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ジャニス教

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パトリック視点


リアが話している時、ノアが話している時、俺は黙って話しを聞いていた。

元々リアもノアも他人に心を開くまでにかなりの時間をかける2人が、会って間もない人間にここまで気を許す事がそもそもない。

ノアもリアも見た目が良く、妬み僻み嫉みの対象になり、悪意に晒される事が多く、警戒心が強い。
だから目の前の光景にかなり驚いた。

リアはまだしも、ノアがリアの側に男を置いたまま、家族と俺以外にこんなに無防備な素の自分を見せている事に、またまた驚いた。

あんなに頑なだったリアを、会った瞬間、素直にさせた。
誰の前でもあんなに泣かなかったのに、号泣している姿を見て、俺まで泣いてしまった。
その俺の事も、我が子のように頭を撫でながら「パトリックさんも頑張りましたね」と褒めるから、リアと一緒に号泣した。

恥ずかしい…。

そしてその後のカウンセリングのような会話は、告解室の様子を見ているようだった。

思わず手を組んで拝みそうになった。


そして、ノア。
ジャニス殿はノアを最初から甘やかした。
リアから話しを聞いて、かなり心配していたようだ。
俺はリアだけを気にかけ傷付いていたノアの事を放っていた。
リアでさえ気付かなかった、ノアの精神状態の危うさを最初に指摘したのもこの人らしい。
そして自分とノアの状況が似ていた為、ノアをとても心配していたらしい。
だから会ってすぐノアを労った。
面食らっていたが、疲れていたところに、気遣う言葉を大量に投げかけられたら絆されるだろう。

そして、廊下で話しを聞いていたノアはリアと同じで、ジャニス教の信者になったらしい。
ま、俺もだが。
だが、俺はまだ告解室には入っていない。


あの女の新しい情報を得て、薬の出所の手がかりも掴めた。
これで前進するだろう。

リアも元気になった。
父に手紙でその事を報告すると、母を連れて領地に駆けつけて、リアに抱きつき号泣していた。

ラインハル侯爵にもお礼が言いたいとごね、ジャニス殿を屋敷に招待すると、両親ともにジャニス教信者となった。
ちゃくちゃくと信者は増えていく。
多分、エリソン家も同じ道を辿りそうだ。
そうなると、エリカの婚約者のジョシュア殿にも紹介するだろう。
そうするとギブソン公爵家も信者になるかもしれない。
そしたらそこから王太子にいく。
次は王家か?

どこまで増やすのか、ジャニス教の信者を。

我が家から、エリソン家から派生し、ギブソン公爵家からの信頼を得、王家から一目置かれる存在になるだろう。

そうすると今流れている噂も何れ無くなっていくだろう。

今の段階でジャニス殿は何もしていないにも関わらず、1ヶ月以内にジャニス殿の評判は急上昇する。

あの人今まで何してたんだろう?
もっと目立っていても良かったのに…。

そう思って悪いと思いつつ、ジャニス殿の過去を調べた。
すると、ジャニス殿の元婚約者が今までジャニス殿の評判を下げていた事が分かった。

この元婚約者、とにかく性悪だった。
なのにジャニス殿は気付かず愛していたらしい。
この人、純粋過ぎてカモにされていたようだ。
そんな女と結婚出来なくて良かった。
と思ったら幼馴染みにしてやられたわけだ。

女運は目も当てられないほど悪い。

そんな女運の悪いジャニス殿の前に現れたリアに惚れるなっていう方が悪いと思う。

そう。
多分ジャニス殿はリアに惚れている。
でも決してノアを押し退けてまでリアに気持ちを伝えたりはしないのだろう。
今後どうなるかは分からないが、今は既婚者だ。
だからこそ今は何の行動も起こさないのかもしれないが、リアがノアを選べば、2人を心から祝福してくれるとも思う。
そんな人だ。

応援してあげたいが、ノアとリアを結婚させてもやりたい。

今まではノアに変われるリアの相手なんていなかったから、ちょっかいかけてくる奴らは蹴散らしていたが、好敵手がここで出現するとは思わなかった。
それもリアを包み込んでくれる包容力はノアをも凌ぐ。

さあ、どうするノア。
ジャニス殿のリアに対する気持ちに気付いた時、お前はどうする?

俺はリアが幸せになるならどっちでも良いが、リアが悲しむ事にならなければいいが…。



とにかくジャニス教の普及活動と、エリソン家の問題の解決が最優先だ。















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