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新婚旅行編
シンシア視点
しおりを挟むお久しぶりです、シンシアです。
最近出番が少なくて寂しいですが、リリー様とロナルド様が我が領地の新しい保養所に新婚旅行に来て下さいます!
いやあ、お二人だけのお姿は最近は滅多に見れなくなっていたので、目に焼き付け、ガンガン絵姿描きたいと思います!
私も領地には行きますが、お二人の邪魔はしないように隠れて実況したいと思います。
これも学院卒業以来で久しぶりです!
前は代表が率先してやっていたのですが、今じゃ王子妃ですからね~。
なので、私一人で頑張ります!
お迎えだけはきちんとしますよ!
「ようこそ、お越し下さいました。リリー様、ロナルド様。」
「シア、よろしくお願いします。」
「代理、宜しく頼む。」
「はい、ではご案内致します。」
まだ開業はしていないので、宿泊客はリリー様達だけです。貸切状態ですね。
宿泊客だけでなくても利用出来る食堂とカフェ。
大露天風呂、お風呂も種類を多くし、部屋数も多い。
家族用、女性用、ご夫婦用の部屋もある。
特別室も二部屋ある。
リリー様達には特別室に泊まっていただきます。
「リリー様、ロナルド様、こちらの部屋にご宿泊となります。お困りの事がございましたら、なんなりと施設の職員にお声をかけてくださいね。私はお邪魔にならないようこちらにはお帰りの時に来させて頂きますので。
では、ごゆっくり~!」
と帰ったフリをして、施設に隠れます。
しばらくは出て来ないでしょうね~。
ロナルド様の目が血走っていましたから。
あの人は結婚しても何も変わらないんですね~ある意味凄いです。
お昼前に着いたので、夕食前に温泉ですかね。
と思ったら、お二人で温泉に向かいました。
家族風呂…。
うーーん、ロナルド様…あまりリリー様をいじめないで下さいね…夕食食べられませんよ!
長いですね…。
あ~~リリー様…お姫様だっこされてます…。
あのロナルド様の顔…
ツヤツヤじゃないですか!
満面の笑みで歩いてます…。
あまりにも美しくて職員が倒れそうになっていますが、事前に研修をした成果が出て、倒れる事はありません。
開業したら、いずれは王族の方もいらっしゃいます。
美形には慣れておかないとね!
さあ、この後出て来るんでしょうか…夕食が部屋に運び込まれたら今日は終わりましょう。
あ、ロナルド様が顔だけ出して何か言ってますね…これは部屋だな。
確認してみると、やはりお部屋に食事を運んでくれとの事です。
今日はここまでですね。
明日はどうなる、リリー様!
出て来れるのか⁉︎
乞うご期待!
本日二日目です。
食堂でゆったり朝食を食べても出てきません。
あ、またロナルド様が顔だけ出してます…
あ~~朝食もダメっぽいですね~いつリリー様が出てくるのか、ちょっと職員のみんなとクッキーで掛けをしています。
私は三日目にはリリー様がキレて出て来ると思います!
ほとんどが明日、数人が四日目、一人だけ最終日前日ですね。
ちなみに十日のお休みですが、移動もあるので五泊六日のご予定です。
折角、街もお店も増えたし、観光客も増えたので見てもらいたいのになぁ~。
昼食の前に、物凄い勢いでリリー様を抱いたロナルド様が走っていきました。
一体何があったのでしょうか?
ロナルド様の表情は楽しそうなので放っておいても良さそうです。
リリー様のお顔は見えませんが、まあ新婚旅行です、仲良しならいいでしょう!
お!ロナルド様、怒られたようですね…何をしたのでしょうか…。行く時はあんなに楽しそうに笑っていたのに今はしょぼくれています。
リリー様はお腹が空いたのか、食堂に向かっていますね。
ロナルド様はブツブツ何か言っています。
「だって…リリー…かわ…から…とめ……っただけ…に…」
通訳すると、
「だって、リリーが可愛いから止められなかっただけなのに…」
ですね。
あんな顔で絶倫とは…恐ろしい子…。
でも、仲直りしたみたいです。
仲良く昼食を食べさせっこしています。
食堂の職員達が食い入るように見ていますね。
分かりますよ、あそこだけキラキラしてるもんね~。
リリー様なんか化粧すらしてないのに、あの美しさ。
結婚して色気も出てしまっては、ロナルド様も止まらないでしょう。
そして、ロナルド様は温泉のお陰かお肌がツルツルです。
銀髪が陽に当たり、キラキラしていて、もう人間ではないですね。
あ!アイツ何しに来た!
マシュー…私の元婚約者…。
そうなのです…アイツはここで働いているのです。
リリー様、指さしてマシューを笑ってますね…何を話しているのやら…。
ロナルド様はマシューと喋ってますね~。
マシューは最近婚約したとかで浮かれているのです。
私はお相手を少し知っているのですが、あまり良い噂を聞きません…何も無ければいいのですが…。
何だか約束してますね~街にでも行くのかな?
リリー様が
「マシュー、じゃあ明日ね~」
と言っています…大丈夫でしょうか…。
今日は施設内を見学したり、庭園を散歩したりと、ようやく旅行らしくなってきました。
お二人の仲睦まじいお姿に職員達も優しく見守っております…走り回っている、ご夫妻を。
リリー様…それ、我が領地にしか生息していない、例のハダカネズミですよ、捕まえようとしないで下さい!
あ、ロナルド様も本気で捕まえにかかっています!
何故、急に捕獲しようとしているのでしょうか?
あ~逃げられましたね~。
疲れたのかな、休んでおります。
ウオーー、ロナルド様の膝枕でリリー様が横になりましたよ!
なんてこった!
スケッチブックを持ってくるのを忘れていた!
