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結婚式編
リリーナの母 マリア視点
しおりを挟む今日はリリーナの結婚式だ。
昨夜は、当日は朝早いしバタバタしてろくに話せないだろうから父親のアランに挨拶したいと追いかけ回していた。
アランは泣いてしまうから嫌だと逃げ回り、結局話すこと無く、今娘は別室でドレスに着替えている。
私もだが、アランは娘の事が大好きだ。
可愛くて仕方がない。
なので結婚式が近づいたここ最近は、
友人のカイル様の所に逃げ込んでいる。
カイル様の息子のロイ君はリリーの婚約者なので、行けばロイ君を捕まえて、
「ロイ君、ウチに住んでくれない?」
と頼んでいるらしい。
その度にカイル様に怒られているらしい。
カイル様の奥さんのシェリル様情報でこっちには筒抜けだ。
アランも大概だが、アランのお父様でリリーナの祖父、キース様がこれまた大変で頭が痛い。
アランに輪をかけてリリーナを猫可愛がりしている。
なので結婚式の事に口を出すこと、口を出すこと…。
それでなくてもシェリル様、ロイ君、私でドレスの事で揉め(結局アランの作ったドレスになったが)、招待客で揉め、会場をどうするとなった時、満を持して登場したキース様。
なんとあの人、陛下に気軽に頼んだのだ…。
「大聖堂で結婚式あげるから。」と。
「元宰相してたからと言っても、国王ですからね、あの人!気軽に頼める人じゃないでしょ!
そして大聖堂・・・どんな大物呼ぶつもりなんですか!
招待客見直さなきゃならないじゃないですか!
あなた引退したんでしょ!宰相である兄上の許可取ったんですか!」
とアランがお義父様に怒っていました。
結局そこに決まりましたけど…。
そして、当日。
そんな二人を放って置けず、リリーナとは別の控え室にいる訳だが、その時リリーナの支度をしていた侍女の叫び声。
部屋へアランと飛び込むと、泣きじゃくるリリーナ。
リリーナはイマイチ結婚するという事を実感していない気はしていたが、たった今実感し、私達と別れるのだと気付いたようだ。
実は私もだ。
ロイ君のグランディ家は隣りだ。
隣りと言っても敷地が広いのでかなり歩くが、それでも隣りだ。
幼い頃から通い続けている家だ。
結婚したからといって何ら変わらないだろう。
それでも我が家からは出るのだ。
この明るく愛らしい娘が家からいなくなるのだ。
夕方学院が終わり、帰る時間になって待っていても、リリーナは帰ってこないのだ。
忙しさで気付かなかったが、アランはこの寂しさから逃げていたのか…。
泣きじゃくるリリーナをアランに任せ、二人に別れの時間を作った。時間はないが。
ほんの数分だが、親娘の時間は満足出来るものだったようだ。
そこからは目を冷やし、化粧を直し、ギリギリ間に合わせた。
アランと娘が入場する前に自分の席について入場を待った。
綺麗に着飾った娘。
小さな時からじっとせず走り回り、いつでも可愛い笑顔を見せてくれた娘は、もう大人の女性の微笑みが出来る娘なんだなぁ…
いつもロイ君を背中に背負い、自作の虫たたきを持って戦っていた娘ではないのだと実感し泣きそうになった時、アランを見てしまった。
あ~~もう泣くな~ロイ君の所まで持つかなぁ…お、頑張ってる!頑張れ頑張れ!もうちょっとよ!
そうそう、ロイ君にリリーナ渡して…
あーーー泣いちゃった…
戻って来たアランを慰めながら前を見ると、
・・・・陛下がいた。
なんで?え?立会人?聞いてないんですけど!
陛下が仕切って誓いの言葉やらなんやらやっている。
二人が驚いているのを喜んでいるようだ。
アランは知っていたのか後で聞かないと。
今はそれどころじゃなさそうだ。
指輪の交換、誓いのキスも済ませた陛下は高らかと、
「よし!これで二人は夫婦になった!
今日は無理を言ってここに立たせてもらった。
私の大事な友の子供達だ。
そして大事なこの国の民だ。
たくさん子供を産んで未来の国を支えてくれ。
ロナルド、リリーナ、おめでとう。
カイル、アラン、おめでとう!
皆、二人を存分に祝福してくれ!」
とご機嫌で叫んでいた。
たくさんの人が娘夫婦を祝福してくれている。
こんなにも大勢に愛されている二人は、
これから幸せになるだろう。
ま、あれだけリリーナを溺愛しているロイ君がいるなら間違いないけど。
涙ぐみそうになり、またアランを見てしまったら私の涙は引っ込んだ。
さあ、これから結婚披露パーティーがある。
まだまだ泣いていられない。
皆さんに挨拶する為、泣いているアランを引っ張って行かねば!
娘よ、母はまだ泣かないが家に帰ってから泣かせてもらうわ。
どうかリリーナとロイ君が今まで通りいつまでも仲良く明るい幸せな家庭が作れますように。
そして、さっさと子供を作り、私に孫を見せてくれますように。
リリーナ、おめでとう。
応援ありがとうございます!
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