私の婚約者の苦手なもの 番外編

jun

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新婚旅行編

リリーナ視点

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お母様とお兄ちゃんとクロの所に行って、たくさんクロと話してきた。

クロは思っていたよりもだいぶ小さく感じた。
そりゃそうだ、生まれたばかりなんだから。
話し方も小さい子と同じだった。
鱗がキラキラしていてとても綺麗なドラゴンだった。

その夜はお兄ちゃんとクロと一緒に寝た。

それからはお兄ちゃんと交代で夜はクロと一緒に寝た。昼間はジュリア様やサイモン様、お母様も一緒にワイワイと楽しかった。
少しずつクロもハッキリ話せるようになってきたし、サイモン様とも仲良くなった。


お母様はお父様に話しかけながら、
身体の向きをマメに変え、
身体を拭き、
髪を整え、
着替えをし、
水を含ませた布を口にあて、水分だけでも口からと甲斐甲斐しく世話をしている。

何だかいつもよりお父様を近くに感じると言って、嬉しそうに世話をしている。

私も手伝うが、朝の洗顔は私の担当にしてもらった。

私が顔を拭いてあげると、少し笑うような気がして、楽しい。
話しかけると、うんうん、と返事をしているような気がして、この時間が大好きだ。

お医者さんの話しでは、明日目覚めるかもしれないし、何年も先かもしれないらしい。

点滴で最低限の栄養は摂っているが、いずれは体力もなくなっていくし、内臓も弱っていく。筋肉もなくなっていく。

だからお母様は少しでもと、口から水やスープをほんの少しずつ含ませている。

手足の運動もサイモン様やお兄ちゃん、屋敷の男性陣がやってくれているが、変わらないはずの表情が、お兄ちゃんの時だけ険しくなるような気がする。
気のせいだろうけど。


そろそろ、私も一度帰らないととお母様と話した夜、夢を見た。


夢の内容は、




え?何ここ?真っ白!

やだ、白過ぎて怖い!

「ここ、どこーーーーーーー?」


『リリーナ』

「・・・・どちら様ですか?」

『僕はクロだよ。』

「クロ?クロってあのクロ?」

『そう、あのクロ。アランと話せたからリリーナとも出来るかと思ってやってみた』

「待って待って、お父様と話したの?で、ここは何?」

『アランは夢かなって言ってた。僕は夢って分からないけど』

「夢は眠ってる時に見るものなんだけど、じゃあ、クロと話してるのは夢って事?ややこしい…」

『僕は起きてるよ。リリーナ、リリーナって頭の中で呼んでたら、出来た』

「オオーードラゴン凄い…それより、話すのいつもよりもペラペラだね」

『言葉を話すのは、難しいね』

「へぇ~外国語覚える感じなのかな。
あ!お父様と話したって言ってたよね?」

『前に話した。眠ってるから痛くないって言ってた。』

「そっか、良かった…後は何か言ってた?」

『アラン、最初は死んじゃったと思ってたから、みんなに会いたかったって言ってた。
でも、死んでないよって言ったら、これ夢なのかって言ってた。』

「お父様、死んじゃったと思ってたんだ…だから目が覚めないのかな…」

『リリーナ、起きそうだから、またね』




そこで目が覚めた。



今の何?夢?現実?ん?でも、クロは起きてるって言ってた。
それも夢の中の話し…なのか?

今はまだ夜中だ。


お父様!そうだ、お父様の部屋に行ってみよう!


静かーーーにお父様の部屋に向かう。


こっそりお父様の部屋に忍び込み、ベッドの近くに行く。

お母様はソファで寝ている。
寝返りが出来ないお父様の身体の向きを変える為にここで寝ているのだろう。


お父様の手を握り、お父様に今の話しを耳元で話した。

すると、指がピクっとなった。

「オオ!」

と声が出てしまった。


「リリー、何してるの?」

「ごめん、お母様、ちょっと変な夢、見ちゃったから心配で見に来た。」

「変な夢?もしかして、クロに呼ばれなかった?」

「え?お母様も?」

「呼ばれてすぐ今の声で起きちゃったから、それだけだけど。」

「私、クロと喋ったよ!お父様、死んじゃったと思ってたって。みんなに会いたかったって言ってたってクロが。」

「アラン、死んだと思ってるのかしら?だから起きないの?ヤダ、アラン、死んでないから起きて!」

「違うよ、お父様は死んでないのは分かったみたいだよ、クロが教えたから。」

「じゃあ、どうして目が覚めないのかしら…」

「クロが何か知ってるのかも!夢の中ではペラペラ話してたよ!」

「えー?そうなの?あんなに片言なのに?」

「考えてるのと、言葉にするのとでは違うらしいよ。」

「そうなのね…また寝たら見れるかしら?」

「寝てみよう!お母様はお父様の隣りで寝て。私ソファで寝るから。」

「ダメよ、ちゃんとベッドで寝なさい。」

「早くしないと、見れないかもしれないもの!いいから、お母様、お父様と寝て!」

「なんだか恥ずかしいわ…」

「なんでよ!夫婦でしょ!」

「娘の前で二人で寝るなんて…」

「何言ってんの、今はそれどころじゃないよ!」

どうにか納得してもらい、二人で寝てみた。



朝までぐっすりだった。













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