私の婚約者の苦手なもの 番外編

新婚旅行編

ハンス視点

いやあ～良かったッス、アラン様が目が覚めて！
アラン様が目の前でクロに攫われてからは、やっぱ凹みました…。
リリーナちゃんやトーマス、マリア様が俺やジュリア様を一言も責めないのが、逆に辛かったッス…。
ずっと、こっちにも来れなかったから、気になって気になって・・・。
耳からだけ入る情報と自分の目で見た情報では違いますからね～。

それとクロね。
最初はビビってたけど、なんだか長官もジュリア様も若も仲良くなってるし、セバスさんもモトサンも顔合わせ済んでるし、俺だけ仲間はずれみたいで寂しかったあ～。

で、ようやく顔合わせも終わり、トーマスと一緒にクロとお泊まり。
いやあ、あのクロの“おうち”。
こんな所にアラン様、目が覚めて、ドラゴンと二人きり…俺だったら再び気絶すると思う、絶対！
なのに、アラン様は情報を引き出しながら懐かせるなんて凄いの一言です！
尊敬します！

でも、クロは賢いうえに、片言で可愛いんすよ！
トーマスとクロと俺でいっぱい話しましたねー。
トーマスはアラン様が怪我した時の話しを話してくれたけど、その時の状況が想像出来て、どんだけトーマスがしんどかったかが分かって少し泣きそうになりました…ｸﾞｽ。

次の日になって、長官が交代に来てくれたけど、クロと長官は何を話してるんだろうって気になりましたね～。

で、屋敷に着いて、陛下から聞いた嘘のような話。
そんな事出来るんすか？魔法ですか？
王族は特別な力持ってるんすか？
と一瞬思ったけど、クロが関係してるとか…。
ドラゴンって、物語と同じく、神様に近い存在なんだなあと実感しました！
神様が何を出来るのかは知らないけど。

今夜はカイル様がアラン様の夢の中に入るんだとか。
なんか俺には分からない話しだけど、アラン様が目覚めてくれるなら、なんでもいいんですけどね。

で、朝方の大騒ぎ。
そして今、昼前。

陛下のはしゃぎようが半端ないですね。
影の間で、陛下のアラン様の姿絵抱きしめ事件はちょっと忘れらんないよね…と話題になってました…。
俺もアラン様好きですけど、陛下は大好きなんですね～。
ま、カイル様も長官もリチャード様も最近元気なかったんで、ホント良かった！

マリア様もトーマスも・・・・
あれ？リリーナちゃんは？

え？誰か呼びに行ってるよね？
朝ごはん持って行ったよね？
あれ？みんないるな・・・・
やべ！


「すみません、誰かリリーナちゃんに知らせには行ってるんですよね？」


シーーーーーン



「あーーーー俺、朝食持って行って、交代してきます！」



嘘でしょ？クロが話してるよね？
あ、交代待ってて来れないのか・・・

やばいやばい、急がないと！

セバスさんと二人で向かってます！

でも、クロと二人きり、初めてなんですけど…大丈夫なんでしょうか…心配です…。


急いで、リリーナちゃんとロイとクロがいる所まで、ダッシュしました！


「遅ーーーーーい、ひどーーーーーい！
お父様起きたって、クロから聞いてたのに誰も来ないし、ロイが残るから帰っていいって言ってくれたけど、馬ないし、あっても乗れないし、朝ごはんも来ないし、みんな、酷いーーーーー！」

「ごめんごめん、俺はてっきりすぐ連絡してると思ってたから！ごめんなさい、リリーナちゃん早く戻ってアラン様に顔見せてあげて。ほら、早く早く！セバスさん、いるから！ロイも行っていいよ、俺残るから。」

「次の交代までハンスといるよ、ハンスも一人じゃ心細いでしょ？」

「ロイ君、いや、ロイ様、ありがとう！少し心細かった！」

「リリー、早く行って、父様待ってるよ！」

「ロイ、ごめんね、先に行くね！」

と言ってリリーナちゃんは屋敷に戻って行きました。


「ごめんね、ロイ。今、屋敷中大騒ぎで気付かなかった！陛下が大騒ぎでと言うか、大喜びで大変だった。」

「僕は良いけど、リリーがね、クロが乗せるって言ってくれたんだけど、高い所は怖くて嫌だ！って言うし、クロと二人でリリーを宥めるのが大変だった…」

「もっと早く気付くべきだった、申し訳なかったなぁ…後でもう一回謝るよ。」

「多分、もう父様の事で頭いっぱいだから忘れてるよ。」

「でも謝るよ。クロも大変だったね、お疲れ様。」

『ハンス、おつかれ、ごはん、たべよ』

「そうだね、食べよ食べよ。」

三人で朝食兼昼食を食べながら屋敷の様子を話した。

「で、アラン父様は大丈夫なの？」

「ずっと眠っていて声を出してなかったからか話しづらそうだったけど、元気そうだったよ。身体もマリア様やみんなが動かしてくれてたから怪我して固定されてる所以外は動かせたし、さっきスープ飲んでた。」

「良かった…父様…」

「そういや、クロは夢の中の事は全部知ってるの？」

『うん、分かるよ』

「昨日、どんなだったの？」

『カイルも、アランも、イアンも、ハロルドも、大好き、なんだと、思った』

「そっか…あの人達いつも一緒だもんね…。アラン様、起きて良かったあーー！」


みんな、五月蝿いとか真面目にやれって言ってるけど、あれが無いとやっぱり城の中は静かで気持ち悪いから、待ってるんだよね、あのわちゃわちゃ。

アラン様、目覚めてくれてありがとうッス！