一番悪いのは誰

jun

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俺は一晩屋敷でゆっくりした後、使用人達一人一人から話しを聞いた。
ほとんどの使用人は噂は知っていても口には出さなかったようだが、若い使用人達は数名が屋敷で話してしまったようだ。
妃殿下の事を話す者もいなかったが、ローラを悪く言う者もいなかった。
とりあえず妃殿下の間者はいないようだが、マルコとメイド長にはしっかり使用人達を見るように頼み、再度城に戻る事にした。
連絡方法は、城に出入りしている王妃様御用達の仕立て屋に手紙を頼むようにした。

そうして城に戻った俺は急ぎ、イヴァン様達にローラの事を報告し、義父上の手紙も見せた。

「まさかローラ殿をリンカは殺そうとしたのか⁉︎」
驚くイヴァン様は、顔色を変える。

「連絡も取れなかったとは…どれほどのあの女を妄信している者がいるのか…考えると恐ろしいな…。
ファビオはローラ殿には会えなかったのか?」

「会いに行ってローラの居場所がバレるのも怖いので、私は行きませんでした…。
どうしてローラが・・・。
絶対許さない、あの女・・・」

「とりあえず父上と母上に報告しよう。
後、フェデリカとファビオの噂もなんとかしなくては。
もうかなり広がっている。
今では結婚する事になってるぞ、ファビオ。」

「有り得ない!どいつもこいつもブッ飛ばす!」


イヴァン様と陛下の執務室に行き、ローラの事を報告すると、
「なんて事だ・・・」
と呟き、頭を抱えたが、
「今すぐ先日集まった者達をここに全員集めろ。リンカをもう野放しには出来ない。」

隣国に行く前に集まったメンバーが陛下の執務室に集まった。


俺はもう一度ローラの事や連絡を遮断されていた事を話した。
そして俺とフェデリカ様との噂が俺の屋敷内でも流れていてローラの耳にも入ってしまっていた事を話すと、

「なんて事なの・・・悪質過ぎるわ!
結婚式の翌日にファビオを無理矢理戻って来させるよう毒まで使った挙句、フェデリカを貶めた。
なのにファビオの奥様にまで手をかけるなんて、私は絶対許しませんわ!」

「本当よ!あの女、言うに事欠いてどうして私とファビオなのよ!
ファビオなんかローラ様以外、羽虫くらいにしか思ってないのよ!
そんな男と私がどうやって恋人になるって言うの!
それに最近は顔を合わせる事もあるけど、それまでは話した事もなかったのよ!」

王妃様とフェデリカ様が激怒している。

それに羽虫って・・・まあ、外れてはいないが…。


「そういえばあの時の毒は結局出所は分かったのか?リンカの自作自演だとは分かっても、証拠がない。
おそらく部屋を探しても毒は出てこないだろう。
ただリンカが持っていたハンカチの刺繍部分が濃く毒物反応が出ていた事は分かった。
紅茶がかかったとはいえ、他の部分とは明らかに濃さが違う。
おそらく刺繍糸に染み込ませていたんだろう。無地の部分では色が付いて目立つだろうからな。
本当にそう言うところだけは賢いというか…。
だから物的証拠になり得るものではある。」
とイヴァン様が毒物事件の時の押収物の検査結果を説明した。

確かに口を拭くフリをしてハンカチの毒を舐めた後、紅茶をかけてしまえばハンカチの毒が溢したお茶に滲み出てしまい、お茶に毒が入っていたと勘違いしてしまうだろう。
だが、所詮は素人のする事。
専門家が調べればすぐに分かることだろう。

「毒はおそらく子飼いの者に用意させたのだろうが、誰がとは分からないだろうな。
最悪、ハンカチを証拠に出来るだろう。
それよりも“魅了”を故意に使用していた事が重大だ。

イヴァン達がディオリジ国に行っている間に彼奴が配ったハンカチの回収は進んでいる。
魔石の配置も終わった。
徐々に魅了の効果も無くなるだろう。
だから彼奴は焦って必ず魅了を使うだろう。
配置し終わった魔石は彼奴の部屋近くの物は真っ赤に変わった。
誰かに魅了を使った時、色が変わったのを確認したらイヴァンはすぐ彼奴に指輪を嵌めろ。
その指輪は、魅了の力を使おうとすればするほど、外れなくなるらしい。
その後は牢に入れる。

そろそろ誰も来ないあの部屋で暴れている頃だろう。
イヴァン、ファビオ、パウロ、お前達は今すぐ彼奴の部屋に行き、とっとと終わらせてこい。
これ以上あの者の好き勝手にはさせん!
ただし油断はするな。
ファビオ、パウロ、イヴァンの指輪の魔石の色が変わり、イヴァンが指輪を彼奴に嵌めたら、即座に拘束せよ!」

陛下の命に、

「はい!」

「「御意!」」


そして俺達三人は妃殿下の部屋に向かった。
途中、イヴァン様が、

「アイツとお揃いの指輪・・・やだな…」

とボソッと言っていたのを聞いたパウロと俺はプッと吹き出した。


さあ、これから反撃だ。















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