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新婚旅行編
ある日の王太子執務室
しおりを挟む「サイモン、リリーナが懐妊したそうだな。」
「はい、新婚旅行先で倒れたリリーナちゃんを診察したら妊娠してたと分かったそうです。」
「大事なくて良かったな、じゃあ来年にはロナルドは父親かぁ。サイモン、先を越されたな。」
「俺は結婚もまだですからね、まあ来年以降ですね、早くても。」
「あの二人は幼い時に婚約したんだったか?」
「そうです。五歳の時の誕生日プレゼント代わりに婚約をねだったんだそうですよ。」
「凄いな、それで今でもアレだろ?ロナルドの執着が怖いわ。」
「リリーナちゃんだから付き合っていけたんでしょうね、きっと。」
「だな、それもあの美形だぞ、一切他に靡かなかったんだろ?」
「そうですね、とにかくリリーナちゃん以外の女性は目に入ってないらしいですから。」
「じゃあ、ロナルドって「ヘンリー!それ以上は言ってはダメだ!俺はロナルドの一途さを尊敬している!お前、エリス様だけってわけじゃないだろ?」」
「まあある程度は。閨教育あるし。」
「俺だってある程度経験してる。
俺が幼い時にシンシアに会っていたら、ロナルドの様に一途でいられたかどうかは分からん。
でも、思春期にどんな美女に言い寄られてもリリーナちゃんだけを見ていたロナルドの事を馬鹿にするような言動は俺が許さん!」
「待て、サイモン!俺はロナルドを馬鹿になどしていない。そんな下世話な事を想像したわけでもない!ただ、リリーナとしか付き合った事がないんだなって聞きたかっただけだ!」
「え?」
「お前の方こそ、そう思ったって事だろう?だからそんな言い方になったんだ!
よっぽどサイモンの方が失礼だぞ!」
「いや、俺は別に…そういう訳ではなくて…」
「俺だって閨教育と言ったって、実際やった訳ではない。」
「え?そうなの?じゃあ最初の相手はエリス様?」
「そうだよ、なんか問題あるか?逆にやってたら大変な事になるだろ?お前、学生時代俺にくっ付いていて知ってるだろ?いつそんな事する暇あった?」
「そう言われてみれば…そうかも。」
「ルイだってそうだ。王族があっちこっちに子種ばら撒いてどうするんだ。何の為の影だ。」
「そうですね、やってたらバレるな…。」
「俺もルイも知識だけは膨大だが、経験値は低いぞ。」
「もういいです、すみません、ごめんなさい!」
「サイモン…お前はそんなに経験あるのか?どこで誰と?」
「言わない!絶対!」
「そういえば、誰かと付き合ってたな…誰だったかな…一人じゃなかったな…」
「やめろ!思い出すな!お前、それシンシアに言ったら、お前の恥ずかしい過去を洗いざらいバラすからな!」
「俺が言う訳ないだろ。言うとしたらトーマスかハンス辺りだ。」
「トーマスは知らんだろ、会わせたこともないし、アイツはそういったことに興味もなかったから。」
「お前は本当に次期長官か?トーマスはちゃんと付き合っていた人がいたぞ、紹介もされた。」
「うそ⁉︎俺は紹介されてない!」
「お前はいろんな意味で忙しそうだったからトーマスが気を利かせたんだろ。ま、結局別れたらしいが、トーマスは真面目に付き合っていたぞ。」
「うそ…知らなかった…俺…何してたんだろう…フラフラしてたのか…」
「あの頃はモテ期全盛期だったからな、お前は。」
「いや、俺だって真面目に付き合っていた!ただ、長続きしなかっただけだ!」
「まあ、いいじゃないか。今は大切な人に巡り会えたんだから。でも、以前付き合っていた人物には気をつけろよ、なんだかんだと言ってくるぞ。」
「そんな奴とは付き合っていない!…と思う…。」
「ま、お前も今は真面目なんだから良いじゃないか。」
「なんか…俺…酷い男のような気がしてきた…。」
「若い時はそんな時もある。これからシンシア一筋になればいいだけの事だ。
何も問題はない。」
「今日のヘンリーは頼もしい…ありがとう…。」
「お前、失礼だな。でも、まあ良い、お前が落ち込む姿を見れた。」
「俺、本当にロナルドの事を尊敬してたんだ。ヘンリーも殿下もガッツリ経験してると思い込んでいた…どうしてそう思ったんだろう…。」
「多分、俺の時はトーマスを女だと思っていたんだと思うぞ。」
「ハア?さすがにトーマスを女だとは思わねえよ!」
「あの頃トーマスは金髪サラサラのロングヘアだった。そして、俺の執務室の仮眠室でよく寝ていた。
その時、俺のガウンをよく羽織っていた。
後ろ姿は女に見えなくもない。
だから、よく間違えられた、女を連れ込んでいると。」
「あ!あの女、トーマスだったのか?」
「そうだ。おそらくルイもだ。ロナルドも長髪でルイの執務室で堂々と寝ていたそうだ。ちゃんとシャワーを浴びてからな。」
「なるほど…それでか…。」
「まあ、あの美形だからな、チラッと見ただけでは間違う事もあるだろう。」
「情けない…。トーマスとロナルドを女だと思っていたなんて…。」
「とにかく学生時代遊んでいたのはお前だけだったという事が発覚した訳だ。」
「クソッ、余計な事言うんじゃなかった!」
「アハハハ、リリーナ懐妊からこんな事が分かるなんてな。気をつけねばな、サイモン。」
ある日の王太子執務室でした。
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