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新婚編
サイモン視点
しおりを挟むあれから陛下への手紙を届け、殿下を見ていた。
自分の部屋で王女と二人きりでお茶を飲んでいる姿に苛立ちながら見ていた。
それも隣りに座らせている。
しばらくすると宰相が陛下が呼んでいると伝えに来た。
それを王女とお茶してるから後で行くとか言ってる。
もうダメだなコレと思っていた。
そこへ陛下が部屋に入ってきた。
仕事だと言って連れ出そうとしている。
かなりご立腹のようだ。
殿下はキョトンとしている。
急ぎの仕事があると王女に断りを入れる陛下に、王女が終わるのをここで待つと言う。
陛下は、いつ終わるか分からないし、此処は殿下の私室なので自分の部屋で待てと言って、ようやく諦めたが、終わったら連絡してくれと言う。
それを殿下は了承した。
握った拳に爪が食い込む。
殺気を堪え、付いていく。
陛下が執務室に戻るとさっき届けた手紙を陛下が受け取り読んでいた。
陛下がカトリーヌの事を告げると、殿下は大丈夫なのかと心配している。
今更だ。
カトリーヌの体調不良の原因は殿下だと告げても殿下は気付かない。
陛下はそんな殿下に呆れて出て行けと執務室を追い出した。
一人廊下を歩く殿下は、必死に考えているのだろう…
部屋へ戻ると思いきや、ヘンリー様の執務室へ向かった。
ヘンリー様に追い出された事を伝えると、
ヘンリー様が陛下が怒るのは間違っていない、何故怒鳴られたのかも分からないならカトリーヌとの婚約は解消しろと言っている。
相手の気持ちを考えたら分かると言われても殿下は気付かない。
結局ここも追い出され、その後もずっと考えているのだろう。
難しい顔をしながら自分の執務室に行って、
ずっと考えているようだ。
最初は戸惑った顔をしていた。
そのうちハッとし、また考えだした。
きっと気付いたのだろう、何がおかしいのか。
それからは泣きそうな顔でずっと考えていた。
しばらく考えて最悪を想像したんだろう、
顔を手で覆い泣く瞬間に声をかけた。
泣かせるつもりはない。
「殿下、話しあるんですけど」
と殿下の前に立った。
「…サイモン。」
「やっと気付きましたか、婚約者がいる男が、婚約者以外の女と二人きりで、私室で、身体を触られ、婚約者には分からない話題に盛り上がり、目の前を腕を組んで歩く姿を晒して、それに全く罪悪感も感じず、何がおかしいと思っていた事に!」
「サイモン、俺は「少し話し、聞いてもらえますかね!」」
「貴方は今、最悪の状況にいます。このままではカトリーヌと貴方は、貴方の有責による婚約破棄です。父の手紙にはそう書いてあります。
カトリーヌはもう二人でいる所を見たくないと泣いています。
我が家も陛下もヘンリー様も貴方が気付くのを待っていました。
貴方自身が気付かないとまた繰り返すので。
今日を含めて後三日で貴方は我々への信頼を回復しないと婚約は破棄されます。
さあ、どうしますか?
諦めて王女と婚約したらいいのでは?
あんなに触られても不快感もないのですから。
最愛と言っておきながらカトリーヌの真ん前でいちゃついていたんですから!」
「俺はマリー…マルガリータの事は妹としてしか思っていない!「そんな事みんな分かってますよ!それでもみんながやってはいけない事だと思ったからこうなったんでしょうが!
城の皆が、なんて噂してたか知らないのですか?殿下と王女はお似合いだ。婚約するらしい。だそうですよ!みんなだ!もちろんカトリーヌも知ってる。
知らないのは、貴方だけだ!」」
「俺は・・・カトリーヌを・・・失いたくない・・・・・」
「こうしてしまったのは貴方の責任です。あの王女はカトリーヌから貴方を奪おうとしていた。
貴方はそれを気付かず許していた事になる。
悪気がなかったのも知っています。
カトリーヌを愛している事も知っています。
しかし、あの王女を妹と言っても血が繋がっている訳でもなし、あの態度はないでしょう!
悪気がないのが一番タチが悪い!
だから誰も何も言わなかったんですよ!
貴方自身が悪いと思っていないんだから!
そして俺は貴方を許してはいません。
けど、カトリーヌは貴方と婚約破棄したらきっと誰ともこの先結婚しないでしょう。
そんな事はさせない!
貴方を許せなくてもカトリーヌの為に貴方がやるべき事を手伝います。
時間がありません。
考えましょう。どうすればこの状況を変えられるかを。」
「・・・ありがとう…サイモン…」
「貴方は泣く資格も今はありません。
頭を切り替えて考えて下さい。」
「・・・・分かった。」
「お茶を入れます・・・・・・すみません…少し興奮しました…」
「いや、大丈夫だ、済まないサイモン。」
「ハアーーーーーーしっかりして下さいよ、殿下!」
「ああ、考えるよ、何が出来るか。」
俺はお茶を淹れながら、この鈍いが素直で実直な未来の義弟の優秀な頭脳にかけるしかなかった。
俺にはこの状況をひっくり返す方法が全く思い浮かばなかったから。
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