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陛下の苦悩
しおりを挟む殿下の話しを聞いて、トリーのお母様を陛下が怖がっているのは分かったが、何故お父様達も連れて来るのか分からない。
「どうしてお父様達を陛下は連れてきたんですか?」
と聞けば、
「怖がる原因の場にアラン殿達がいたんだ。だから連れて来たかったんだろ。
まあ、仲間意識で、かな。」
「それにしても陛下は治らないんでしょうか。」
「徐々に慣らすしかないんじゃないかなあ」
「少し慣れるとまた戻るの繰り返しだな。前より若干マシにはなってるらしいが…」
「「「うーーーーん・・・・」」」
結局どうすればいいのか分からない…
一方グランディ夫婦は…
「カイル、どういう事!あなたが来るなら私は来なかったわ!ここには大勢では泊まれないと言っていたでしょ!それもあんな大物連れてきて!」
「これには色々あってだな、「どうせ陛下が駄々捏ねたんでしょ!」」
「陛下も限界だったみたいで…。
ジュリア殿が結婚式の準備をしているカトリーヌ嬢の所によく来るようになってから陛下がな…
それでアイリス様が仕事にならない陛下に少し休めと言われたんだ」
「仕事をさせるのが貴方達の仕事でしょ!」
「出来たらとっくに陛下のトラウマ治ってるだろ!」
「まあね…来ちゃったものは仕方ないわよね…
それよりこんな少人数での移動、危ないんじゃないの?まだ反王族がいるんでしょ、少数と言えど。」
「ハロルドも影もいるから大丈夫だろうという事だろう。」
「帰りも気を抜けないわね…」
「ああ」
「ま、温泉入ってゆっくりしましょ。
あ、ロイが混浴の露天風呂にリリーちゃんと入ったのよ!だから邪魔してやったわ!」
「あまり苛めてやるなよ」
「だって久しぶりの息子との旅だったから楽しかったのだもの。」
「俺達も入るか?」
「嫌よ、陛下もいるのよ。」
「そうだった…」
〈ワソニック夫妻〉
「・・・と、そういう訳だ。」
「そんな事だろうとは思ったけど、重症ね、陛下。」
「行くにしても警備が少な過ぎて心配だったんだが…何もなくて良かった。」
「何かありそうなの?」
「いや、何も聞いていないが、昔の事もあるし、残党がまだいるかもしれないしな。」
「そうねぇ…帰りは大所帯よ、心配だわ…」
「その辺は殿下がなんとかするだろう。」
「そうね…。
あ、アラン、露天風呂あるわよ、それも混浴。一緒に入りましょうよ!」
「ダメだ!陛下がいるんだぞ!マリアの裸を見られたらどうするんだ!」
「じゃあ、貴方だけでも入ってらっしゃい、気持ちいいから。」
〈陛下の部屋 陛下とハロルド〉
「ハアーーーーーーアイリスに呆れられてしまった…。」
「陛下はまだジュリアが怖いですか?ジュリアが落ち込んでいましたよ。」
「分かってるんだ、ジュリアは私を助けてくれた恩人だ。感謝している。
王太子の頃は、日々暗殺されないよう皆が気を張っていた。
影達も護衛も頑張ってくれていた。
ハロルドもジュリアもだ。
あの襲撃の時、あれ程の手練れに囲まれ、人数的にも危険な状態で、護衛の者もハロルドも苦戦していた時は、もうダメだと思った。そこへ颯爽と現れたジュリアには安心した。
だが、あんなに苦戦していた状況があっという間に逆転した。
首や腕や足を刎ねてな…
血塗れで笑いながらな…
俺は想像してしまったんだ…あの刃が俺の首を刎ねる瞬間、ジュリアが笑うのを…。
そんな事はないと分かっている。
それでも、一瞬でも、想像してしまったから刎ねられる瞬間が頭にこびり付いて離れない…。
全く…陛下が聞いて呆れるわな…。
どうしたら治るのか、分からん…。」
「陛下…」
「とりあえずは移動で疲れた身体を休めよう。ハロルド、温泉行くぞ!」
「はい…陛下、露天風呂は混浴です。」
「ナニ⁉︎それは本当か⁉︎行かねば!」
各部屋の男性陣が一斉に露天風呂に向かった。
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