一番悪いのは誰

jun

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あの女が邪魔

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イヴァン様には会えず、ファビオもいない。
スーザンは私に付きっきり離れないし、パウロは可愛くない。

ウルーシとロレンは風邪だとかで今は愛想の良くない護衛が付いている。

仲の良かったメイドも移動になったのか、見たことのないメイドばかり。

せめてお茶会でも、と思えばフェデリカが私を誘いに来る。
断ると、今度は王妃様が誘いに来る。
全く気が休まらない。

最近私を慕って寄ってくる騎士や使用人が少なくなって、かなりつまらない。

執務もそこそこやっているが、最近は病み上がりだからと王妃様とフェデリカが私の代わりにやってくれている。
それはとても助かるが、何だか急に邪魔者扱いのようで、気分が悪い。

そんな感じで気分が最低だった時、いつもは呼び鈴を鳴らすのに、隣りに人の気配がしたから、直接声をかけようと寝室のドアを開けようとした。
するとメイドの声が聞こえ、

「妃殿下のハンカチを持ってると、何だか頭がボォーっとするけど、このハンカチを持ってると身体が楽になるから、妃殿下のハンカチは持たないようにしたの。」

「え~良いな。それどうしたの?」

「彼にもらったの。妃殿下の担当になったって言ったらくれたの。お守りだからって。」

「刺繍も素敵ね。私も欲しいー!」

やっぱりあのハンカチは私の邪魔をしてるんだわ。
だから、みんな私から離れたのね。

許さない。

私はお父様に手紙を書いた。
至急をこちらによこして欲しいと。

手紙の返事はすぐに来た。
明日、男を向かわせると。

そしてジョージは来た。
ジョージは公爵家の執事見習いをしている男だ。
私が初めて力を使ったのがこのジョージだ。
それから試しは全てジョージを使った。
だからジョージは私の言うことは絶対守る。

「ジョージ久しぶりね。私の事、忘れてないわよね?」

「もちろんでございます、リンカ様。」

人払いは出来ないので、この部屋には私とジョージ、スーザンとパウロがいる。

私とジョージがいる所からパウロもスーザンも離れてはいるが、あまりにも近い距離はダメだろうな。
いつもならしなだれかかるだけで、大丈夫なのだが、今はそれも出来ない。
だから目を見て、手を握り、香りを嗅がせる。

「ジョージ、私、ジョージにお願いがあるの。」

「何でございましょう、リンカ様。」

「私を邪魔する人がいるの…その人がいると私
…お仕事にならないの…。
だからね、ジョージがその人をなんとかして欲しいの。
でも、ジョージが何かしたらオルドニ家に迷惑がかかると思うの。
だからジョージが誰かに頼んでくれる?」

「分かりました。
人を使いますが、リンカ様を邪魔するのは何処のどいつですか?」

「ファビオに嫁いだローラって子なの。
その子が私の邪魔をするの…。
私、とっても悲しいわ…。
後、フェデリカ様が私に意地悪ばかりするのよ…。
フェデリカ様はファビオの事が好きだから私にヤキモチを妬いてるのよ、きっと。
最近はファビオもフェデリカ様ばかりを優先するの…。
ファビオは結婚したばかりなのに奥様は大丈夫なのかしら。
だからジョージ、みんなに聞いてみて。
ファビオとフェデリカ様はいつも一緒にいるのはどうして?って。」

「リンカ様、全てすぐに対処致します。
ですからご安心下さい。
リンカ様、上手くいきましたらを頂けますか?」

「ええ、いつものをあげるわ。頼りにしてるわ、ジョージ。」

「はい。楽しみにしております。」

ジョージはそそくさと帰っていった。

ジョージのご褒美か・・・前は屋敷にいたからチョチョイと出来たけど、さすがにここでは出来ない。
今度、イヴァン様に頼んで屋敷に帰らせてもらおう。
その時にあげれば良いだろう。

それより、パウロが邪魔ね。
さっきからずっとこっちを見ている。

私をあんな目で見るのはパウロだけ。
ファビオは見もしないけど。
あんな目で見るなら見てくれない方が良い。

「パウロ、何か言いたい事でもあるの?さっきからずっと見てるけど。」

「いえ、先程の男性と随分距離が近かったように思いまして。失礼致しました。」

「子供の時から一緒だったのよ、近くもなるわ。変な邪推はしないで欲しいわ!」

「失礼致しました。」

「ファビオはいつ帰ってくるの?」

「はっきりとは分かりませんが、4、5日はかかるのではないかと。」

「そう、早く帰ってきてくれないかしら。
私はパウロには嫌われているから、辛いわ。」

「そのような事はございませんが、以後気をつけます。」


全く反省なんかしてないわね。

さて、ジョージはどんな事をするのかしら。
ファビオが帰ってくる前に終わらせてくれたら良いのだけれど。


ジョージに頼んでから二日後、お父様から手紙が届いた。

中身はジョージからだった。

“ローラ、階段から転落。意識不明。生死不明。”














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