私の婚約者の苦手なもの 番外編

jun

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新婚編

ルイジェルド視点

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イーガー家から帰ってからも執務室に籠った。
サイモンは気付いたら居なくなっていた。

カトリーヌには会えた。
話しも少し出来た。
伝えたい事の半分も伝えられなかったが…。

カトリーヌは泣いていた。
俺もだけど…
こんなに泣いた事ないから何だか疲れた…。


カトリーヌは待ってると言ってくれた。


だったら俺はカトリーヌを迎えに行く為にやるべき事をやるだけだ。

さて、何をするか…。


ダメだ、朝から何も食べてないから頭が働かない…。


何か持ってきてもらうか。

と思っていたらサイモンが来た。

「殿下、今日何も食べてないでしょ、何か食べて下さい。そして頭を使ってこれからの事考えて下さいよ。」
と言って紙袋を渡した。

「サイモン、よく分かったな、腹が空いて頭が働かなかった。」

「今日一日見てたんで、殿下の事。」

「え?」

「ずっーーーーと見てましたよ、王女様とお茶してるのも、陛下に怒鳴られてるのも、ヘンリー様に呆れられてるのも、一人泣きそうになってたのも。」

「そうだよな、サイモンは俺付きの護衛兼影だもんな…マジか…全部見てたのか…。」

「お茶してるの見た時はもう破棄は決まったと思いましたよ。
陛下があの時来なかったら、多分殿下はまだ何が起こってるか気付かなかったと思いますよ。下手したら王女に堕とされてたかもしれない。ホントにギリギリだったんです。」

「俺は…堕とされると思われるくらいマルガリータを甘やかしていたんだな…
そしてカトリーヌへの想いはそんなもんだと思われたんだな…」

「そうですよ。ほぼ全員思ってます。
カトリーヌと王女で揺れ動いていて、今は王女に傾いているとね。
そう思っていないのは、この件で怒り心頭の方々です。」

「ほぼ身内だけかぁ~」

「おそらく、リリーナちゃん達もこの事を知ったら怒るでしょうね。
ここに怒鳴り込んでくると思います。」

「だよな。」

「殿下って知ってます?陛下の結婚前のゴタゴタ。」

「よく知らん。何かあったとかは聞いた事があるかもしれないが覚えてない。」

「陛下がアイリス様と結婚する前、今と同じ事があったんですよ、それもオーランドの王女と。」

「え?そうなのか?
あ!だからか!母上がイライラしてるのは!」

「そうです。バルト様の妹のミッシェル様がイアン様と結婚したくてゴネたんです。
その事でアイリス様は倒れられたとか。

陛下は一筋でしたから問題なかったんですが、相手がね~。
かなりアイリス様には酷い態度だったみたいですよ。今はミッシェル様は向こうの国の公爵の家に嫁ぎましたけど、たまにアイリス様に会うと何かと絡んできてますね。」

「そんな事が…。」

「その時も大変だったらしいですよ。全く今と同じで婚約破棄寸前だったらしいです。
アイリス様がもう耐えられなかったようで、アイリス様から申し出たそうです、婚約を破棄してくれと。」

「・・・・・・・」

「どうやってそれを覆したのかは教えて貰えなかったので分かりませんが、
陛下に続いて殿下もオーランドの王女に引っ掻き回されてアイリス様はお怒りでしょうね。今の王女様は似てるらしいですよ、ミッシェル様に性格が。」

「はあーーーー俺はそんな母上の前でマルガリータと仲良くしてた訳だ…何やってたんだかな、俺…。」

「それがあるから昔を知ってる人はピリピリしてたんです、そんな状況で呑気に殿下は楽しそうにしてたんですからね~」

「知らなかったんだから仕方ないだろ…誰か教えてくれても良かったんじゃないか?」

「そんな事言えないでしょ、貴方達の両親は別れる寸前だったなんて。
ましてやアイリス様は今でも気にしていらっしゃる。
そこは殿下が空気を読んで態度を改めるべきだったんです。
どうして王女が来る度アイリス様が不機嫌になるのか、知っておくべきだったんですよ。ちなみにヘンリー様はだいぶ前に知ってますよ、陛下に確認してましたから。だから、ヘンリー様は必要以上に王女には近づかないんです。
まあ、あの王女は殿下に狙いを定めていたので丁度良かったんでしょうけど。」

「俺って…ダメな奴だったんだ…」

「今気付きました?」

「うるさい!兄上には敵わないけどある程度は出来ると思ってたのになぁ」

「まあこの件で殿下の株は一気に下がりましたね。」

「・・・・・・」

「卒業式で一気に上がったのに、今度はそれを上回って下がったから大変ですよ。」

「折角やる気出たのに、もう立ち直れないほど落ち込んだ…。」

「じゃあ諦めます?」

「嫌だ!約束した。
カトリーヌは待ってると言ってくれた。
だから諦めない!」

「なら考えましょ。はいはい、食べて食べて。」


何だか今は全く考えられないのでとりあえずサイモンが持ってきてくれたサンドイッチを食べた。


「何コレ?美味しいんだけど!」

「あ~それ、俺が作ったんです。」

「うそ⁉︎」

「嘘じゃないですよ、影なんて食事なんていつ取れるか分からないから必然的に作れるようになるんです。父上も上手いですよ、料理。」

「ハアーー俺はなんにも出来ないのにーー」

「今から色々覚えて下さい、教えますから。」

「クソッ、絶対優秀になってやる!」


サイモンが作ってくれたサンドイッチは本当に美味しくて、お腹が膨れたら眠くなっていつの間にか寝てしまった。


「頑張れ、義弟おとうと!」
と微かに聞こえた気がした。










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