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For Whom the Bell Tolls Ⅱ
第二十二話
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京都のとある神社の境内にて、一人の青年がほうきを掃いて掃除をしていると、急に空間が揺れて次元の狭間より三人の人間が姿を現す。一人は幼い男の子。
「おわっ!吃驚したなぁ。兄さん、義姉さん。お久しぶりです」
「よう、久しぶりだなぁ寛治。元気だったか」
兄の龍二が会うなり抱き合ってくるが違和感しかない。家督を弟に譲って異世界を渡り歩いて随分になる兄が久し振りに戻ってくるのは何か思惑があると寛治は直感する。
「見りゃ分かるでしょうが・・・何やってんの」
「お前一回死んでるって言われて信じるか?」
「信じられる訳ないだろ。異世界ボケしてんじゃないのか。確かに今テレビでその話題で持ち切りだけど・・・」
何言ってんだ、と咲を見ると彼女も俯いている。立ち話も何なので、3人は寛治の妻の縁と共に机を囲って親族の会話を始める。異界の女神の力を借りて、その瞬間地球に起こった出来事が映し出される。邪神の出現、皇様の顕現、そして地球爆散と修復。これらが真実であると兄の龍二は告げた。
「俺達は異界の女神より神託を受けてここに居る。数日もしないうちにまた地球の危機が訪れるってな」
「それを阻止しなければ周りの異世界にも影響を及ぼすだろうと言われています」
「話が大きすぎておいつかないんだけど。それで何をすればいいのさ」
「暫くここで厄介になっていいか」
「そんな事でいいなら幾らでも居てくれよ。葵君もこっちに連れて来たんだね」
「ああ、お前の子供と会わせる良い機会だと思ってな」
早速、3人が遊んでいる声が響き渡る。
「それは有り難いね。縁もそれでいいかな」
「大歓迎です。久し振りに咲さんと台所をご一緒出来ますもの」
「お手柔らかにお願いするわ」
ウルズは香織の衣類を借りて買い物に出掛けていた。暫く厄介になる以上は手伝いをするのも当然と買って出た。人間の文化を肌で感じ、学ぶのは面白い体験で天界に居ては経験出来ない事ばかりで新鮮味がある。今日は知り合いと出掛ける事になっており綾乃の面倒もウルズが見るので香織としては子守りから離れられる大変有り難い機会を得たと喜んでいた。久しぶりに羽を伸ばして貰えればウルズも役に立てて嬉しい。スーパーで一通り買い物を済ませて帰宅しようとすると、ウルズは誰かに見られている視線を感じた。綾乃を狙う輩はあれから数日が経過したが音沙汰は無い。今も綾乃には分身が側で鳥となって綾乃を見守っており、護衛に抜かりはないが緊張がはしる。高級な車が一台、以前のようにウルズの前で停車する。ドアが開かれて、黒服の男がお辞儀し、車中に一人の白髪の老人が姿を見せる。教皇の衣装を身に纏い、知る人が見れば感涙してしまうであろう人物が姿を現した。が、ウルズにはそれが変身で姿を隠している事は見てとれる。
「時の三女神の一柱ウルズ殿とお見受けする。少し、お話でもどうですかな?」
「いいでしょう。丁度こちらも伺いたいと思っておりました。創成の神より恩恵を受けし者 エノク様」
相席して、ウルズは目の前の存在が只者ではないと確信する。
「天界より天照大神を始めとして多くの神々の依頼で君はこの世界にやってきた。そうだな?」
「ええ、上野綾乃という少女を保護し、力を導くように神命を承っております。この機会に乗じて邪神が地球を亡きものにしようとするのは流石に読めなかったようですが。私が遣わされた事で事なきを得たのは神々の慧眼でした」
老人は、少し意外そうな顔をして、言葉を紡ぐ。
「慧眼というのか。お前たちの誤った尺度と物差しで現世に介入した結果野心ある邪神を引き寄せ、自分達で世界の終末を描いて、自ら回避したあの奇跡のマッチポンプをか?」
「何を仰って・・・実際、上野綾乃という少女がいなければ世界は終わっておりました」
「まるで世界の救世主の様に言うんだな」
流石の物言いにウルズも憤慨する。
「その名誉以外の何であると?先程から失礼ではありませんか?私はまだ彼女が何者かに狙われているのを察知しております。一緒に彼女を護衛してくれるように相談する予定でしたが」
老人が指を鳴らすと、二人は別の次元に転移する。
「悪いね、護衛も何も今から上野綾乃を抹殺する予定なんだ」
「冗談ですわよね」
