12 / 143
結婚式編
ロナルド視点
しおりを挟む結婚式まで後二週間。
長かった~~やっとリリーと結婚出来る。
今までもずっと一緒だったけど、朝起きたらリリーがいて、夜眠る時もリリーがいる。
なんて素晴らしいんだ!
しかし、やはり何かと忙しく中々リリーと一緒にいられない…。
家にはアラン父様がよく来ていて、
「ロイ君、ウチに住まない?」と誘ってくる。僕はどっちでもいいが、父上が必死に止めているので行かない方が良さそうだ。
あの温泉での事件から身体を鍛えている。
もちろん剣もだ。
多少は使えても、今の僕ではリリーを守れないと実感した。
サイモン殿に頼んで訓練に参加させてもらってるが、付いていけない…。
だが、少しでも強くなれるならと頑張っている。
母上に
「体型変わる様な事今はしないで!結婚式の衣装着れなくなったらどうするの!」
と怒られた。
明日からサイモン殿は訓練をしばらく休むらしい。
何やらリリーと隠密が企んでるようだ。
リリーに会いたいなぁ…顔見に行こうかなと思っている所に母上が来た。
「ロナルド、ちょっといい?」
「いいけど、どうしたんですか?」
「あのね、言い出せなかったんだけどね、私、これ作ってたんだけど…リリーちゃんに渡してもいいかな…。
娘がいたら結婚する時に作ってあげるのが夢だったのよね…」
と言って大きな箱を持ってきた。
「開けてもいい?」
「うん、ロナルド見てくれる?リリーちゃんに似合うと思うんだけど…。ドレスにも合うようにしたつもりだけど…。」
「何作ったの?」
開けてみる…
「・・・これ、母上が作ったの?凄い!」
真っ白なレースのベールだ…
丁寧に編まれていて、細かな模様もドレスのレースと合っている。
凄い、いつ作ってたんだろ…気付かなかった…。
「凄く綺麗だし、ドレスにも合ってると思う。母上、いつこんなの作ってたの?」
「ドレス決める辺りから少しずつ。あのドレスを見て細かい所は作ったからギリギリになっちゃったけど、間に合ったからどうかなって…。」
「そんなに前から?母上忙しそうにしてたのに、大変だったでしょ…」
「まあね、でもロナルドのお嫁さんになる人には作ってあげたかったからね。」
「・・・ありがとう、母上…」
「リリーちゃん、喜んでくれるかしら…」
「リリーは飛び上がって喜ぶよ、きっと。」
「だと嬉しいわ。ロナルドも気に入ってくれたみたいだし、安心した。
じゃあ、リリーちゃんに渡して。」
「え?母上が渡せばいいのに。」
「うーん、マリア様にも悪いかなって…それに恥ずかしいでしょ?手編みなんて…」
「そんな事ない!こんなに綺麗に編んであるのに!」
「とにかく、ロナルドが渡して、お願い!
じゃあね。」
と言って出ていった。
母上…
最近は口喧嘩ばっかりしてたのに…。
いつから母上って呼ぶようになったんだっけ…
小さい時は“お母様”だった。
そのうち、お母様って呼んでいるのは女の子か子供が多いことに気付いてから母上に変えた。
口が達者な母上とは喧嘩ばかりしている。
でも、僕が怪我した時凄く心配して泣いていた。
入院中もずっと側にいてくれた。
母上…お母様、ありがとう…
いつも口答えばっかりしてごめん…
母上を追いかけた。
「お母様!いつもありがとう!」
母上が驚いた顔で振り向いた。
「ロイ、こちらこそありがとう、幸せになりなさい。」
と微笑んだ。
母上の後ろに父上とアラン父様がいた。
父上は僕の顔を見てから母上を見て、母上の元に駆け寄り抱きしめていた。
どうやら母上は泣いているらしい。
ふとアラン父様を見ると、
父様も泣いていた。
父上は?と見ると、やっぱり泣いていた。
なんだか最近よく泣いてるな、大人達。
でも、そんな父上達が大好きだ。
39
お気に入りに追加
459
あなたにおすすめの小説
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

【完結】あわよくば好きになって欲しい(短編集)
野村にれ
恋愛
番(つがい)の物語。
※短編集となります。時代背景や国が違うこともあります。
※定期的に番(つがい)の話を書きたくなるのですが、
どうしても溺愛ハッピーエンドにはならないことが多いです。

溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。


【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。
112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。
ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。
ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。
※完結しました。ありがとうございました。

白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
私の容姿は中の下だと、婚約者が話していたのを小耳に挟んでしまいました
山田ランチ
恋愛
想い合う二人のすれ違いラブストーリー。
※以前掲載しておりましたものを、加筆の為再投稿致しました。お読み下さっていた方は重複しますので、ご注意下さいませ。
コレット・ロシニョール 侯爵家令嬢。ジャンの双子の姉。
ジャン・ロシニョール 侯爵家嫡男。コレットの双子の弟。
トリスタン・デュボワ 公爵家嫡男。コレットの婚約者。
クレマン・ルゥセーブル・ジハァーウ、王太子。
シモン・ノアイユ 辺境伯家嫡男。コレットの従兄。
ルネ ロシニョール家の侍女でコレット付き。
シルヴィー・ペレス 子爵令嬢。
〈あらすじ〉
コレットは愛しの婚約者が自分の容姿について話しているのを聞いてしまう。このまま大好きな婚約者のそばにいれば疎まれてしまうと思ったコレットは、親類の領地へ向かう事に。そこで新しい商売を始めたコレットは、知らない間に国の重要人物になってしまう。そしてトリスタンにも女性の影が見え隠れして……。
ジレジレ、すれ違いラブストーリー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる