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契約は少し強引に
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パシャ、と聞こえたのはシャッターを切る音。
それにあわせてくぐもった喘ぎ声と、ぎしぎしという軋むベッドの音が混ざり合う。
「っ……あ……っ、んんっ……」
「顔、隠すな」
「やっ……」
無意識に顔の前へ伸ばそうとしていた手を、強引に掴まれてシーツに縫い留められてしまう。
そして彼はまた、シャッターを切った。
「ぅ、あ」
押し殺し損ねた声が唇から漏れ出る。
繰り返される抽挿。私の中を広げては、抜けていく。
水音を響かせながら中を擦られると、こんなにも全身が痺れた。
奥をかすめて、そうして名残惜しげに引き下がる。ただそれを繰り返しているだけなのに、どうして甘い声が止められないのか。
また、パシャリと音がした。
私のあられもない姿を、乱れた顔を。隠し切れないすべてを彼のカメラが収めていく。
「……も、撮らない、で……っ……」
必死にそう訴えたけれど、返事の代わりにより深く侵入される。
「い……あっ……あっ……」
一度溢れてしまえばもう止まらなかった。
シーツを掴んで、断続的に与えられる快感を受け止める。
(これは、契約、だから)
ひと突きされるたび、溺れないように自分へと言い聞かせる。
散々、身体を甘く溶かされたせいか目がうるむ。
その視界の先にはひたすらに私を求める彼の姿があった。
――この関係に愛があるわけじゃない。
わかっているのに流されてしまいそうで。
(あと、三ヶ月……)
「また余計なことを考えてるだろ」
「――っ」
低い囁きの方にこそ、疼きが走る。
「……余裕あるんだな」
ない。そんなものはどこにもない。
答えようと開いた唇はあっけなく塞がれた。
「こんなにしてるのに」
膝裏を持ち上げられて、もっともっと深くへ。
シーツにすがるだけでは足りず、その背中に爪を立てた。
声にならない声が漏れて、私と、彼の限界への引き金となる。
(あと、三ヶ月)
そう思っていないとやっていられない。
――長くて短い三ヶ月間の恋人契約。
どうして天才フォトグラファーの彼が私なんかとこんな契約を結んだのか。
さかのぼること、一週間前。
パシャ、と聞こえたのはシャッターを切る音。
それにあわせてくぐもった喘ぎ声と、ぎしぎしという軋むベッドの音が混ざり合う。
「っ……あ……っ、んんっ……」
「顔、隠すな」
「やっ……」
無意識に顔の前へ伸ばそうとしていた手を、強引に掴まれてシーツに縫い留められてしまう。
そして彼はまた、シャッターを切った。
「ぅ、あ」
押し殺し損ねた声が唇から漏れ出る。
繰り返される抽挿。私の中を広げては、抜けていく。
水音を響かせながら中を擦られると、こんなにも全身が痺れた。
奥をかすめて、そうして名残惜しげに引き下がる。ただそれを繰り返しているだけなのに、どうして甘い声が止められないのか。
また、パシャリと音がした。
私のあられもない姿を、乱れた顔を。隠し切れないすべてを彼のカメラが収めていく。
「……も、撮らない、で……っ……」
必死にそう訴えたけれど、返事の代わりにより深く侵入される。
「い……あっ……あっ……」
一度溢れてしまえばもう止まらなかった。
シーツを掴んで、断続的に与えられる快感を受け止める。
(これは、契約、だから)
ひと突きされるたび、溺れないように自分へと言い聞かせる。
散々、身体を甘く溶かされたせいか目がうるむ。
その視界の先にはひたすらに私を求める彼の姿があった。
――この関係に愛があるわけじゃない。
わかっているのに流されてしまいそうで。
(あと、三ヶ月……)
「また余計なことを考えてるだろ」
「――っ」
低い囁きの方にこそ、疼きが走る。
「……余裕あるんだな」
ない。そんなものはどこにもない。
答えようと開いた唇はあっけなく塞がれた。
「こんなにしてるのに」
膝裏を持ち上げられて、もっともっと深くへ。
シーツにすがるだけでは足りず、その背中に爪を立てた。
声にならない声が漏れて、私と、彼の限界への引き金となる。
(あと、三ヶ月)
そう思っていないとやっていられない。
――長くて短い三ヶ月間の恋人契約。
どうして天才フォトグラファーの彼が私なんかとこんな契約を結んだのか。
さかのぼること、一週間前。
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