私の婚約者の苦手なもの

jun

文字の大きさ
上 下
84 / 125

恐怖するアラン

しおりを挟む


アラン視点


リリーの友達が泊まりに来る事になり、今まで無かったことだけにマリアと楽しみにしていた。
まあ、ロイ君も来るだろうとは思っていたが、まさか殿下まで来るとは思わなかった。
カトリーヌ嬢を心配して付いてくるらしい、どんだけ好きなんだか。


カトリーヌ嬢はとても丁寧で凛としている知的美人だ。
シンシア嬢は明るく活発そうで、リリーと気が合いそうなお嬢さんだ。

二人ともリリーをとても大切にしてくれているのが分かる、良い友達を持ったと思う。

殿下は変に気を遣われるのが嫌な方だから、ロイ君に任せておけば大丈夫だろう。


皆が街に出掛けてマリアと二人、のんびりしていたら、来客の知らせ。


・・・魔王が来た…。



な、な、なんで?今日?
カトリーヌ嬢が泊まるからと挨拶状は来てた。だが、魔王が来られるとは一言も書いてなかったはず!
マリアに、
「何か聞いてた?」と聞けば、
「何も。殿下も来てるから挨拶にでも来たんじゃないかしら。」
と呑気だ。

マリアは知らない…あの方は魔王様だという事を。


「お、お出迎えにあが、あがろう」

「アラン?吃ってるわよ、緊張してるの?」

「名門の家系だからな、イーガー家は!」

「そうね、行きましょう。」

マリアを誤魔化して玄関へ向かう。


玄関に魔王様が居られた。

「お待たせ致しました、お久しぶりです、ジュリア様」

「急に押し掛けてしまい、申し訳ございません。皆さんを驚かそうと思いまして連絡も致しませんでした。」

「いえいえ、来て頂き嬉しい…です」

「そうですよ、娘がカトリーヌ様にお世話になってるそうでこちらこそ申し訳ございません。さあさあ、ここではなんですから、奥へどうぞ。」
とマリアが対応してくれた。

「ありがとうございます。ではお言葉に甘えさせていただきますね。アラン様、どうしました?」

「は⁉︎すみません、ボォーっとしてしまいました。さあ、どうぞ。」

と魔王様を案内する。


くそッ!イアンがゴネなかったらイーガー家にお泊まりだったのに!


応接室に案内し、マリアと雑談する魔王様。
目を合わせないように魔王様の眉間を見つめて話していると、一瞬、ニヤっと魔王様が笑った。
え?なんで笑った?え?



陛下が王太子の時に襲われた際の光景は凄まじかった…

足が…腕が…首が…

あたり一面真っ赤で、真っ黒な髪のジュリア様が血みどろで高笑いしてる姿は、心の底から恐ろしかった。

僕もそれなりに剣は扱える。
だが次元が違う。全く動けなかった僕達は笑っている彼女が何より怖かった。

その彼女が笑ったのだ、怖くないわけないじゃないか!


リリー、いつ帰ってくるんだろう…
早く帰って来て!


ふと、ジュリア様を見るとまたニヤっとした!

何なのこの人、何しに来たの?
殿下?殿下泊めるから怒ってるの?


何を話したのかよく覚えていない状態が続いた頃、リリー達が帰って来た。


子供達の紹介が終わり、魔王様は帰るという。
帰る際の
“何もしませんわよ、何も無ければ。”

何かあるの?何かあったら何されるの?
怖くてマリアにしがみついてその日は寝た。



陛下には抗議文を出した。








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。

文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。 父王に一番愛される姫。 ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。 優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。 しかし、彼は居なくなった。 聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。 そして、二年後。 レティシアナは、大国の王の妻となっていた。 ※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。 小説家になろうにも投稿しています。 エールありがとうございます!

貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした

ましゅぺちーの
恋愛
王国の名門公爵家の出身であるエレンは幼い頃から婚約者候補である第一王子殿下に全てを捧げて生きてきた。 彼を数々の悪意から守り、彼の敵を排除した。それも全ては愛する彼のため。 しかし、王太子となった彼が最終的には選んだのはエレンではない平民の女だった。 悲しみに暮れたエレンだったが、家族や幼馴染の公爵令息に支えられて元気を取り戻していく。 その一方エレンを捨てた王太子は着々と破滅への道を進んでいた・・・

ある間諜と子爵令嬢の独白

Rachel
恋愛
『モルドレッド子爵の長女レリアが王太子の婚約候補の一人に入っているなんて信じられない。今度彼女の屋敷で開かれる誕生日会で、あの女にどんな思惑があるのか尻尾を掴むのよ』 雇い主である伯爵家のわがままな娘の命に従い、ジャンは標的のレリアに近づくが……。 優秀であるが人との接し方が不器用な間諜と、貴族として抜け目なく生きてきた子爵令嬢のモノローグ。 地名や時代は架空です。

貴方のことは好きだけど…

ぽぽ
恋愛
異能の名家出身同士の両親の都合で決められた結婚 結婚したはいいが、妻の恵麻に対して冷たく接し、浮気も平気でする夫の伊織。 冷め切った関係の結婚生活ではあるけど、初恋であり最愛の人といれることに恵麻は喜びを感じていた。 しかし、ある日を境に2人の関係は変化する。 「私はやっぱり役立たずのようです」

婚約者が他の令嬢に微笑む時、私は惚れ薬を使った

葵 すみれ
恋愛
ポリーヌはある日、婚約者が見知らぬ令嬢と二人きりでいるところを見てしまう。 しかも、彼は見たことがないような微笑みを令嬢に向けていた。 いつも自分には冷たい彼の柔らかい態度に、ポリーヌは愕然とする。 そして、親が決めた婚約ではあったが、いつの間にか彼に恋心を抱いていたことに気づく。 落ち込むポリーヌに、妹がこれを使えと惚れ薬を渡してきた。 迷ったあげく、婚約者に惚れ薬を使うと、彼の態度は一転して溺愛してくるように。 偽りの愛とは知りながらも、ポリーヌは幸福に酔う。 しかし幸せの狭間で、惚れ薬で彼の心を縛っているのだと罪悪感を抱くポリーヌ。 悩んだ末に、惚れ薬の効果を打ち消す薬をもらうことを決意するが……。 ※小説家になろうにも掲載しています

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

妻のち愛人。

ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。 「ねーねー、ロナぁー」 甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。 そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。

記憶がないなら私は……

しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。  *全4話

処理中です...