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結婚式編
ロナルド視点
しおりを挟む結婚式まで後二週間。
長かった~~やっとリリーと結婚出来る。
今までもずっと一緒だったけど、朝起きたらリリーがいて、夜眠る時もリリーがいる。
なんて素晴らしいんだ!
しかし、やはり何かと忙しく中々リリーと一緒にいられない…。
家にはアラン父様がよく来ていて、
「ロイ君、ウチに住まない?」と誘ってくる。僕はどっちでもいいが、父上が必死に止めているので行かない方が良さそうだ。
あの温泉での事件から身体を鍛えている。
もちろん剣もだ。
多少は使えても、今の僕ではリリーを守れないと実感した。
サイモン殿に頼んで訓練に参加させてもらってるが、付いていけない…。
だが、少しでも強くなれるならと頑張っている。
母上に
「体型変わる様な事今はしないで!結婚式の衣装着れなくなったらどうするの!」
と怒られた。
明日からサイモン殿は訓練をしばらく休むらしい。
何やらリリーと隠密が企んでるようだ。
リリーに会いたいなぁ…顔見に行こうかなと思っている所に母上が来た。
「ロナルド、ちょっといい?」
「いいけど、どうしたんですか?」
「あのね、言い出せなかったんだけどね、私、これ作ってたんだけど…リリーちゃんに渡してもいいかな…。
娘がいたら結婚する時に作ってあげるのが夢だったのよね…」
と言って大きな箱を持ってきた。
「開けてもいい?」
「うん、ロナルド見てくれる?リリーちゃんに似合うと思うんだけど…。ドレスにも合うようにしたつもりだけど…。」
「何作ったの?」
開けてみる…
「・・・これ、母上が作ったの?凄い!」
真っ白なレースのベールだ…
丁寧に編まれていて、細かな模様もドレスのレースと合っている。
凄い、いつ作ってたんだろ…気付かなかった…。
「凄く綺麗だし、ドレスにも合ってると思う。母上、いつこんなの作ってたの?」
「ドレス決める辺りから少しずつ。あのドレスを見て細かい所は作ったからギリギリになっちゃったけど、間に合ったからどうかなって…。」
「そんなに前から?母上忙しそうにしてたのに、大変だったでしょ…」
「まあね、でもロナルドのお嫁さんになる人には作ってあげたかったからね。」
「・・・ありがとう、母上…」
「リリーちゃん、喜んでくれるかしら…」
「リリーは飛び上がって喜ぶよ、きっと。」
「だと嬉しいわ。ロナルドも気に入ってくれたみたいだし、安心した。
じゃあ、リリーちゃんに渡して。」
「え?母上が渡せばいいのに。」
「うーん、マリア様にも悪いかなって…それに恥ずかしいでしょ?手編みなんて…」
「そんな事ない!こんなに綺麗に編んであるのに!」
「とにかく、ロナルドが渡して、お願い!
じゃあね。」
と言って出ていった。
母上…
最近は口喧嘩ばっかりしてたのに…。
いつから母上って呼ぶようになったんだっけ…
小さい時は“お母様”だった。
そのうち、お母様って呼んでいるのは女の子か子供が多いことに気付いてから母上に変えた。
口が達者な母上とは喧嘩ばかりしている。
でも、僕が怪我した時凄く心配して泣いていた。
入院中もずっと側にいてくれた。
母上…お母様、ありがとう…
いつも口答えばっかりしてごめん…
母上を追いかけた。
「お母様!いつもありがとう!」
母上が驚いた顔で振り向いた。
「ロイ、こちらこそありがとう、幸せになりなさい。」
と微笑んだ。
母上の後ろに父上とアラン父様がいた。
父上は僕の顔を見てから母上を見て、母上の元に駆け寄り抱きしめていた。
どうやら母上は泣いているらしい。
ふとアラン父様を見ると、
父様も泣いていた。
父上は?と見ると、やっぱり泣いていた。
なんだか最近よく泣いてるな、大人達。
でも、そんな父上達が大好きだ。
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