私の婚約者の苦手なもの 番外編

jun

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新婚旅行編

ある日の国王執務室の午後

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「オスカー、リリーナが懐妊したのは聞いたか?」

「はい、アランから連絡がありました。
めでたい事です。」

「キースは喜んだんじゃないか?」

「はい、父も母も大変喜んでおりました。」

「その割にはキースがこっちに来ないな?」

「母の調子があまり良くないのです。ですから父は母に付きっきりです。」

「そうなのか?ローズ殿の体調が悪い事は聞いていたが、そんなに悪いのか?」

「母は心臓が悪いので少し心配です…。」

「そうか…早く良くなるといいな。」

「ありがとうございます。母に陛下の事を話すと喜びますから伝えておきます。」

「ローズ殿には可愛がってもらった。俺の母は厳しい人だったからローズ殿は俺のもう一人の母のような存在だったからな。
見舞いに行けないのが残念だ。」

「はい、とても陛下を気にかけておりましたから。父も何かと陛下には気遣っておりましたしね。」

「そうだな、母上は俺しか産めなかった事で父上ともあまり良い関係ではなくなってしまったからな…。
側室も獲らない父上に、母上はそれが申し訳ないとよく泣いていた。
だから、俺の教育に力が入り過ぎたんだろうな…甘えさせるなど考えられなかったんだろう…。」

「そうですね…母も父も見ていられなかったんでしょうね、よく父の忘れ物を届けに来たと適当な理由をつけて城へ行っていましたからね。」

「ああ、その度に俺の所に来てはお菓子やケーキやおもちゃを持って来てくれた。
新しく出来た事、覚えた事を話すといつも頭を撫でながら褒めてくれた。
母への悪態をつく俺を優しく諌めてくれた。父の母への態度を怒ると、理由をきちんと教えてくれた。だから両親を恨む事もなく育つ事が出来た。
キースも息抜きの仕方や楽しい事が沢山あるのだと教えてくれた。
そして何よりお前やアランを俺に付けてくれた…。
お前の両親がいなかったら俺はこうはならなかっただろう。
キースやローズ殿に言えない分、お前に礼を言う、ありがとう。」

「父も母も勝手にやった事です。お礼は入りませんよ。」

「それでもだ。キースやお前達がいなかったら、俺は死んでたし、生きていたとしても俺は今の俺ではなかった。アイリスとも結婚出来なかった。ヘンリーにもルイジェルドにも会えないところだった。」

「まあ、そうなんでしょうけどね…。
でもその割に、父に対しての態度は雑ですけど。」

「キースは限度が分からんからしつこいんだ!根に持つし、声はデカいし、態度もデカい!」

「アハハハ、さすが、よく知ってる!」

「当たり前だろ!俺がチビの頃からキースは何も変わっておらん!」

「父は母がいるからあれで収まってるんですよ、だから母には長生きしてもらわないと。」

「ホントだな!ローズ殿は何が好物だ?何が好きだったかな?」

「母は陛下からの手紙を何より大事にしています。たまに書いてあげて下さい、それが何より好きな物ですよ。」

「俺の?俺、手紙なんて書いた事あった?」

「陛下が子供の時にもらったんだそうですよ。それをたまに読んでは笑っています。」

「俺…何書いたんだろう…全く覚えてない…。」

「今でも読み返すくらい楽しい手紙なんですから気にしなくてもいいですよ。」

「気になるわ!でも、ローズ殿に手紙書くから、オスカー、渡してくれるか?」

「はい、喜ぶと思います。」

「オスカー…俺はお前の事も兄のように思っている…。
ある意味俺はシュバイン家の一員みたいなものだな!アランとは双子の兄弟か!シュバイン家は遠い親戚でもあるし!」

「勝手に一員にならないで下さいよ!
それにアランと双子って!
似てるのは名前くらいですよ!」

「名前?おお、そう言われてみれば、“イアン”と“アラン”…双子のようだ!」

「喜ぶな!父上とアランだけで手いっぱいなのにお前まで増えたら手に負えん!」

「一人くらい増えてもオスカーなら大丈夫だろ?」

「退位したらオスカーの所で世話になろうかな、そして兄上とよばせてくれ!」

「出来るかー、そんな事!」

「アハハハ、それは無理だとして、オスカーを兄と思っているのは本当だ。
いつもありがとう。」

「止めろ!急にそんな事言うのは反則だ!」

「たまにはいいだろう?あれ?オスカー?泣いてるのか?涙ぐんでるぞ。」

「泣いてねえよ、お前は早く手紙書け!」

「はいはい、お兄ちゃん。」

「お前、覚えてろよ、いくらでも仕事なんか増やせるからな!」

「待て待て、ごめんなさい、すみません、真面目に手紙書きます!」






ある日の国王執務室のやりとりでした。















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