私の婚約者の苦手なもの 番外編

jun

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新婚編

アイリス視点

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最近、つまらない…。
息子達は忙しそうだし、イアンとも会っていない。

私が籠っているからだけど。



マルガリータが来ているから。
あの子が嫌いなのではない。
でも、あの子の振る舞いが昔を思い出して、
イライラしてしまう。

ミッシェル様もベタベタして、私の目の前で胸を押し付けたりしていた。
みんなはイアンは私一筋だと言うけれど、あの時、イアンは少し惹かれていた…と思う。
確かに魅力的な方で、男性には人気があった。明るいし、話しも面白い。

イアンは嫌がりながらも逃げはしなかった。

だから、私の心の奥底にイアンに対する不信感が残っている。

今は私と結婚したし、息子も大きくなった。
ミッシェル様も別の方と結婚した。

たまに会う事もあるけど、昔ほど絡んでは来ない。
けどイアンには前と変わらず距離が近い。
何故嫌がらないのか、私には分からない。

リリーナちゃんとロナルドの二人を見てるととても羨ましく思う。
ロナルドは女の子が近付くと、すぐリリーナちゃんの所に逃げていた。
極端だとしても私にとってはあれが理想だ。

イアンが私を愛しているのは分かる。
でも、あの時の…イアンが一瞬揺らいだ時の事が忘れられない。

だからマルガリータが来ると逃げてしまう。

ダメな王妃ね…。


ある日、執務している所にアラン様とカイル様が来た。

「どうされたのですか?イアンはここには居ませんよ。」

「しばらくアイリス様に会っていなかったから顔を見にきただけですよ。」

「まあ、何かイアンに言われたのね。」

「昔みたいに今だけ、イリスって呼んでいい?」

「フフ、いいわよ、アラン。カイルもね。」

「イリス、イアンが落ち込んでるぞ、どうした?」

「・・・イリス、何が気になるの?俺で分かる事なら教えるよ。何でも言った方がスッキリするし。」

「…そうね、アランとカイルになら言えるかな。」

「うんうん、スッキリしちゃいな。」

「私、イアンがあのゴタゴタの時、ミッシェル様に一時惹かれた時があったと思ってるの…」

「「なんで?」」

「だって私見たもの、イアンがミッシェル様を私を見つめるように見てたのを。」

「イアンが?あの女を?まさか~!」

「ホントよ、カイル!」

「何回?」

「数回…」

「どんな時?」

「うーん、夜会で踊ってる時とか、学院の生徒会室とか…そういう時。」

「イリス、俺ね、知ってるよ。」

「アラン、何よ、何を知ってるの?」

「カイルは聞いた事ない?イアンがあのモッテル王女のさ、顔のホクロの事話してる時の事。」

「「モッテル王女!懐かしいー!」」

「そうそう、あの胸は絶対盛ってるってアランが言ってからモッテルになったんだった!」

「アハハハ、思い出したわ、アランは昔からあだ名つける天才よね!」

「ちょっとちゃんと聞いてよ!だからあの王女のさ、顔のホクロの位置がイリスと同じなんだよ。
それで、あーイリスと同じだなぁと思ってよく見たら、ホクロから毛が生えてたんだよ。それで吹き出すの我慢して、“これはイリスのホクロ、これはイリスのホクロ”って唱えてたらイリス思い出して微笑んでもうたって言ってた時だよ、それ。」

「・・・・・・プッ…クッ…アハハハ、ホクロに毛…それも私って…アハハハ、やめて、想像しちゃう…ダメ…ツボに…ツボに…ハマって…アハハハ…」





「・・・・・・楽しそう…交ぜて欲しい…」

「イアン…アハハハ…ホクロ…ダメ止まらない…お腹苦しい…ハア、ハア…」

「何にそんなに笑ってるの?アランが何かしたの?アイリス。」

「イアン、貴方ミッシェル様のホクロを私…私…だと…思って…いたの?」

「あーーーあの時のホクロの話しかあ、あの時は辛かったなぁ…」

「お前、あの時の事でイリス、勘違いしてたらしいぞ、今までずっと。」

「え?そうなの?どういうこと?」

「私ね、多分その時だと思うんだけど、イアンがミッシェル様をとっても愛おしそうに見つめているのを見たの。
てっきりミッシェル様に惹かれてるんだと今の今まで思ってたの、ごめんなさい!」

「えーーーー、言ってよー聞いてよー!」

「だってホクロ見て私だと思ってるうちに私を思い出して微笑んだなんて分からないわよ!
でも、ホクロの毛…
ダメよ、もう言わないで!」

「イリス、今までマルガリータやバルトが来ると機嫌が悪くなってたのって、それのせい?俺があの女を好きだと思ってたの?」

「・・・うん…、ごめん…オーランドの人が来るたび、イアンはミッシェル様を思い出してるのかもと思ってた…」

「うそーーーー俺ってそんなに信用なかったんだ…」

「私だって、ホクロの事でこんな長い時間落ち込んでたなんて、情けないわよ!」

「まあまあ、これで誤解は解けたんだから、イリスもイアンも夜別々に寝なくて済むでしょ?」

「ヤダ、アラン、いやらしい…」

「何でだよ!イアンが寂しいし、イリス抱いてないと寒くて眠れないって言うからイリスのとこに来たんだぞ!」

「やめろよ、恥ずかしいだろ!」

「イアン、アランに言っちゃった時点で諦めろ。」

「そうよ、イアンがアランに言うからよ!恥ずかしい!」

「ねえ、酷くない?俺がホクロの話覚えてたから誤解が解けたのに!」

「ホクロ・・・・・止めて、アラン!それ以上ホクロの事は言わないで!笑っちゃうから!」


「しかし、ホクロの毛が何十年もイリスを苦しめていたなんてな…」

「「「・・・・ブーーーー!」」」

「やめて、ホクロの話しはもうやめて!私、王妃よ、こんな、吹き出すなんて、・・・・クックックッ…」

「アハハハ、あの時は笑いを堪えるの大変だったんだよ~それからだよ、思い出して、あの人見るたびニヤニヤしてたの。」

「なるほどね、生徒会室でもそうだったのね。あーースッキリした!」

「アイリス、今夜から一緒に寝てくれる?」

「ええ、もちろん!今までごめんなさい、イアン。」




「良かったな、俺マリアに教えようっと。」

「俺もシェリルに教えよう!」

「「やめろ(て)!」」






こうして私の勘違いは解決出来た。

その夜は久しぶりにイアンに目一杯愛された。

いい歳なんだから少し手加減してほしい…



それでは、おやすみなさい…













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