上 下
158 / 168

昔語り

しおりを挟む
「にしてもこれは酷いな…日本の大地震を思い出すよ」

険しい顔をして瓦礫の山をグリートは見ていた

「見たことが?」

朝山がグリートに意識を向ける。少しだけ間が空いてから、グリートは喋り始めた

「あぁ。トモダチ作戦で近くを航行中の時にな。こことは違う感じの雰囲気だった」
「確かにあそこは違う雰囲気でした。瓦礫が上に積もったというより、流されて均等に均されたようした」
「その通りだよ。これは建物が耐震設計が本当になされていない。だから細かく崩れてしまった」

グリートは精神を落ち着かせようとポケットに入っている肺が真っ黒の写真が貼ってあるアメリカ製のタバコを出したが、中身が空っぽだった

「タバコあるかい?」
「どうぞ」

朝山はポケットからダークブルーのタバコを取り出してグリートに1本渡す。するとグリートはタバコの箱をジッと見ていた

「1箱分くれないか?」
「いいですよ」
「いいのか?」
「ええ。私はタバコは吸わないので」

グリートに先程のタバコを箱ごと渡す。するとグリートは不思議そうにしていた

「なら、なぜタバコを持っている?」
「紛争地やだった場所では金ではなく物々交換が主流です。なら、娯楽品であるタバコや酒は食料や情報と交換できるので、我が隊員では所持は許可しています。まぁ、吸うのは地上でですが」

グリートは一瞬目をピクつかせて少し考えてから話た

「つまり、私に何かやれと?」
「…察しが良すぎますね。そうです。やってほしいことがあります」
「何をだ?」
「瓦礫から民間人の救助が完了した後、兵士を住民に近づけさせないでください。つまり、後方支援に重荷を置いてください」
「何故だ?自衛隊よりアメリカ軍の方が多いではないか」
「戦争時、戦争国の住民に対して凌辱したことは知っています。日本はそれに関して上が報道規制を敷いたおかげで世の中には出なかったようですが、ネットでは一瞬だけリークされた時に見ていた隊員がいたんですよ。まぁ、それもそちら側が日本に言って揉み消した様ですが…」

なんということだ…そんなことを我が祖国の兵士がやっていたとは…

初めて知らされた事実に、グリートは汗が出てくる

「わかった…撤去完了時兵士を下がらせる…」
「ありがとうございます。後にクラスト王国の娼館を紹介します。暁二佐も了承してくれてます。金は経費で出ますので、勧めといてください。それと、コンドームは絶対に着用しておいてください。そして…このことは全員に悟られないように」

朝山は180°回り、隊員のところへ向かった

「はぁ~…全く日本人は…」

タバコに火をつけて口へ運び、大きく吸ってから吐いた

「…うまいなぁ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

異世界災派 ~1514億4000万円を失った自衛隊、海外に災害派遣す~

ス々月帶爲
ファンタジー
元号が令和となり一年。自衛隊に数々の災難が、襲い掛かっていた。 対戦闘機訓練の為、東北沖を飛行していた航空自衛隊のF-35A戦闘機が何の前触れもなく消失。そのF-35Aを捜索していた海上自衛隊護衛艦のありあけも、同じく捜索活動を行っていた、いずも型護衛艦2番艦かがの目の前で消えた。約一週間後、厄災は東北沖だけにとどまらなかった事を知らされた。陸上自衛隊の車両を積載しアメリカ合衆国に向かっていたC-2が津軽海峡上空で消失したのだ。 これまでの損失を計ると、1514億4000万円。過去に類をみない、恐ろしい損害を負った防衛省・自衛隊。 防衛省は、対策本部を設置し陸上自衛隊の東部方面隊、陸上総隊より選抜された部隊で混成団を編成。 損失を取り返すため、何より一緒に消えてしまった自衛官を見つけ出す為、混成団を災害派遣する決定を下したのだった。 派遣を任されたのは、陸上自衛隊のプロフェッショナル集団、陸上総隊の隷下に入る中央即応連隊。彼等は、国際平和協力活動等に尽力する為、先遣部隊等として主力部隊到着迄活動基盤を準備する事等を主任務とし、日々訓練に励んでいる。 其の第一中隊長を任されているのは、暗い過去を持つ新渡戸愛桜。彼女は、この派遣に於て、指揮官としての特殊な苦悩を味い、高みを目指す。 海上自衛隊版、出しました →https://ncode.syosetu.com/n3744fn/ ※作中で、F-35A ライトニングⅡが墜落したことを示唆する表現がございます。ですが、実際に墜落した時より前に書かれた表現ということをご理解いただければ幸いです。捜索が打ち切りとなったことにつきまして、本心から残念に思います。搭乗員の方、戦闘機にご冥福をお祈り申し上げます。 「小説家になろう」に於ても投稿させて頂いております。 →https://ncode.syosetu.com/n3570fj/ 「カクヨム」に於ても投稿させて頂いております。 →https://kakuyomu.jp/works/1177354054889229369

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

処理中です...