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第3章 少年、田舎で暮らす
第18話 オリオン
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そんな休日を経て今日は天文館に来た彦星くん。ちなみに館長に車で送ってもらってるんだよな。こればかりはバス賃が支払えないから仕方ない。
さてこの天文館、お客さんの入りはまばら、どころかほとんど無い状態。早い話がかなり寂れていた。
「いっつもこんなもんよ。そんでもここは潰れんよって、心配いらんよ」
安田さんはそう言ってカラカラと笑った。そうして「草取りしてくるね」と農家さながらの軍手をはめて立派なカマをギラ、と光らせる。
その安田さんと正面出入口で鉢合わせたのは、オリオンの大男、がんさんだった。
ちなみに『岩永さん』だから『がんさん』ね。ああ、そういう意味でもたしかにオリオンさんだね。大男の彼は海を歩くと頭だけが海上に出て岩のようだった、っていうから。
がんさんは通院中の病院がここの近くにあるためその帰りによく天文館へと立ち寄るんだそう。
「おお、こわ。死神かち思うた」
カマを光らせる安田さんを見てそんなことを言ってからかう。あはは。仲が良いんだ。
「なん言う。殺しても死なんでしょうに、あんたは」
あっははは! と安田さんの明るい笑い声が館内に響いた。
「お茶あるよって。がんちゃん。涼んで行きなし。彦星くんに出してもらって」
言いつつ彦星くんに目配せをして出ていった。「あ、はい」と彦星くんは立ち上がる。
「いや、悪いのぉ。彦星くん」
言いながらがんさんは長椅子に腰を降ろした。
「星野くんは? また星見よんかいな」
彦星くんを超える筋金入りの『星バカ』である館長は暇さえあればプラネタリウムで星を見ているのが日常。それは雨やくもりの日はもちろん、例え休館日であっても変わらないというからもはやすげえ。
いやいや。よく飽きないよな。まあ無料で見放題だもんな、星バカにとってはまさに天職、といったところか。天体だけに。ぶふっ。
普通は「大丈夫かこの人」と思うところなんだけどね。彦星くんの場合はこの館長を尊敬しすぎてるから。もはや『崇拝』っていえるほどだな。だからなにをしてても「すごいです」となるらしい。はは。こりゃあ完全に弟子入りしてるね。めざせ真の『星バカ』ってわけだ。
「あ、はい。館長呼びますか?」
彦星くんが訊ねるとがんさんは「や」と手を挙げて辞退した。「ほんなら彦星くんに話し相手になってもらおかな」
ほほう? これは珍しいツーショットだね。
さてこの天文館、お客さんの入りはまばら、どころかほとんど無い状態。早い話がかなり寂れていた。
「いっつもこんなもんよ。そんでもここは潰れんよって、心配いらんよ」
安田さんはそう言ってカラカラと笑った。そうして「草取りしてくるね」と農家さながらの軍手をはめて立派なカマをギラ、と光らせる。
その安田さんと正面出入口で鉢合わせたのは、オリオンの大男、がんさんだった。
ちなみに『岩永さん』だから『がんさん』ね。ああ、そういう意味でもたしかにオリオンさんだね。大男の彼は海を歩くと頭だけが海上に出て岩のようだった、っていうから。
がんさんは通院中の病院がここの近くにあるためその帰りによく天文館へと立ち寄るんだそう。
「おお、こわ。死神かち思うた」
カマを光らせる安田さんを見てそんなことを言ってからかう。あはは。仲が良いんだ。
「なん言う。殺しても死なんでしょうに、あんたは」
あっははは! と安田さんの明るい笑い声が館内に響いた。
「お茶あるよって。がんちゃん。涼んで行きなし。彦星くんに出してもらって」
言いつつ彦星くんに目配せをして出ていった。「あ、はい」と彦星くんは立ち上がる。
「いや、悪いのぉ。彦星くん」
言いながらがんさんは長椅子に腰を降ろした。
「星野くんは? また星見よんかいな」
彦星くんを超える筋金入りの『星バカ』である館長は暇さえあればプラネタリウムで星を見ているのが日常。それは雨やくもりの日はもちろん、例え休館日であっても変わらないというからもはやすげえ。
いやいや。よく飽きないよな。まあ無料で見放題だもんな、星バカにとってはまさに天職、といったところか。天体だけに。ぶふっ。
普通は「大丈夫かこの人」と思うところなんだけどね。彦星くんの場合はこの館長を尊敬しすぎてるから。もはや『崇拝』っていえるほどだな。だからなにをしてても「すごいです」となるらしい。はは。こりゃあ完全に弟子入りしてるね。めざせ真の『星バカ』ってわけだ。
「あ、はい。館長呼びますか?」
彦星くんが訊ねるとがんさんは「や」と手を挙げて辞退した。「ほんなら彦星くんに話し相手になってもらおかな」
ほほう? これは珍しいツーショットだね。
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