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義父からの手紙
しおりを挟むローズ様達の協力を得て、大量の魔石を手に入れる事が出来た。
そして、妃殿下に付けさせてとローズ様の聖力を込めた魔石の付いた指輪を渡された。
「これを付けていれば妃殿下は力を使う事は出来ないわ。
イヴァン様も付けていれば間違いないわね。
後は魔石を置けば、王宮の中は浄化されるからもう大丈夫だと思うわ。
どうか気をつけて。魅了などを使う人は根本的に自分の事しか考えていないわ。
力が使えないとなった時に何をするか分からないと思うの。
皆さん、本当にお気をつけて。」
そう言って俺達を送り出してくれた。
それからは宿にも泊まらず休憩を挟みながら、一刻も早く帰ろうと急いだ。
そして深夜に城に着くと、俺達は陛下に謁見を申し入れ、陛下に報告した。
深夜の今、すぐに手分けして魔石を配置しろと命を受け、城内の地図を見ながら魔石の配置場所を決め、近衛騎士総出で魔石を見つからない場所に置いた。
朝までかかったが、なんとか置く事が出来た。
そして、俺、アルベルト、ロジーニ、パウロ、陛下、王妃様、ジーノ様、フェデリカ様にも魔石を持たせる事にし、やっと一息つけた。
自分の執務室に戻り、ソファにドサっと座ると知らずに眠ってしまった。
「ファビオ!ファビオ、起きろ!ファビオ!」
パウロが俺を揺り起こした。
「なんだ、パウロ。何かあったのか?」
「城内で変な噂が流れてる。お前とフェデリカ様の噂が流れてるんだよ!」
「フェデリカ様と?何の噂だ?」
「お前とフェデリカ様が出来てるって話しだよ!さっきメイド達から聞いた。
街にまで流れてるらしいぞ!」
「ハア⁉︎なんで⁉︎俺とフェデリカ様なんて最近だぞ、話したのは⁉︎
二人きりにもなった事はないし!」
「知らんが、急にだ!あの女がオルドニ家から一人男を呼んだ後からだ。何かやったんだよ、あの女!」
俺とパウロはイヴァン様の執務室へ急いだ。
イヴァン様は執務室で寝泊まりしているのですぐ話しが出来た。
「堕ちないお前と邪魔なフェデリカを一片に片付けようと思ったんだろう。
ファビオ、奥さん大丈夫なのか?心配してるんじゃないか?」
そうだ。しばらく帰っていない俺の噂を聞いたらローラを悲しませてしまう。
「帰ります!」
「ああ、その方が良い。」
そして、俺は久しぶりに自分の屋敷にようやく帰れる事になった。
そういえば屋敷からの知らせは何も来なかったな。
俺も数回ほどしか手紙を出していないが、返事も来ていない。
人をやり、様子を見てもらったが何の問題もないと報告を受けている。
でもそれも城に来てすぐの頃だ。
それから屋敷からの知らせが何もないのは、ローラが怒っているからなのか?
いや、例え怒っていたとしてもマルコが知らせてくれるだろう。
では何故だ。
まあ帰れば分かるだろう。
久しぶりにローラに会える。
初夜に抱いたきりだ。
可愛いローラ。
寂しい思いをさせてしまった。
もしあのくだらない噂を聞いてしまっていたら、どんなに悲しんでいるだろう…。
一刻も早く帰らなければ!
騎士隊の厩に行き、愛馬に跨り家路を急いだ。
途中、花屋でローラの好きな花を買い、出迎えたローラに渡そう。
俺はローラの事ばかり考えていたから、ここに来るまでにすれ違った者たちの顔など見ていなかったし、コソコソ何かを話している事にも気付かなかった。
屋敷に付き、馬を預かると屋敷に駆け込んで叫んだ。
「ローラ、今帰った!寂しい思いをさせて済まなかった!」
出迎えたのは執事のマルコ。
「おかえりなさいませ、ファビオ様。」
「ああ、なかなか帰れず済まなかった。
ローラは何処にいる?」
「ローラ様は・・・・」
「ローラがどうした?具合が悪いのか?」
急いでローラの部屋に向かうが、誰もいない。
「ローラは何処だ、マルコ!」
「ファビオ様は何故、何の連絡もくれず、私共を城にも入れさせず、面会も拒んでいたのは何故ですか。」
「は⁉︎何の事だ⁉︎」
「何度も連絡は致しました。城にも行きました。ですが返事も来ず、お会いする事も叶わず、街には変な噂が流れ、不安になっているローラ様に知らせもせず、一体何をなさっておいでになったのですか⁉︎」
「待て待て、知らせ?何の事だ、俺に知らせなど来てもいないし、面会の知らせも来ていない。
俺が出した手紙にも返事は来なかったが、手紙が届いていないのか?」
「やはりどなたかに妨害されていたのですね…。
ローラ様のご実家のダンゼン伯爵様にも協力して頂きましたが、そちらの手紙も届いてはいないのですね…」
「何も俺は受け取ってはいない。1週間程国を離れていたが、昨日帰ってきた。
変な噂が流れていると聞いて急ぎ帰ってきた。それよりローラは何処だ!」
「ローラ様は・・・」
「さっきから何なのだ!ローラがどうしたというのだ!」
「ファビオ様、ダンゼン伯爵から手紙を預かっております。
そちらを読んでから説明致します。」
マルコはそう言って手紙を俺に渡した。
「ファビオ様のお部屋に行きましょう」と俺を自室へ連れて行きお茶を入れ、手紙を読むよう促した。
義父上からの手紙を読んだ俺は動く事も話す事もできなかった。
その手紙には、
『ローラは死んだ。』と書かれていた。
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