鼻血…鼻血が…。
今日はこれでお暇します!
本日三日目。
今朝はお二人で食堂で朝食を楽しまれております。
食べ終わる頃、マシューが婚約者を連れてリリー様達の所にやってきました。
うわぁ…ロナルド様の大嫌いな香水臭くてビカビカしている女性です…。
マシュー…好みが変わったんだね…
ローリーが好みだったんじゃないのかい?
何処へ行くのでしょう?
馬車に一緒に乗ろうとした女性をロナルド様が止めています。
リリー様、顔色が真っ青です。
臭いんですね…大丈夫でしょうか…心配です。
別々の馬車で出掛けるみたいです。
私はマシュー達の馬車の御者さんの隣りに乗せてもらいます。
ウチの御者なので問題はありません。
なにやら中が騒々しいです。
微かに聞こえる声は、学院でよく聞いた台詞でした。
「キャー、何あの人!あんなに綺麗な男性見た事ないんだけどーー!マシュー、知り合いなんて凄いじゃない!素敵よね~いつまでいるのかしら?明日も会いましょうよ!」
と言っている。
これダメな奴だ。
早めに手を打たないと危ないですね~。
目を離さないようにしないと!
街に着いたので、私は素早く身を隠します。
あーあ、あの人はしゃいでいますね~。
リリー様は顔色が悪いです…。
ロナルド様もマシューも心配しています。
マシューが休める所に案内しているけど、横でごちゃごちゃ五月蝿い人が別の所へ行こうとロナルド様を誘っています。
ロナルド様は、存在すらもすでに脳内から消去したようで、ガン無視です。
あ!リリー様しゃがみ込んでしまいました!
行かなければ!
「リリー様ーーー!」
「代理、いい所に来てくれた。リリーの具合が急に悪くなったしまった。何処か休める場所はあるか?」
「街よりも帰って横になった方がいいでしょう。お医者様をすぐお呼びしますから!
マシューはお医者さんをリリー様の所に連れてきて!私はお二人に付いて行くから!」
「分かった!」
「待ってよ!少し休めば治るんじゃない?」
「ハァ~⁉︎アンタ誰?何様?具合の悪い人がいるのにその言い草は何なの?
この方達は私の大切な友人でお客様なの!
さっき会ったばっかりのアンタとは付き合いが違うんだよ!とっとと帰れ!
明日、あの宿に足を踏み入れたら、警備隊に通報するから!」
「なんなのよ、アンタ!マシュー様を呼び捨てなんかして!アンタこそ何者よ!」
「フン!さあ、リリー様、帰りましょうね。ロナルド様、リリー様、気を失われてしまいました。急ぎましょう。」
ギャンギャン騒ぐ女を放っておいて、リリー様を抱いたロナルド様が馬車に乗ろうとした時、
「待って下さい、ロナルド様!」
とロナルド様の腕を掴んだ瞬間、
「お前、手を放せ。臭いから近寄るな。
リリーに何かあったら、俺はお前を決して許さない。とっとと失せろ。」
と今まで聞いた事が無いほど低く唸るように淡々と話すロナルド様に、女もビクッとなり、手を放した。
馬車に乗り込み、ロナルド様はリリー様を抱きしめていました。
「ロナルド様、リリー様は具合が悪かったのですか?」
「いや、あの女が近づいたら気持ち悪くなってしまったようだ。香水がキツかったからな。寝不足もあるんだろう。」
「ロナルド様のせいじゃないですか~。とにかく、お医者さんに見てもらいましょう。」
部屋のベッドに寝かせて、お医者さんを待ちます。
マシューがお医者さんを連れてきたので私は部屋の外でマシューと待ちます。
「マシュー、あれはダメだよ、結婚してもいい事ないんじゃないの?」
「あれでもいい所はあるだけどなぁ…」
「マシューが良いならいいけど、ロナルド様には近づけない方がいいよ。」
「そうだな、ちょっと自慢したかったんだ…悪い事しちゃったな…」
と話している時に、診察が終わったお医者様が出て来ました。
「先生、リリー様は大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だよ、部屋に入っても良いと思うよ。また、何かあったら連絡してくれて良いからね。」
と言い、帰って行かれました。
部屋に入ってもいいか聞くと、リリー様の声が聞こえました。
「リリー様!大丈夫ですか?」
「シア・・・私…赤ちゃんが出来た…」
「は?赤ちゃん⁉︎」
「うん…悪阻だったみたい。なんか調子悪いなぁとは思ってたんだけど、まさか妊娠してたなんて気付かなかった…。」
「リリー様⁉︎昨日、あんなに激しくネズミを追いかけ回していましたよね?
絶対ダメですよ!ロナルド様、絶対激しい運動はダメですからね!
ん?ロナルド様?大丈夫ですか?ロナルド様ーーー大丈夫ですかーーー?」
「ハッ⁉︎済まない…驚いて…しまって…。」
「おめでとうございます、リリー様、ロナルド様!」
「ありがとう、シア…何だか照れるね…」
「リリーーーーー、ありがとう、僕らの赤ちゃんだよーーーー!」
そこからはもうみんなが喜んで大騒ぎになった。
帰りはなるべくゆっくり馬車を走らせる為に明日には帰る事になった。
リリー様が妊娠…ロナルド様とリリー様の赤ちゃん…。
早く会いたいですね~可愛い赤ちゃんだろうなぁ~楽しみーーーー!
次の日、リリー様とロナルド様が馬車で出発してから、あのマシューの婚約者が来た。
もう居ないし、入れもしないのに、いつまでもウロウロしていて、マシューに怒られていた。
今度、代表に報告しよう!
とにかく、おめでたい!
リリー様、ロナルド様、本当におめでとうございます!
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