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新婚旅行編
サイモン視点
しおりを挟む先ず、小さめの包みを開けた。
そこにはあの“ネズミ”のぬいぐるみがあった。カードには、
「サイモン、婚約おめでとう!俺からはこれだ。この目が光る有り難いネズミを君に送ろう。それを見てユージンが泣くのでな。でも、当たりの“ネズミ”なのだぞ!
ヘンリー」
と書いてあった…。
何コレ?
でも箱の中にもう一つ小さい箱があった。
開けてみると、懐中時計だった。
そして、カード。
「こっちが本物だ。」
と書かれていた。
ニヤけながらコレを準備している姿が思い浮かんで、思わず笑ってしまった。
次は結構大きな箱を開ける。
たくさんの女性物の服が入っていた。
何コレ?
カードを見ると、
「サイモン殿、婚約おめでとうございます。今、何コレ?って思いましたね?
これはですね、代理に着てもらうものです。サイモン殿の好みが分からなかったので色々入れときました。ちなみに僕は猫ちゃんが好きです。 ロナルド」
ロナルド・・・お前…こんなのリリーナちゃんに着せてるの?
どれどれ、何があるのかな?
コレはメイド服!そしてこっちはあの制服が可愛いと有名なカフェの物ではないか!
で、ロナルドお気に入りの猫ちゃん、そしてウサちゃん…ナンボあんねん!
あ!また小さい箱がある。
万年筆だ。
きっと服はリリーナちゃんとワイワイ騒ぎながら選び、万年筆はロナルドがじっくり選んでくれたのだろう。
カードには、
「僕とルイの兄貴的存在のサイモン殿のご婚約を心よりお祝い致します。 ロナルド」
と書かれていた。
クソッ、こんなコスプレ野郎のカードで泣きそうになった…でも、ありがとう、ロナルド。
そして最後の箱を開けた。
は?
枕?
何この印?
ピンクと青の枕…ピンクには○、裏にはバツ印…斬新な模様…。
そしてカードには、
「サイモン、婚約おめでとう。これの取扱説明書を入れておいた。読んでおいておくように!ちなみにロイはこれにトラウマがあるんだぞ!この間、執務室でカトリーヌと揉めていた原因はこの枕だ。カトリーヌが頑なに反対していた。兄の閨事情を想像して嫌だったんだそうだ。 ルイジェルド」
取説を読んでみた。
あーーーなるほど~。
これは…結婚してから使えと言うことね。
でも、ロナルドは何故トラウマに?
そしてもう一つの箱。
開けると、
俺の生まれた年に製造されたワインだった。
カードではなく、手紙が入っていた。
「サイモン、婚約おめでとう。
お前にも代理にも色々世話になった。
ありがとう。
カトリーヌとの時には本当にありがとう。
サイモンがいなかったら、俺とカトリーヌは結婚出来なかった。
あの時、サイモンが怒りながらも俺を助けようとしてくれた事、義弟と呼んでくれた事、カトリーヌの代わりに側に居てくれた事、
涙が出るほど嬉しかった。
いつも、俺とロイを正しい道に導いてくれてありがとう。
サイモンの義弟になれる事が、何より嬉しいと思っている。
サイモンが大事にしているカトリーヌは、俺がこれから誰よりも幸せにすると誓う。
どうかこれからも、間違えそうな時にはいつもの様に俺を叱って下さい、義兄上。
ルイジェルド」
クソッ…この人は…答辞といい、手紙で泣かせる天才か!
それに、まだ義兄じゃねえし!
こんなに楽しくて嬉しいプレゼントは今までなかった。
ありがとう、みんな…。
俺も殿下とカトリーヌの結婚祝いのプレゼントは考え直さないと!
そして、次、何かプレゼントを渡す時にはアイツらに何を渡そうかと考えながら、飯も食わずに寝た。
ワインを飲みながら、メイド服を着た“ネズミ”が、「婚約おめでとう」と俺を祝ってくれる夢を見た。
寝た時の幸せな気持ちと、起きた時の腹ただしい気持ちで、真顔で部屋から出たら、
「お兄様、枕は私ではなくルイ様が選んだんですからね」
と赤い顔で走って行く妹に、癒された朝だった。
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