私の婚約者の苦手なもの 番外編

jun

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新婚編

サイモン視点

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もうダメだ…シンシアは話しを聞いてくれない…。
リリーナちゃんとカトリーヌの話しも半分しか聞いてくれないらしい。

俺がパニクって避妊薬なんか見せたから余計に話しが面倒になった…。

最近は避妊薬を使う事なんてない。
シンシアに会ってから全くない。
任務に使った事もない。
いずれ、有るかもしれないが滅多にはない。


殿下がシンシアに話しをしてくれる事になったが、不安でいっぱいだ。

だってこの人、肝心な所で抜けてる時がたまにあるから。


シンシアがカトリーヌとリリーナちゃんを連れて執務室に来た。

俺の事は見もしない。


殿下は何でも答えるから聞けと言っている。
シンシアは何の薬を買ったのかと聞き、
眠気覚ましと答えているが、
見てないだろうとシンシアは言う。
そして、俺の部屋に避妊薬があったと言う。
あると言う事は使う相手がいるって事だと怒っている。

反論したいが俺が話せばシンシアは怒って帰るだろう。
だから我慢する。

シンシアは別れると言う。
リリーナちゃんが説得するがダメだ…。

殿下がお茶でも飲んで落ち着けとカトリーヌにお茶を頼んでいる。

少し落ち着いた頃、殿下が話し始めた。

殿下があの時の事をシンシアに教えている。

ちょっと恥ずかしい…
でも、殿下が俺をどう思っていたのかが分かった。
本当に素直な人だ。
あれだけ罵倒されたのに一つも気にしていない。
そして俺の仕事の過酷さを、
これから有り得る話しを静かに説明している。
何故避妊薬があったのか、
それの意味を説明している。
これからも一緒にいるのなら知らなければならない事を分かりやすく、
そして、覚悟を教えている。

こういうとこはリリーナちゃんには説明出来ないだろう、カトリーヌでも無理だ。

話しの持って行き方が上手い。

そして、俺の話しを聞いてやってくれとシンシアに言う。

やっと、これで話しが出来る。


殿下が隣りの仮眠室で二人で話せと言うので
二人で仮眠室に入った。


「シンシア、シンシアが一番気にした事は何?」

「避妊薬…」

「俺の説明がダメだった。ごめん。殿下と話しが被るけど、聞いてくれる?」

「うん…」

「部屋にあった避妊薬の説明からするね。

あれはさっきも殿下が言った通り、支給された物。
自分で買った物ではないよ。
あれは任務以外で使っちゃいけない物なんだ。数も管理されている。
使用期限もあるからたまに確認する為に見える所に置いてある。
自分では有って当たり前の物だから深く考えなかった、ごめんな。

昔の事も言うよ。
俺も二十一だ、何も無かった訳じゃない。
それなりに付き合った人もいる。
そういう関係になった事もある。
影の訓練に女性を誘う訓練もある。
色仕掛けなんて滅多にはない。
でも絶対無いとも言えない。
その為の避妊薬だ。

シンシアと会ってからは誰ともそういった事はしてないよ、だって毎日シンシアを見に行ってたから。
それをみんなはストーカーって言ってたけど、そのお陰でアリバイ成立だ。
シンシアと付き合ってからは、あの一件でずっと殿下と一緒だったのは知ってるだろう?

あの薬屋に行った時は、一人だったからやる事がたくさんあって、
何の薬を買ったかを不審に思われずに聞く為になんて言おうと考えながら、
何の薬を買ったかすぐ確認して後を追わないと行けなかった。
だから店主のフォローも出来なくて、入れ替える為の眠気覚ましを急いで買ってすぐ後を追った。
もっと上手くやれば良かったんだろうけど、あの時は時間がなかったから出来なかった。

二人で薬屋に行った時は、どっちも興奮してたから店主も焦ったんだろう。
咄嗟に、俺の前に売った媚薬が頭に浮かんだんだろう。だから避妊薬って言葉が出たんだと思う。
眠気覚ましを買ったという証拠はない。
ひょっとしたら店の帳簿に残ってるかもしれない。
でも俺はあまり目立つ事をしてはダメなんだ、本当は。
けど、シンシアが帳簿を見たいって言うなら頼んでみるよ。

これだけは信じて。
俺はシンシアが好きだ。
殿下は例えと言っていたが、俺はシンシアと結婚したいと思っている。
でもまだ付き合ったばかりだ。
シンシアが少しずつそう思ってもらえるよう頑張るよ。
だから、やってもいない事で別れたくない。

会えなくて不安にさせたのかもしれない。
でも、決してシンシアを裏切る事はしない。
任務も身体を使うような事はしないよう、上手く誘導する。その為に訓練してるんだから。
家の事はこれから少しずつ知ってくれたら良いし、カトリーヌもいる。

シンシア、俺を信じてくれる?」


シンシアが泣いている…。

抱きしめた。

「シンシア、大好きなんだ。」

「・・・ごめん・・なさい…」

「いや、俺が悪いんだ。シンシアは悪くないよ。」

「私・・・サイモン・・様が・・他の人と…そういう・・・・事を・・して・・・るんだと・・思った・・・ら・・かな・・・しくて・・」

「うん、ごめん。ごめんね。」

「サイ・・モン・・・さまが…いそが・・しいの・・・しって・・たのに・・」

「会えなくてごめんね。」

「うた・・がって・・・ごめ…ん…な・・さい…」

「いいんだよ、何も分からなかったんだ、仕方ないよ。だからもう泣かないで。」

「ごめん…なさい…」

「ほら、顔見せて。」

「嫌だ…顔不細工…なってる…」

「シンシアは不細工でも可愛いよ。」

「それでも嫌だ…」

「少しだけ、ね?」

顔を上げたシンシアのオデコにキスをした後、唇にキスをした。

驚いた顔が可愛い。
目が真っ赤だ。
可哀想に…瞼にキスをする。
また唇にキスした時に、


ガタンと大きな音がした。

振り返っても誰もいないが見当はついた。


「シンシア、覗かれたみたいだ。」

「ヤダ!もうー恥ずかしい!」

「覗かせとけ。もう一回いい?」

「うん…」

もう一度キスをして二人で笑った。

「実は私も代表と殿下、リリー様とロナルド様のキスは覗いた。」

「あはは、凄いな」

「だから、文句言えない…」

「さて、心配してるから行こうか」

「うん」




「や、やあ、話しは付いたのかい?」

「し、シアも落ち着いた…みたいだね!」

「よ、良かったですわ、お、お兄様。」

「仲が良くて何よりです。」


「三人は動揺し過ぎ、ロナルドは落ち着き過ぎ。」

「覗きは犯罪です!」

「お前だって俺達の覗いただろ!」

「そうだよ、私達の時も病室覗いてたの知ってるんだから!」

「それはそれ、これはこれです。」

「でも、良かった、いつものシアだ。」

「ご心配かけました。仲直りできました。」

「良かった良かった。」

「殿下、ありがとうございます、あの時怒鳴った甲斐がありました。」

「うっ、こちらこそ…ありがとう。」




やっとこれでゆっくり休める…。
リリーナちゃん達の結婚式からずっと働き詰めだった。


帰ったら寝よう…疲れた…















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