周囲を見渡して、この結界が自分を完全に閉じ込める物だと理解した時には遅かった。護衛に回していた分身との連絡が途絶える。
「冗談で君を閉じ込めたりしないさウルズ」
老人の姿から、若い青年の姿へと形態を変えた。
「おわっ!吃驚したなぁ。兄さん、義姉さん。お久しぶりです」
「よう、久しぶりだなぁ寛治。元気だったか」
兄の龍二が会うなり抱き合ってくるが違和感しかない。家督を弟に譲って異世界を渡り歩いて随分になる兄が久し振りに戻ってくるのは何か思惑があると寛治は直感する。
「見りゃ分かるでしょうが・・・何やってんの」
「お前一回死んでるって言われて信じるか?」
「信じられる訳ないだろ。異世界ボケしてんじゃないのか。確かに今テレビでその話題で持ち切りだけど・・・」
何言ってんだ、と咲を見ると彼女も俯いている。立ち話も何なので、3人は寛治の妻の縁と共に机を囲って親族の会話を始める。異界の女神の力を借りて、その瞬間地球に起こった出来事が映し出される。邪神の出現、皇様の顕現、そして地球爆散と修復。これらが真実であると兄の龍二は告げた。
「俺達は異界の女神より神託を受けてここに居る。数日もしないうちにまた地球の危機が訪れるってな」
「それを阻止しなければ周りの異世界にも影響を及ぼすだろうと言われています」
「話が大きすぎておいつかないんだけど。それで何をすればいいのさ」
「暫くここで厄介になっていいか」
「そんな事でいいなら幾らでも居てくれよ。葵君もこっちに連れて来たんだね」
「ああ、お前の子供と会わせる良い機会だと思ってな」
早速、3人が遊んでいる声が響き渡る。
「それは有り難いね。縁もそれでいいかな」
「大歓迎です。久し振りに咲さんと台所をご一緒出来ますもの」
「お手柔らかにお願いするわ」
ウルズは香織の衣類を借りて買い物に出掛けていた。暫く厄介になる以上は手伝いをするのも当然と買って出た。人間の文化を肌で感じ、学ぶのは面白い体験で天界に居ては経験出来ない事ばかりで新鮮味がある。今日は知り合いと出掛ける事になっており綾乃の面倒もウルズが見るので香織としては子守りから離れられる大変有り難い機会を得たと喜んでいた。久しぶりに羽を伸ばして貰えればウルズも役に立てて嬉しい。スーパーで一通り買い物を済ませて帰宅しようとすると、ウルズは誰かに見られている視線を感じた。綾乃を狙う輩はあれから数日が経過したが音沙汰は無い。今も綾乃には分身が側で鳥となって綾乃を見守っており、護衛に抜かりはないが緊張がはしる。高級な車が一台、以前のようにウルズの前で停車する。ドアが開かれて、黒服の男がお辞儀し、車中に一人の白髪の老人が姿を見せる。教皇の衣装を身に纏い、知る人が見れば感涙してしまうであろう人物が姿を現した。が、ウルズにはそれが変身で姿を隠している事は見てとれる。
「時の三女神の一柱ウルズ殿とお見受けする。少し、お話でもどうですかな?」
「いいでしょう。丁度こちらも伺いたいと思っておりました。創成の神より恩恵を受けし者 エノク様」
相席して、ウルズは目の前の存在が只者ではないと確信する。
「天界より天照大神を始めとして多くの神々の依頼で君はこの世界にやってきた。そうだな?」
「ええ、上野綾乃という少女を保護し、力を導くように神命を承っております。この機会に乗じて邪神が地球を亡きものにしようとするのは流石に読めなかったようですが。私が遣わされた事で事なきを得たのは神々の慧眼でした」
老人は、少し意外そうな顔をして、言葉を紡ぐ。
「慧眼というのか。お前たちの誤った尺度と物差しで現世に介入した結果野心ある邪神を引き寄せ、自分達で世界の終末を描いて、自ら回避したあの奇跡のマッチポンプをか?」
「何を仰って・・・実際、上野綾乃という少女がいなければ世界は終わっておりました」
「まるで世界の救世主の様に言うんだな」
流石の物言いにウルズも憤慨する。
「その名誉以外の何であると?先程から失礼ではありませんか?私はまだ彼女が何者かに狙われているのを察知しております。一緒に彼女を護衛してくれるように相談する予定でしたが」
老人が指を鳴らすと、二人は別の次元に転移する。
「悪いね、護衛も何も今から上野綾乃を抹殺する予定なんだ」
「冗談ですわよね」
周囲を見渡して、この結界が自分を完全に閉じ込める物だと理解した時には遅かった。護衛に回していた分身との連絡が途絶える。
「冗談で君を閉じ込めたりしないさウルズ」
老人の姿から、若い青年の姿へと形態を変えた。
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