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包帯の人
しおりを挟む「待ちなさいよ!」
振り返ると、顔に包帯を巻いた人が肩で息をしながら、立っていた。
さっきベッドにいた人だろうか?
「何か言いなさいよ!」
「えーと、何ですか?」
「あんた、消えてよ!消えろ!」
「え?」
「消えろって言ってんの!消えないなら私が消してあげる!」
ナニ、怖い…
誰か助けて!
怖くて目を閉じたら、ドサッという音がした。
カトリーヌさんがいた。
その後ろにロイもいた。
抑え込まれた包帯の人がいた。
「リリー!」
「ロイ!」
怖くて動けない。腕だけロイに伸ばす。
ロイが抱きしめてくれた。
身体が震える…
「ごめん、遅くなった。もう大丈夫だよ。」
と優しく背中を摩ってくれた。
震えは止まったが、今度は涙が止まらない。
「怖かった…」
「もう大丈夫、大丈夫だよ」
その時、カトリーヌさんが
「申し訳ございません、わたくしがリリー様から離れてしまったが為にリリー様を危険な目に合わせてしまいました…。」
と頭を下げている。
「カトリーヌさんのせいじゃないよ、何もされてないし。」
その時、
「お前、離れろ!消えろ!死ね!」
と包帯の人が叫びだした。
包帯の人を抑えていた人が、包帯の人に当て身を喰らわし気絶させた。
「カトリーヌ、お前コイツを抑えてろ。俺は殿下を呼んでくる。」
「はい、お兄様。」
そういうとシュッといなくなった。
「⁉︎」
お兄様⁈カトリーヌさんのお兄様、何者?
ロイも驚いていたが、今は何故か頷いている。なんで?
そんな事を考えているうちに、警備の人が来て、包帯の人を抱えて連れて行ってしまった。
そこへ殿下が来た。
アレ?カトリーヌさんのお兄様は?
「リリーちゃん、大丈夫?怪我ない?」
「大丈夫です。」
「良かった~~」
「良かった、ではありません。殿下、あの女に監視を付けていなかったのですか?どうしてですか?忘れていたのですか?リリーが怪我をしていたらどう責任をとるんですか?僕の前からリリーが居なくなったらどうなるか分からないのですか?分からせましょうか?」とロイ。
「殿下、恐れながら申し上げます。わたくしが離れた事にも責任がございますが、あの状況で監視をつけないなんて事は考えられません。何をしていたのですか?リリー様が怪我をしていたらどうなさるのですか?わたくしの前からリリー様が居なくなってしまったら『愛でる会』代表としてわたくし自害するしかないのですが、わたくしを死なせたいのですか?」とカトリーヌさん。
「ま、待って!二人とも落ち着いて!今はリリーちゃん休ませないと!」
殿下は今日一日何かと忙しかったのに、こんなに責められなくてもと思い、
「ロイもカトリーヌさんもありがとうね。殿下もわざわざありがとうございます。」
殿下は私をキラキラした瞳で見つめた後、ロイとカトリーヌさんを見た。
「そうですね、今はリリーが優先です。」
「そうでございますね」
と二人が答えると殿下はホッとして、
「とりあえずイレーネ嬢はこちらで預かる。リリーちゃんにはこちらから護衛も付けるので安心してね。ロイも今日は帰れ。トリーちゃんも気をつけて帰ってね。」
と走って行ってしまった。
なんだか今日はいろいろあったので、疲れてしまった…
ホッとしたからか、疲れたからか、急に意識が遠退き、そして手放した。
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