宇宙貨物船

牧村竜二

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第1章

002 宇宙の初めて 

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「転移完了」

雑多な操縦室に金属じみた声が響く。

ああ、いつもの声だ。

ぼんやり思いながら操縦室のモニタを見る。見かけない星図に戸惑いながら言う。

「ここはどこだ。本社に砲撃で宇宙船が破損した報告はしたか」

「ココハ星図ニナイ空域デス。報告スルニモ応答ガアリマセン。電波ノ到達距離ヲ超過シテイル可能性ガアリマス」

「どこに飛んだのか不明か。困ったな」

「ここはどこなの?」
 
緑の服、小柄な体の漂流者がシャワーを浴びて顔をだした。操縦室の入り口から覗き込んで言う。男にしては声が高い。

「どこかわからない。宇宙船に穴が開いて荷物が漏れたんだ。次元エンジンの座標が質量欠損で不明瞭になって、ここがどこだかわからないんだ」

焦って答えるスミス。漂流者は計器を覗き込んだ。

「太陽系じゃないようね」

 漂流者は星図を眺めた。

「太陽系じゃない?」

「そう。惑星も知らないところね。星図にない惑星」

「君は宇宙局の星図を読めるのか?」

「ええ、宇宙局は知らないけど惑星は分かるわ。どうやってあの宙賊を振り切ったのかはわからないけど、この星図はあり得ないわね」

「次元エンジンで跳んだんだ。この貨物船にもついている。無茶苦茶エネルギーを食うやつだ」

「次元エンジン?なにそれ」

「空間を折り畳んで跳躍する理論で飛ぶエンジンだ。有名だ。知らないのか」

「私が宇宙飛行士になった時はなかったわ」

「宇宙飛行士?航宙士でなく?」

漂流者をしげしげと見る。滑らかな体型、発達した胸部、女だ。しかも知識はかなり昔だ。

「つかぬ事を聞くが、宇宙歴何年の生まれか?」

「宇宙歴?生まれは西暦2480年よ」

「西歴トハ宇宙歴ノ前ニツカワレテイタ暦デス。大体250年前ニ宇宙歴ニキリカエラレマシタ」

話を聞いていた電子脳が補足する。

「250年?」

スミスは頭を抱えた。

「西暦は2500年に変わったから宇宙船に乗ったのは30歳の頃ね。エイジング処置はもう少し前。猫も杓子も宇宙に進出しようとしたわ。覚えてるわ。宇宙の時代だとか言って宇宙飛行士は、大いにもてはやされたものよ。今は暦は何年かしら。結構長く冷凍されていた様だけど」

「今は宇宙暦258年。それよりもここがどこだかわからないのが大変だ」

「ふうん、258年かあ。あなたの生まれは何年かしら」

「宙暦150年だ。マダム。そうすると年齢は300歳くらいになるな」

女はスミスの発言を耳にすると、目を光らせて立ち上がった。
スミスは自分の発言を後悔した。
頬が痛くなる。
自然と語尾が丁寧になる。

「ここはどこなのか、航路からどのくらい離れているか確認しないとなりません。酸素や食糧、水も潤沢に有るとは言えないですから」

「そうね。」

漂流者は平然と言った。スミスの席から自分の席に戻ると座った。

「宇宙貨物船なら荷物があるはずよ。酸素に食糧、水は豊富だと思うけど?」

「運んでいる積荷には手を出しません」

答えるスミスを面白そうに見つめると彼女は言った。

「太陽系に帰れる保証もないのに?」

「いや帰る」

星図は知らない惑星が表示されている。太陽系はどこなのかわからないが、宇宙貨物船に永住するわけにはいかない。
彼はカッとなった。
この女を拾わなかったら、冥王星のプラットフォームについて役目を解かれ休暇を満喫できたのだ。
思わず女に掴み掛かる。

「いやっ」

体を捩る女に掴み掛かると両手に柔らかい感触を得た。

『柔らかい』

見ると両手は胸を掴んでいた。本能のおもむくままに揉みしだく。


「あ、たって来た」

柔らかい半球状の乳房にあてた手のひらに突起物が触った。

「だめぇ」

女の声は甘く湿っていた。

スミスは女との経験がない。
本能の命ずるままに緑のツナギを剥ぐ。
紙の下着を破くと生白い肌が露出する。
太腿の付け根に黒い性毛が生えている。
それを見るとスミスは本能の命ずるままに、凌辱の態勢をとった。
太腿を頭の方に折り畳む。女の性器が上を向く。性器が開いて肉色の柔らかなひだが見える。
割れ目に自分の性器を当てがう。

「ああだめ」

体の重心を女にかける。
性器は割れ目を割って入る。

「いたいっ。いやっ」

「ああっ」

甘美な疼きが性器を包む。
思わず声を出すスミス。
腰が本能のおもむくままに動く。
女を折り敷いて動く。
女は苦痛に顔を歪ませている。そのうち顔が惚けた様に変わってきた。

「ああっ。あーっ」

声が洩れる。顔を左右に振りながら声を上げる。
声が段々大きくなる。

「あっ、あっ」

それを聞くとスミスは無我夢中になった。

腰から我慢できない甘美な痺れが襲って来た。
女にしがみつくようにして射精する。ドクっドクっとしゃくりあげるように精子が女の中に放たれる。下腹部に精液と血が模様を描く。

「ああ、もうどうなってもいい」

腑抜けになったように女にしがみつきながらスミスは快感に震えていた。

宙航士の子沢山という伝説がある。夫婦者で貨物船に乗ったら人目を気にしないで励めるということで子供が沢山できるという伝説だ。女は男の力に抗えない。だから乗るのは男一人というのがセオリーだ。女は夫の帰りを惑星で待つ。これは貨物船に乗り組んだ他の男と行為をしないための方策だ。
また貨物船では、女の体内に出された体液は拭い去る水が少ないときている。必然的に妊娠し易くなっているのだ。

「ああ、好きだよ」

行為のあとのピロータイム、放心状態の女に寄り添って寝転がりながら、話しかけた。

「初めてだったんだからね」


女は恥ずかしそうに言った。髪を撫でようとしてスミスは女の名前を知らないのに気づいた。

「で、あなたの名前はなんというのかな」

この言葉が失言だったことは女の態度がものを言っていた。女は急に起き上がると、緑のツナギを荒っぽく手にするとシャワー室に消えた。

「あの」

溢れたミルクはカップに返らない。スミスは後悔したがどうすることもできなかった。





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