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新婚旅行編
サイモン視点
しおりを挟むアラン様の怪我もまだ固定はしているが、杖を使えば歩けるようになったが、クロの事もあり、中々王都に帰って来れなかった。
だが、クロがもう一人で寝られる!と言い始めたので、カトリーヌとルイジェルド殿下との結婚式もある為、領地をトーマスに任せ王都に帰って来た。
クロの公表はまだ出来る状態ではないので、
極秘扱いだ。
しかし、陛下やヘンリー様、殿下、その他いつもの重鎮達が、突然黙り込んだかと思えば、時折独り言を話す姿に、“結婚式もあるし、お疲れなのだろう”と心配されている事を、誰も気付いていない。
クロと話しているだけなのだが。
結婚式の準備も順調に進み、カトリーヌのドレスも最終調整のみとなった頃、何故か二人の様子がおかしい。
殿下は不機嫌だし、カトリーヌは何か悩んでいる。
殿下に聞けば、
「サイモンには絶対教えない!」
と言われ、
カトリーヌには、
「お兄様には絶対教えません!」
と言われた。
結婚式前によくある、気持ちが不安定になる例のアレか?と思い、放っておいたが、
殿下の執務室へ入ろうとした時、
「私は何度も言いました、それは嫌だと!
私はこれが良いと言っているではないですか!」
「これは絶対、譲れない!いくらカトリーヌのお願いでもこれだけはダメだ!」
「その使用方法を聞いてしまったからには断固反対です!」
「まあまあ、どっちもあげたらいいだけの話しでしょ?隠密もそんなに目くじら立てなくても。」
「ロナルド様は、この物には良い印象はないのですよね?」
「うーーーん、今はそうでもないかもしれないとも言えない…」
「どっちなんですか!とにかく私は反対です!」
トントントン、「殿下、入ってもよろしいですか?」
ガサガサガサ、ゴトゴト、バタン
「サイモン、入っていいぞ」
「何揉めてるんですか?」
「いや、少しな、大した事ではない、なあ、カトリーヌ。」
「え、ええ、お兄様、私はこれで失礼しますね。ルイ様、ロナルド様、失礼致します。」
カトリーヌが退室してから、
「一体何に反対してたんですか?今更、ドレスではないでしょうし、殿下の衣装?
使用方法って言ってたから違うか…何なんですか?」
「サイモン殿、代理はパートナーとして結婚式に出席するんですか?」
「ん?そうだな、シンシアは俺のパートナーとして出席してもらう。」
「僕達がワソニック領に行ってる間に婚約しているとは、サイモン殿もやりますね~」
「五月蝿いのがいない間にプロポーズした。結婚はまだ先になるが、とりあえずはホッとした。」
「サイモン、五月蝿いのってのは誰だ、俺か?ロイか?リリーちゃんか?」
「全員ですよ!」
「だったらいい!」
「それで「あ!リリーが代理に頼みたい事があるって言ってましたよ、たまには二人でウチに遊びに来て下さいよ!」」
「おーそれはシンシアも喜ぶな。言っておくよ。それで「あ!サイモン、クロの事で兄上が何か話しがあると言っていたぞ、早く行かないと!」」
「早く言ってくださいよ、それじゃあ行ってきます。」
怪しい態度があり有りと出ていたが、いざとなれば、いくらでも探れるので、今は見逃そうと思い、ヘンリー様の所へ行けば、
「何?何しにきたの?」
とヘンリー様に言われ、
「殿下とロナルドに騙されました。何を企んでいるのやら…。」
「あ~~、なるほど~。
折角来たんだ、少し手伝え。」
とやらなくていい仕事をし、殿下の執務室に戻ると、二人の姿はなかった。
アイツら…。
帰りに、シンシアのところに寄り、ロナルドから遊びに来いと誘われた事を伝えると、大喜びしていたので、翌日ロナルドに伝えた。
俺の休みとロナルドの休みが一緒なのが明後日なのでその日にした。
当日、シンシアを迎えに行き、馬車の中でイチャイチャした後、馬車から降りたら、生温かい視線で、ロナルドとリリーナちゃんが出迎えてくれた。
「いらっしゃーい、二人一緒に来るのは初めてだね、我が家へようこそ~!」
「お邪魔します、リリー様、お久しぶりです!」
「そうなんだよね~シアに全然会えなかったね。でも、見たよ、陛下達の姿絵!凄いね、陛下のゴージャス感がきちんと出てたし、ヘンリー様の冷たーーいシュッとした感じも出てたし、「リリー、とにかく中に入ろう、二人共どうぞ。」」
とロナルドが案内してくれた。
シンシアとリリーナちゃんのハイスピードの会話に若干引きつつも、俺もロナルドとワイワイ楽しく話していた。
そろそろお暇しようと二人に告げると、
「「サイモン様、シンシアさん、婚約おめでとうーーー!」」
と僕らにプレゼントを渡してきた。
それも何個も。
「トリーと殿下、ヘンリー様からの物も預かっているので後でお礼を言って下さいね。ちなみに、この女の子らしい箱は私とトリー、私のお母様からでシアに、この男らしい感じのプレゼントはサイモン様にです。中にメッセージカードが入ってるので、誰からの物かは分かると思います。中身は各自帰ってから見て下さいね。」
と言ってプレゼントを貰いお礼を言い帰った。
シンシアの家にプレゼントを運び、後日中身を教え合おうと約束し、俺は自分の屋敷に帰った。
カトリーヌが階段の上から顔だけ出して、
「お兄様、お帰りなさい、私はもう寝ますので、部屋には来ないで下さいね!」
と言い走って行ってしまった。
何?そんなに変なプレゼントなの?
と思いながら、運んでもらったプレゼントを開けていった。
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