なんて振り返るだけの余裕があれば、きっともっと違う言葉で求められた。
だけど、できない。
「こっちがいいです……」
すがりながら、神宮寺さんの手を緩く掴んで下腹部に導く。
触れてほしいのはその奥。
自分から求めるなんて恥ずかしい。淫らで、軽蔑されるかもしれない。
そう思いながら、この人の体温を望んでしまう。
「触られる、と、きもち、よく、て」
途切れ途切れに訴える。
いつもはこんな風にならないのだ、と。
――なぜか今だけおかしくなってしまっているのだ、と伝えるように。
必死な私をどう思ったのか、神宮寺さんが苦笑いする。
「……いやらしい」
「っ……」
「……やっと『君』の顔を見られた気がする」
え、と言う前に背中がのけ反った。
「っ……あ、ああっ……!」
悲鳴に似た声がこぼれたのは、神宮寺さんのせい。
私が望んだ通りの場所に指が擦れて、張り詰めた芯に溢れた蜜を塗り付けてくる。
「や、やっ……あっ……あんっ……んっ……」
ぎゅうう、ときつく抱き締めて耐えようとした。
でも、すぐ高みへと追いやられる。
「まだキスしかしてないのにな」
再び苦笑されて、胸元へのキスがひとつ。
下を触られながら胸の先端を唇で挟まれると、さっきまでとは比べ物にならない波に襲われる。
(キスしかしてないなんて、嘘)
それ以上のとびきり恥ずかしくて気持ちのいいことをされている。
だってさっき、この人ははっきり言ったのだ。
私の身体に感じ方を覚えさせる、と。
「今は、だろ」
「……っひ、う」
この人の手はこんなに熱かっただろうか?
潜り込んだ手は私の背中へ回ると、ぱちりと聞き慣れた音を発した。
ややあってから、下着のホックをはずされたのだと気付く。
道理で胸元の締め付けが緩くなったわけだ。
だからといって、別に息がしやすくなったわけではないのだけれど。
それどころか、より一層苦しくなったような気がする。
(どうしてそんな目で見つめるの?)
これは三ヶ月だけの契約。恋人の振りをして、お互いに目的を果たすための。
「……ぃ、あっ……」
かり、と爪の先が胸の先端をかすめた瞬間、喉の奥から細い声が漏れる。
私はいつからこんな甘えた声を出すようになったのだろう?
わからないけれど、腹部が熱く疼く。
「硬くなってる」
笑いを含んだ低い声が耳朶に触れる。
すがるように抱き着いているせいで、顔が見えなくなった。
安心するような、逆に怖いような、そんな気持ちで混乱する。
「や……だ、だめ……」
「だめじゃない。……認めろ」
「……っあ、ん」
認めろ――と言った通り、思い知らせるようにそこばかり指で弄られる。
硬くなった芯を更に育てようとでもいうのか、指の腹でぐりぐり押し潰された。
その刺激に反応して腰が揺れる。
もう自分がどんな声を出しているのかなんて考えていられない。
「あっ……あっ……ぅ、あっ……あ」
繰り返し、触れられる度に声が濡れる。
「あん、まり……そこばっかり……」
「初めてなら、身体に覚えさせる方がいいだろう?」
「なに……を……?」
「感じ方を」
ずくん、とお腹の奥に少し意地悪な声が響く。
――今、私はこの人の手で快感を教え込まされている。
それを強く意識して。
「や……んっ……あぅ……」
「いい顔。……残しておきたくなる」
神宮寺さんが私の服をまくりあげる。
ふるり、と外気にすべてが晒された。
その恥ずかしさに、ますます激しい熱が私を襲った。
「……撮っても?」
「え……?」
「恋人。テーマだから」
端的な言葉の意味を理解するのに数秒。
この人はどうやら人に説明するという能力に欠けているらしい。
……それとも、今だけそうなのか。
「写真のこと……言ってるんじゃないですよね……?」
「俺が撮ると言ったら他にないだろ」
「ぜ、絶対だめです。こんなところ……!」
「……だったら、いいって言わせてやる」
「ん、ぁっ!」
膝裏に手を添えられ、持ち上げられた。
両足を広げられた状態で見下ろされるという、想像するだけでも恥ずかしい格好に眩暈さえ感じる。
「や、やめ――」
啼いても無駄だった。
そんな恥ずかしい格好をさせられたまま、神宮寺さんは私の胸へと顔を寄せる。
(そっ……ち……)
硬くなった場所を舐められてびくりと震える。
それに反応しながらも、私の身体は戸惑いを覚えていた。
(てっきり……私……)
お腹の奥がじんじんする。
きっとその熱を冷ましてくれるのだと思ったのに、触れてほしかった場所への刺激が来ない。
そんな風に思ってしまう自分が恐ろしかった。
この歳になっても仕事ばかりで経験がなかった自分。
なのに、身体はなにをされたいのか理解している。
「じんぐう、じ……さん……そこ、じゃなく、て……」
「……ん?」
「こっち……」
なにを言っているんだろう――なんて振り返るだけの余裕があれば、きっともっと違う言葉で求められた。
だけど、できない。
「こっちがいいです……」
すがりながら、神宮寺さんの手を緩く掴んで下腹部に導く。
触れてほしいのはその奥。
自分から求めるなんて恥ずかしい。淫らで、軽蔑されるかもしれない。
そう思いながら、この人の体温を望んでしまう。
「触られる、と、きもち、よく、て」
途切れ途切れに訴える。
いつもはこんな風にならないのだ、と。
――なぜか今だけおかしくなってしまっているのだ、と伝えるように。
必死な私をどう思ったのか、神宮寺さんが苦笑いする。
「……いやらしい」
「っ……」
「……やっと『君』の顔を見られた気がする」
え、と言う前に背中がのけ反った。
「っ……あ、ああっ……!」
悲鳴に似た声がこぼれたのは、神宮寺さんのせい。
私が望んだ通りの場所に指が擦れて、張り詰めた芯に溢れた蜜を塗り付けてくる。
「や、やっ……あっ……あんっ……んっ……」
ぎゅうう、ときつく抱き締めて耐えようとした。
でも、すぐ高みへと追いやられる。
「まだキスしかしてないのにな」
再び苦笑されて、胸元へのキスがひとつ。
下を触られながら胸の先端を唇で挟まれると、さっきまでとは比べ物にならない波に襲われる。
(キスしかしてないなんて、嘘)
それ以上のとびきり恥ずかしくて気持ちのいいことをされている。
だってさっき、この人ははっきり言ったのだ。
私の身体に感じ方を覚えさせる、と。
0
お気に入りに追加
1,347
あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
雪井しい
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。
【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】
☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆
※ベリーズカフェでも掲載中
※推敲、校正前のものです。ご注意下さい
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

決して飼いならされたりしませんが~年下御曹司の恋人(仮)になります~
北館由麻
恋愛
アラサーOLの笑佳は敬愛する上司のもとで着々とキャリアを積んでいた。
ある日、本社からやって来たイケメン年下御曹司、響也が支社長代理となり、彼の仕事をサポートすることになったが、ひょんなことから笑佳は彼に弱みを握られ、頼みをきくと約束してしまう。
それは彼の恋人(仮)になること――!?
クズ男との恋愛に懲りた過去から、もう恋をしないと決めていた笑佳に年下御曹司の恋人(仮)は務まるのか……。
そして契約彼女を夜な夜な甘やかす年下御曹司の思惑とは……!?
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる