私の婚約者の苦手なもの 番外編

jun

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新婚編

ハンス視点

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最近、俺はヘンリー様に付きっぱなしだ。
若がルイジェルド殿下に付きっきりだから。
俺だけが付いている訳ではないが、
ヘンリー様の細かーーーーい注文を聞くのが俺の担当らしい。
特に最近はルイジェルド殿下に関しての任務が多い。

ヘンリー様はツンデレだ。
弟のルイジェルド殿下が可愛くて仕方がないのに、も、興味なんかありませんという顔をして、その実、心配で堪らないのだ。

この間もルイジェルド殿下を突き放したはいいが、その後かなり落ち込んでいた。

殿下とカトリーヌ嬢のゴタゴタはかなり噂が広まっている。
挙句に最近カトリーヌ嬢は登城していない。
その代わりマルガリータ王女と殿下の事も噂になっていて、ヘンリー様は心配している。

でもリリーナちゃんとロナルド君が絡んでから、暗い城の雰囲気がガラッと変わった。

殿下が夜中に帰ってきてからすぐリリーナちゃんとロナルド君達が円卓会議に呼ばれたとヘンリー様が慌てだした。

「ハンス、何があったか調べろ!俺は父上に聞いてくる!」

「了解」

若に聞こうにも中々捕まらない。
とりあえず別の影に聞くと、なにやら殿下とカトリーヌ嬢の事でリリーナちゃんとロナルド君が陛下に話しがあるのだとか。

若者って凄いよね、陛下に直で話すなんて考えちゃうんだから。
でもあの二人は温泉で仲良くなって為人が分かると、そこら辺の若者と違って、ちゃんと考えて行動してるのが分かる。

リリーナちゃんなんて何にも考えてなさそうで、実は物凄く勘が良い。
空気も自然と読んでるし、周りも見てる。
ロナルド君は見たまんま、冷静に物事を見てる。リリーナちゃんの事は別にして。

そして二人は友達をとても大事にしている。
友達だけでなく周りの自分に関係のある人全員を大事にしている。

そんな二人だもの、殿下達の事は放って置けないだろう。

とりあえず執務室に戻ると
「俺も会議出たかったのに…」
とヘンリー様は落ち込んでいた。

「やっぱりルイジェルド殿下達の事らしいですよ」
と言うと、
「ハンス、聞いてこい!」

「は?」

「会議聞いてこい!」

「だって、長官もいるんですよ、嫌ですよ!」

「ジュリア様もいた。」

「余計嫌ですよ!」

「頼む!ルイがどうなるか心配なんだ!
それにロナルドとリリーナ夫人が何を話すのか知りたい。」

「後で怒られても知りませんよ!」

とそんな感じで会議の会話を聞いていた。

リリーナちゃんの真っ直ぐな言葉に感動した。
ロナルド君の殿下への想いに感動した。

微かに見える若は泣いていた。
殿下も泣いている。


最後は大人達の泣く様はちょっと引いたけど、二人の言葉は陛下達に届いた。

俺も泣きそうになった。

ヘンリー様の所に戻ると、
「なんで目が赤い?何があった?ルイはどうなったんだ!」

会議の内容を説明していたら、ヘンリー様が顔を手で覆った。

「ヘンリー様、大丈夫ですか?」

「ルイは良い友を持ったのだな…良かった…」

と微かに震える声で呟いていた。

それからだ、雰囲気が変わったのは。

重鎮達が明るくなったからなのか、城で働く他の人達はなんら変わらないが、何か空気が変わった感じだ。

俺もあっちに付きたいなぁ、楽しそうだなぁとか思ったけど、この一件が終わらない限り戻れないだろう。
ま、ヘンリー様意外と可愛いとこあるし、しばらく頑張りましょう!


それからすぐ、またまたヘンリー様から指令。

王女に付け!と来た。


何だか陛下達、いつものメンバーが慌てて殿下の所へ走って行ったとか。
何かあっただろうから、先回りして王女に付いてろって。
王女かどうか分からないでしょって思ったけど、ドンピシャだった。
それもロナルド君、女装してるし、シェリル夫人もいるし。
ロナルド君めちゃくちゃ美しい…美しすぎる…。
シェリル夫人が出て行ったら若が来た。

二人で会話を聞いていた。

ロナルド君…君は本当は女の子だったのかい?
温泉一緒に入った時はあったよね?
その体験談は誰のお話し?
王女、めっちゃ食い付いてる…
凄い…ロナルド君、いや、ローリー…
惚れてまう…。


そしてローリーは明日も会う約束を取り付けた。


若と別れてヘンリー様に報告すると、
「ロナルドが女装⁉︎クソッ、俺も見たかった!」

「明日も女装しますよ、約束してたから。」

「よし、その時は教えろ!今度は必ず見る!父上達は続々ロナルド達の仲間になっているのに俺には声がかからん!」

「そこ気にしてましたか…」

「だって俺だってルイを助けたいじゃないかあ!」

と叫んだ時、

「兄上?」
と声がした。

「ルイ?どうした?」

「返事がないので覗いてみたら、叫んでいたので…」

「聞いてたのか?」

「・・・はい」

「兄上、心配かけてすみませんでした。」

「いや、俺も言い過ぎた。」

「兄上、さっき言っていた事は本当ですか?」

「何が?」

「聞こえていました…俺を助けたいと…」

「・・・お前は俺の弟だ。助けるのは当たり前だ。」

「・・・・兄上、ありがとうございます…。嬉しいです。」

「おうよ。」

「リリーナ夫人は兄上を勧誘するつもりだったんですけど忙しいだろうからって気が引けていたんです。」

「…そうか。それでどうした?」

「兄上にオーランドのエドワード様がいつ頃こちらに来るのか聞いて来て欲しいと頼まれました。」

「それは今ルイ達がやっている事に関係がある事か?」

「そうです。エドワード様がいつ来るかで計画が変わってくるらしいです。」

「そうか!これで俺も仲間だな!」

「そう…ですね。兄上は仲間になってくれるのですか?」

「お前の兄だぞ、なるに決まってるだろ!」

「ありがとうございます、兄上!」
とルイジェルド殿下は嬉しそうに笑った。

それを見た、ヘンリー様もそれはそれは嬉しそうに笑っていた。
どんだけ仲間になりたかったんですか!

そこから、殿下に今までの流れを説明させて、どうにか何に向かっていっているのかを把握した。

「凄いな、俺達には出来ないな、この計画は。
確かにマルガリータを納得させなければいつまでもルイに執着する。 
本当にあの二人には驚かされるな…。
明日もロナルドは女装するのだろう、その時は俺も呼べ!俺だけ見てない!」

「分かりましたよ、連絡します。
そういえば、父上も兄上に見せたかったと言っていました。」

「父上はいつも自分ばかりだ!声をかけてくれればいいのに!」

「明日は呼びますよ、兄上。」

「約束だぞ!」

「はいはい」


何、この兄弟…美形が二人照れている…。
どんだけ好きなんだよ!

若が、ローリーと王女の最初の方の会話の確認をしてきた。

そういえば途中からだったな。

「分かった、ありがとう。お前もヘンリー様付き大変だろうけど、お前以外出来ないから任せたぞ」

と言われた。



何気に嬉しい…。




若、ヘンリー様、ルイジェルド殿下、
そしてローリー、

明日も頑張ります!













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