私の婚約者の苦手なもの

jun

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その時の三人 2

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ルイジェルド視点


あれから、イレーネ嬢の護送の手配をし、他の隔離された生徒の経過報告書、アンネリッタ嬢からの報告書を馬車の中で読み込みながら王宮へ帰った。


私室に帰って一息ついたところに、アンネリッタ嬢の父であるロンバーグ公爵が待っている事を告げられる。


重い腰を上げ、応接室に呼んでもらう。


先程読み込んだ報告書と同じ内容だったが、アンネリッタ嬢が、
学院での騒ぎは、報告書の虫に関係あるのではないか、
自分が集会前に殿下に報告すれば防げたのではないかと不安になっているので、公爵が報告しに来たという事だった。


集会前に聞いていたとしても、防げはしなかったし、リリーちゃんの怪我は時間が経てば消えるものだから大丈夫だと伝言を頼んだ。


それにしても、公爵家が調べてくれていたのは正直助かった。


もうしばらくイレーネ嬢のことは保留かと思っていた。

だが、公爵家が新種の虫を調べている流れで香水の詳しい副作用がわかった事は良かった。


長期の使用をしない限り、噛むなどの攻撃的な行動が出ることはないという事だ。
 

明日には結論を出す事が出来るだろう。


良かった…


早くイレーネ嬢の件を終わらせないとあの鬼二人に何を言われるか分からない!


あの時の二人の顔…
そして殺気…
怖っ…


リリーちゃんがいてくれて良かった~
そして、怪我しないで良かった~






******************


ロイ視点


急に気を失ったリリーに一瞬我を忘れそうになったが、よく見ればスースー寝息が聞こえる。
疲れたのだろう、今日はいろいろあったから。


「ロナルド様、申し訳ございませんでした。リリー様を二度も危険に晒してしまいました。」

と隠密が頭を下げる。


「隠密がいなければ、リリーはまたあの女に傷つけられたかもしれなかった。二度も助けられた。ありがとう。」

と頭を下げた。


隠密は目を瞠り、


「リリー様をどうぞお送りして差しあげて下さい。」


と言って跪いた。


僕はリリーを抱き上げ、馬車で送り届けた。

馬車の中ではリリーを膝に乗せ、ずっと抱きしめていた。

二度も襲われ、どれほど怖かっただろう。


抱きしめながら、

背中を撫で、頭を撫で、

頬を撫で、腕を撫で、

足を撫で、髪の匂いを嗅ぎ、

首の匂いを嗅ぎ、

額と頬と、

耳と鼻と、

首筋と手首と、

手の甲と手のひらにキスをした。




思う存分リリーを堪能した事は秘密だ。





******************

カトリーヌ視点


リリー様は寝てしまわれた。

疲れていたのでしょう…


ロナルド様に申し訳なかったと謝罪をしました。
不甲斐ないです…


ところがロナルド様は、わたくしに、

助けてくれてありがとうと、

頭を下げて下さいました。



あまりの衝撃に思わず目を見開いてしまいました。


あの、リリー様以外を虫のような目で見るロナルド様が、

リリー様以外とは口を開かず、目も合わさず、顔も向かず、

リリー様至上主義の神なるロナルド様がわたくしに、


「ありがとう」


と頭を下げられた…。


こちらこそ、ロナルド様の“ありがとう”、ご馳走様です!


と心の中の叫びを抑え、リリー様をお送りするよう、お伝えしました。


ロナルド様がリリー様を抱き上げ運ぶ姿を後ろから、馬車に乗るまで、ずっーーーーーと拝見させていただきました。



眼福です!



そういえば、講堂でも、今も、ロナルド様が「隠密」とわたくしをお呼びになっていました。


なんだか、わたくしもお兄様のような『影』になったようで、嬉しいです!




さあ、わたくしも帰って訓練のし直しです。














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