私の婚約者の苦手なもの

jun

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ある日のマクドリア家

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〈国王一家のある日の夕食〉


「皆と一緒の夕食は久しぶりだな!」

「そうですわね、イアンが籠っていたから。」

「・・・すまん。でもこれからはもう大丈夫だ!」

「私は怒っていますよ!
そもそもお休み下さいとは言いましたが、
温泉に行けとは言っておりませんでしたから!」

「ほら、たまたまな、カイルとアランが温泉の話しをしていたのでな、丁度いいと思って、行こうかなと…」

「それだけではありません!なんですか、あの護衛の数!国王の護衛が四人?ハロルド様がいたとして、たったの四人?良く死なないで帰って来られましたこと!
私の、イアンが襲われたと聞いた時の気持ちが分かりますか?」

「すまん、すまなかったアイリス…。」

「まあまあ、母上、無事に帰って来られたんですから。お土産も貰ったんでしょ?」

「あの不気味な人形の事?ええ、ええ、貰いましたよ、あれは丁度良かったのよ、イアンの代わりにボコンボコン殴れましたから。」

「殴ったの?俺の身代わりとして殴ったの?」

「良い物を頂きましたわ。」

「母上、あのネズミ、凄い売れ行きだそうですよ、特に親子のネズミ。」

「あら、そうなの?どうしてかしら?
私のように、殴って壊れてしまった時の予備?」

「違いますよ、親子のネズミを持っていると子宝に恵まれるとか噂になってます。」

「ルイ、そうなのか?親子ネズミを買えば良かったな!確か、ハロルドは買っていたな。」

「それ、カトリーヌが持ってますよ。」

「オオーーそうか、そうか!」

「兄上に買ってくれば良かったです、次は女の子が良いと言ってましたよね。」

「そうだな、エリスに似た女の子は可愛いだろうな。」

「まあ、女の子!良いわよね~女の子がいる生活。取り寄せましょう、親子ネズミ!」

「母上、いりませんよ、ユージンが夜泣きするようになります!あれ夜見たら、目が光るんですよ!」

「え?私のは光らないわ。イアン!私のはランクを下げたの!」

「違う違う、同じものだ!何故光るのか知らないし!」

「そういえば、カトリーヌが貰った物も光りませんでしたよ。」

「「「え?」」」

「たまたま兄上が見た時、光って見えたんじゃないですか。」

「いやいや、毎晩光るからクローゼットに仕舞ったんだ!」

「ちょっと怖いわね…」

「ヘンリー、ちょっと持ってこい。」

「イアン、ダメよ!危険な物だったらどうするの!」

「ハロルド呼ぶか?」

「何言ってるんですか!こんな事で呼ばないで下さい!僕が持ってきますから!」

「ヘンリー、気をつけるのよ!」

「はいはい」





「呪われてるのかしら?今度はヘンリーが狙われてるの?」

「そんな事ないだろう。何か仕掛けがあるんだろう、きっと。」

「そうですよ、母上。シンシア嬢もそれといって何も言ってませんでしたから。」

「売り手側が知らない事ないですもんね、そうよね。」







「持ってきましたよ。」

「「「・・・・・・・・」」」

「光ってないわね…」

「光ってないな。」

「光ってませんね。」

「今は明るいから分からないんだよ、きっと!でも光ってたんだ!」

「じゃあ暗くしましょう。」

「いや、面倒だから庭に行こう。」

「母上のも持ってきてみましょう。」

ルイジェルドが取りに行き、戻ってきた後、全員で中庭へ向かった。


後に、四人で不気味な人形を持ち、
国王一家がゾロゾロ歩いている様は、
目撃者によって噂になり、ちょっとした騒動になった事を国王一家は知らない。



「「「「・・・・光ってる…」」」」

「どうしてだ!アイリスのは光ってないぞ!」

「本当だ、てっきり兄上がビビって言ってるのかと思った…」

「私のは光らないのね…」

「だから光るって言ったでしょう!
ルイ!
お前、この流れで気付かれないと思って言ったんだろうが、ちゃんと聞いたぞ、俺はビビってなんかいない!」

「あ!気づいたんですね、すみません。」

「まあ、兄弟喧嘩?仲が良いわね、本当に。」

「ハア~、とにかく光るんです。分かったでしょう。さあ、戻りましょう。」

「「嫌(だ)!」」

「どうして光るのか解明せねばならない。危険な物ならどうするのだ!」

「ここじゃなくてもいいでしょう!寒いし、風邪引いたらどうするんですか!
貴方達国のトップでしょ!
ルイ、二人を引っ張ってこい!」

「嫌ですよ。面倒だし。」

「ルイ、仕事増やすぞ。」

「はい!連れていきます!」

「さあ、お二方、私がシンシア嬢に聞いてまいりますので、今日は戻りましょう。風邪をひいてはユージンに会えませんよ。」

「「そうだな(ね)」」

「上手いな、ルイ。取扱説明書作れ、俺はまだ扱いきれないわ。」

「取説なんて作ったら図鑑並になるけど。」

「そんなのいらん!」


そうしてある日の夕食は終わったが、
後日、ヘンリーの執務室、


「分かりましたよ。光る謎。」

「なんだった?」

「当たりだそうです。」

「は?」

「兄上のは“当たり”なんだそうです。」

「クジとかの“当たり”?」

「そうです、“当たり”。何個かに一つ、光るのがあるんだそうです。滅多にないので貴重なんだそうですよ。」

「そんなのいらんわ!」

「ハハハ、兄上凄いじゃないですか、当たり!良い事あるかもしれないですね。」

「お前、絶対父上と母上に言うなよ!買い占めるぞ!」

「言わないから此処に来たんですよ。
あ、そういえば当たりはもう一つ貰えるらしいですけど、どうします?」

「いらん!・・・・・・・親子ネズミ欲しい…」





ある日のマクドリア家でした。










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