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新婚編
イアン視点
しおりを挟むハアーーーー頭が痛い…。
あっちからもこっちからも、あーだこーだと言われても来てしまったからにはどうしようもないというのに…。
オーランド国から王女が来てから、
アイリスは怒りっぱなしだし、
ヘンリーは呆れているし、
ハロルドもチラチラこちらを見ては何か言いたそうにしている。
そして一番話題の中心にいるルイジェルドはなーんにも気付いていない。
隣りのオーランドの国王とは同年代だからか良く行き来し、話しをした仲だ。
同じ王太子な事もあり話しが合った。
お互い国王になり、気軽に会えなくなったが国主催の行事には招待し合い、子供達も歳が近いので何度も遊ばせた事もある。
友好の為や政治の事で両国の子供を結婚させる必要もないので婚約させるなんてサラサラ思ってなどいない。
だが子供同士好きならばそれも有りかもなんて話した事もあった。
ルイジェルドはそもそも女の子に興味がないのか兄やオーランドの王子と遊んでいたい様子に、婚約はないなと思っていた。
最近はあまり会う事はなかったが、ルイジェルドが婚約してから、王女のマルガリータから手紙がわんさか来るようになった。
ルイジェルドは適当に返していたみたいだが、急な婚約に納得してないのだろう。
王女には関係ないのだがな。
父のバルトに泣きついて、バルトは娘可愛さにこっちに送りつけた。
何が諦めさせる為だ。
あれが諦めるわけなかろうが!
子供の頃からルイジェルドへの執着は半端無かったんだぞ!
けど、ルイジェルドは妹と思っているのか適当に相手はしているが可愛がってもいた。
何故気付かん、お前がそんなんだから今こうなっているというのに!
アイリスはアイリスで、
バルトの妹のミッシェルが嫌いなのだが、
そのミッシェルに性格が似てるマルガリータを毛嫌いしている。
ミッシェルは昔、私と結婚したくてゴネた事があり、その頃から嫌っているのだ。
なんとかオーランドの公爵家に嫁いで落ち着いたが、未だに会えば歪み合っている。
そして今、当時と同じ状態になっているのだからアイリスの怒りは治らない。
「カトリーヌの気持ちを考えた事がありますか!当時の私の気持ちを分かっていなかったという事ですね!分かりました、イアンがそうならば私にも考えがあります!しばらく寝室は別に致しますので!」
と言って一緒に寝てくれない。
ヘンリーは
「これ、早くなんとかしないとイーガー家が黙ってないと思いますよ。
先ずはルイに今の状況を把握させて下さい。カトリーヌと婚約破棄になんてなったらルイは王位なんてすぐ捨ててイーガー家に行っちゃいますよ。」
と呆れ気味に言った。
多分、ルイジェルドが一番悪い!
あの中途半端な態度が悪い!
「済まん、誰かルイジェルドを至急呼んでくれるか。」
「それでは私が呼んで参ります。」
と宰相のオスカーがルイジェルドを呼びに部屋を出た。
オスカーはアランの兄だ。
同じ兄弟なのに全く似ていない、性格が。
アランはいるだけで場が明るくなる。
リリーナはアランにそっくりだ。
ポワーンとしているがその実、頭が切れる。
ポワーンを取ったのがオスカーだ。
あのポワーンがあったらなぁ…
と思っている所にオスカーが戻ってきた。
「陛下、ルイジェルド殿下はマルガリータ様とお茶をしているのでしばらくお待ちをだそうです。」
「ハアーーーー⁉︎至急と言ってるであろうが!あいつーーー、もうよい、私が行く!」
ちょっとルイジェルドには分からせないとダメだ!
これ以上あの王女に関わっていてはマクドリア家の崩壊だ!
「どこにいる?」
「殿下の私室です。」
「ハア⁉︎私室?バカか!バカなのか!」
急いでルイジェルドの部屋へ向かった。
「失礼する!」
「父上、後で伺うと伝えたつもりでしたが、どうしました?」
「マルガリータ王女、済まないが至急片付けなければならない案件がある。
ルイジェルドを連れて行くが構わないだろうか。」
「はい、陛下、構いませんわ。私待っておりますので。」
「王女、ここはルイジェルドの私室故、ご自分の部屋にて待っていてもらえるだろうか。何分、いつ終わるか分からんのだ。」
「…分かりました。私は戻りますね。ルイ、じゃあまた後で。」
「ああ、分かった。」
「ルイジェルド、今も言ったがいつになるか、分からん。」
「ルイ、終わったら教えて。」
「いつになるか分からんが…」
「教えてね、お願い。」
「分かった。」
「ルイジェルド、行くぞ。失礼する、マルガリータ王女。」
そして私の執務室に戻ると一通の手紙が届いていた。
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